中村勘九郎が江戸時代の伝説の歌舞伎役者・中村仲蔵に！ 痛快無比のサクセスストーリー2021/07/25
中村勘九郎が、NHK BSプレミアム・BS4Kで12月に前・後編で放送される「忠臣蔵狂詩曲 No.5 中村仲蔵 出世階段」で主演を務める。また、上白石萌音、藤原竜也、段田安則、市村正親らが共演する。勘九郎は「中村仲蔵のことは父（十八代目中村勘三郎）が三代目仲蔵の伝記『手前味噌』に大変感銘を受け愛読していたので、よく聞いていました。仲蔵ゆかりの志賀山三番叟を踊ったこともあります。江戸時代、初代勘三郎が興した中村座に出演し、中村座を救った人でもあるので、その役を演じられることに不思議な縁を感じます」と感慨深げに語っている。
落語や講談で人気の「中村仲蔵」は、江戸時代の伝説の歌舞伎役者・初代中村仲蔵（1736～90年）が裸一貫からはい上がる実話をベースとした下剋上物語。その物語を、国民的人気を誇る「忠臣蔵」を軸にドラマ化。日の出から日没まで熱気に満ち満ちていたという当時の芝居小屋を巨大セットで再現し、小屋に生きる裏方や地方（歌舞伎音楽の演奏家）、稲荷町と呼ばれた大部屋役者たちなど、芝居小屋の宇宙も生き生きと描き、江戸歌舞伎の熱狂と魅力を伝える。
仲蔵（勘九郎）の才能を見抜いて抜てきをする当時の大スター・四代目市川團十郎やそれをねたんで敵対する人気歌舞伎役者や座付き作者など、一癖も二癖もある実在の江戸の演劇人たちも登場。人気演目「仮名手本忠臣蔵」の五段目で、全く見せ場のない地味な役を割り当てられた仲蔵に、一発大逆転はあるのか？ 厳しい階級制度で縛られた当時の歌舞伎界で、貧困やいじめに苦しみながらも、血のにじむような努力と才智でスターの座をつかんだ仲蔵の痛快な出世物語が描かれる。
仲蔵を演じる勘九郎は「今回とても素晴らしい芝居小屋のセットに足を踏み入れ、思わず泣きました。持って帰りたい！ 仲蔵は差別を受け大変苦労した人ですが、芝居が好きという情熱に支えられていたと思います。好きこそ人を奮い立たせ、上達させ、信念を与えるものです。そんな情熱を感じていただけたら本望です」と気合十分。
仲蔵の妻・お岸役の上白石は「お岸は、こんな女房が家で待っていたらたのしいだろうな、というような女性です。三味線と唄で仲蔵さんを癒やし、励まし、勇気づけられるよう、ほがらかに務めたいと思います。これ以上ないほど豪華な出演者の皆様による『芝居』の真髄。もうすでに完成が待ち遠しいです」と期待を寄せる。
謎の侍を演じる藤原は「僕の撮影は2日間だけでしたが、内容の濃い2日間でした。勘九郎さんと空気を合わせて、芝居を作っていく感じがとても楽しかったです。刀や傘のさばき方は非常に難しかったですが、子どもの頃から厳しく作法を仕込まれている歌舞伎俳優さんから、直接教えてもらえたのは貴重な経験でした。最初から最後まで楽しめるぜいたくな作品になると思います」と手応えを明かしている。
狂言作者 ・金井三笑役の段田は「勘九郎さんが仲蔵を演じられるのは、ピッタリだと思いますが、その仲蔵をいじめる狂言作者の役ということで演じがいがあります。今も昔も嫌みな演出家やプロデューサーはいて、大人の事情で配役が決まったりとかあったのでしょうね。みんな芝居が心底好きでそのためなら命懸けというのも一緒でしょう」と現代にも通じる物語であることを伝え、「ヒエラルキーの厳しい世界で成り上がっていくサクセスストーリーですが、そうそう簡単に成功はさせませんよ。大きな障害として立ちはだかって仲蔵をいじめたいです（笑）」と意気込む。
四代目市川團十郎（二代目松本幸四郎）役の市村は「歌舞伎は昔から演技の勉強のために拝見していました。勘三郎さん（十八代目）の芝居に感激してファンレターを送ったこともあります。今回、歌舞伎役者を演じられるのは役者人生のご褒美。天国で勘三郎さんもびっくりしていることでしょう。歌舞伎は見るとやるとでは大違い！ ミュージカルでも『歌いすぎるな、芝居しろ』と言いますが、歌舞伎独特の語調の心地よさを感じさせながら、グッと芝居心を入れるのにはどうすればいいのか、悩みながら一生懸命演じています」と熱い思いを口にしている。
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