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「踊る大捜査線」本広克⾏&⻲⼭千広がヒットの理由を語る2021/04/12

「踊る大捜査線」本広克⾏&⻲⼭千広がヒットの理由を語る

 毎月、映画の放送後に、その作品に関わるクリエーターたちをゲストに迎え、製作秘話を語るWOWOWオリジナルのオンデマンド配信番組「マンスリー・シネマセッション」。4月17日(午後1:00)には、WOWOWシネマで「踊る大捜査線 THE MOVIE」が放送予定で、同番組に「踊る大捜査線」シリーズの本広克⾏監督と当時プロデューサーだった⻲⼭千広氏が登場する。

 「踊る大捜査線」は、従来の刑事ドラマと異なり、警察社会をまるでサラリーマンの世界のように描き、社会現象となった、織田裕二主演の人気テレビドラマシリーズ。さらに、1998年10月に公開された劇場版「踊る大捜査線 THE MOVIE」は、シリーズ初の映画化作品で、“湾岸署史上最悪の3日間”を描き、同年の邦画No.1ヒットを記録した。今なお実写邦画の歴代ランキングでも3位をキープ。また、後に続く劇場版第2〜4作や2本のスピンオフ映画も作られており、2003年7月に公開された「踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」は、実写邦画の歴代ランキングで1位を独走中。公開からおよそ18年たった今でも、その記録を破る邦画の実写作品は現れていない。

 ⻲⼭氏といえば、「あすなろ白書」「ビーチボーイズ」など、フジテレビの数々のヒットドラマを送り出したヒットメーカー。企画の始まりについて「実は『踊る〜』の前のクールでやっていたのが(⽊村拓哉と⼭⼝智⼦が出演するドラマ)『ロングバケーション』だったんです。それが当たったんで、次にやるドラマは少々視聴率が悪くても免罪符になるだろうと思った。そこで自分の中でかねてやりたかった刑事ものをやろうと思った」と明かす。そうした肩の⼒が抜けた状態の中で企画は練られ、「刑事同⼠をあだ名で呼び合わない」「張り込みシーンを⾳楽にのせて描かない」など、それまでの刑事ドラマの代名詞ともいうべき「太陽にほえろ!」(日本テレビ系)などの定⽯をことごとく外した、異⾊の刑事ドラマが⽣まれたのだという。

 本作のヒットの要因に関しては「なぜこの作品が当たったのか分からないので、これからの人⽣で考えたい。でも作品の幅が広かったんだと思います。警察の構図の中に、サラリーマンの構図をぶち込んだんですが、当時の警察官は今よりもヒエラルキーなどが厳格だったんです。そういう要素を入れたことと、キャラクターショーという部分もあったと思う。キャラクターの描き分けがうまい君塚良一さんの脚本があり、余分な芝居をたくさんつけてくれる本広監督がきたため、キャラクターがどんどん⽣きてきた」と分析する亀山氏。

 当の本広監督も「『踊る〜』はインターネットやサブカルなどいろんなムーブメントをどんどんと取り入れていった。それがみんなをどんどんと巻き込んでいったのかなと思います」と語る。インターネットを通じて作り⼿とファンが親密なコミュニケーションをとっていたのも「踊る〜」の特徴で、ネット上で映画上映後のスタンディングオベーションを呼びかけたり、大勢のファンがエキストラとして撮影に協⼒したりするなど、ファンの熱気が「踊る〜」の人気を⽀えていたのだ。

 さらに、「⻲⼭さんもそうなんですが、みんな映画オタクなんですよ。映画を作りたかったメインスタッフがいっぱいいましたから。テレビだと制限があってできないようなこともやってみようという空気になる。本当にみんな熱かったんですが、そうやって彼らが熱く主張した作品作りへのこだわりの全部が正解だった。そして役者さんたちもこだわりがあった。リハーサルの時も、もう1回やらせてくれということもあったくらいで。本当に全員がそんな感じだったんで、演出部は鍛えられましたね」と熱量の高さを振り返った。 

「踊る大捜査線」本広克⾏&⻲⼭千広がヒットの理由を語る

 97年のテレビシリーズ放送開始から約24年。シリーズ最終章となった12年の劇場版「踊る大捜査線 THE FINAL」から数えてもおよそ9年の時がたち、シリーズを見たことがないという若い世代が増えてきているが、本広監督と亀山氏は「それでもこのシリーズが描いてきたものはすたれない」と⼒説している。


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