東京オリンピックの競技を解説【柔道②】新種目・混合団体は全階級に強豪を擁する日本が絶対的な優勝候補2021/07/18

日本柔道は、軽量級同様に中・重量級もメダル候補をそろえている。日本の競技レベルの高さ、選手層の厚さを考えれば当然だろう。世界選手権王者が複数いて、選考会の決勝戦が事実上の世界一決定戦といえる階級も多い。日本代表に選ばれた選手は、その時点で世界大会のメダル候補なのだ。前回2016年リオデジャネイロ大会で、男子は金メダル2個を含め全7階級でメダルを獲得し、女子は金1個、同4個。今大会はいくつメダルを勝ち取ることができるか(柔道の概要はこちら)。
男子81kg級代表はリオ大会銅メダリストの永瀬貴規。長い手足を生かした足技が得意で、負傷によるブランクを乗り越え2大会連続で出場権をつかんだ。2019年世界選手権優勝のサギ・ムキ(イスラエル)、準優勝のマティアス・カス(ベルギー)がメダル争いのライバルになる。女子63kg級の田代未来は、これまで世界選手権3位2回、2位2回。自身初の世界一を狙う。男子90kg級の向翔一郎は、頭を左右に振って間合いを測る独特の動きなど、型にはまらないスタイルが持ち味。日本では異端の存在だが、実力に疑いはない。女子70kg級の新井千鶴は2017年、2018年の世界選手権を連覇したが、2019年は3回戦でバルバラ・ティモ(ポルトガル)に敗れた。オリンピックの舞台でその雪辱を誓う。
男子100kg級のウルフ・アロンは、パワーを生かした豪快な投げと豊富なスタミナが武器。女子78kg級の濵田尚里は、ロシア発祥の格闘技サンボの世界選手権で優勝した経験があり、寝技の技術は世界屈指と評される。男子の最重量級である100kg超級はリオ大会の銀メダリスト・原沢久喜が出場。リオの決勝で敗れたテディ・リネール(フランス)と再び金メダルを争うか。女子最重量級の78kg超級の代表は素根輝。身長162cmとこの階級では小柄だが、相手の懐に入ってからの投げ技が鋭い。
個人戦終了後の競技最終日に、新種目の混合団体が行われる。男女各3人の6人でチームを組んで戦う。階級は男子73kg級、90kg級、90kg超級、女子57kg級、70kg級、70kg超級。男女混合の団体戦は世界選手権では2017年から始まり、日本が4連覇中(2020年は開催されず。2021年大会はオリンピック代表は出場せず)。国(・地域)によって、特定の階級の層が厚い場合はあるが、全階級に強豪を擁する国は日本などわずかであり、今大会でも日本が絶対的な優勝候補だ。対抗と目されているのは、世界選手権準優勝3回のフランス。日本と同じく全階級に強豪選手がいる。ブラジル、ロシアなども実力者ぞろいで油断はできないが、競技発祥国の代表チームが母国の首都で初代王座に輝くことを期待したい。
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