「死との約束」を彩る比嘉愛未、堀田真由、原菜乃華。三谷幸喜作品に初挑戦2021/02/12
フジテレビ系では3月6日に、スペシャルドラマ「死との約束」(午後9:00)が放送。主演・野村萬斎×原作・アガサ・クリスティー×脚本・三谷幸喜の夢のコラボレーション待望のシリーズ第3弾となる本作は、“巡礼の道”として世界遺産にも登録されている熊野古道を舞台に、時代設定を昭和30年に置き換え、勝呂武尊(野村)の活躍を描く。このほど、ドラマを彩る比嘉愛未、堀田真由、原菜乃華が、作品の魅力を語った。
堀田と原がそれぞれ演じるのは、本堂夫人(松坂慶子)に支配されている長女・鏡子と次女・絢奈。そんな一家に執ように興味を示し、関与してくる医師・沙羅絹子を比嘉が演じる。3人とも三谷作品への出演は、今回が初めて。
「分からないのか、こうなったらもう殺すしかないんだっ」。名探偵・勝呂は休暇で訪れていた熊野古道のホテルで、その場に似つかわしくない物騒な言葉を耳にする。翌日、朝食をとるためにホテルのラウンジに向かうと、そこで医学書を読んでいた医師の沙羅の姿を目にし、声をかける。沙羅は勝呂のことを新聞で見て知っていたため、2人はすぐに打ち解ける。そこに、本堂家の夫人、次男・主水(市原隼人)、長女・鏡子、次女・絢奈がやって来る。どこか異様な雰囲気をかもしだす夫人は、いきなりホテルのスタッフをどなりつけ、子どもたちにはあれこれと命令し始める。
さらに遅れて、長男・礼一郎(山本耕史)とその妻・凪子(シルビア・グラブ)も現れる。夫人の言動は、まるで一家の独裁者のようで、子どもたちはみんな完全に彼女の支配下に置かれていた。その風変りな家族の様子に、勝呂はあっけにとられてしまう。一家と古くからの付き合いがあるという男・十文字幸太(坪倉由幸)によると、主である本堂氏が、家族が一生遊んで暮らしていけるほどの十分なお金を残して死んだため、本堂家は家族全員で日本中を旅しているのだという。沙羅から誘われて本宮大社を訪れ、散策をしていた勝呂は背後から声をかけられる。振り返ると、婦人代議士・上杉穂波(鈴木京香)と編集者の飛鳥ハナ(長野里美)だった。穂波は、自伝の執筆のために熊野を訪れたというが、どうやら勝呂とは旧知の仲らしい。穂波の前では、勝呂は今まで見せたこともないような顔を見せる――。
比嘉は「固くシリアスになりがちなサスペンスものも三谷さんが書かれるとどこかユーモアがあって、本当に“言葉の魔術師” だと思いました。一人一人のキャラクターがしっかりと浮き立っていて、本当にいとおしいキャラになっていて、でもそれぞれがけんかをせずに、うまくまとまっているという印象でした。誰が犯人なのか、最後の最後まで分からない、さすがの展開です」と三谷の手腕に感心しきり。
役づくりに関しては「沙羅は、本堂家の人々に対しても関心を持ち、勝呂の事件捜査にも自分から積極的に協力する人なので、人なつっこさもあり、でも本当はどういう人なのかつかめない。いい人そうに見えて実は…というようにいろいろな表情を出せたらと思いました。昭和30年という時代において、自立した女性の医者は珍しいと思うので、衣装もほかの人とはちょっと違って、トラディショナルというかメンズっぽいパンツを着てみたり、そういうファッションセンスでも一歩先をいっていて。でも何よりも沙羅の持つ“正義感”を一番大事に演じました」と明かし、「萬斎さんと2人のシーンも多かったのですが、私自身がすごく楽しんでお芝居できました。本当に紳士な方なのですが、チャーミングで、ついつい目で追ってしまいました。でもその中に鋭さとか、観察力、最後には決める爽快感。それがこの作品のシリーズの大事な見どころでもあるので、主人公がそういう愛されるキャラクターだというのは大事なことだと思いました。肩書がたくさんあってもどこか親しみやすさもある…やっぱり三谷さんは素晴らしい本を書かれるな、これからもずっと続けてほしいシリーズだなって思います」とコメント。
堀田は「初めに台本を読んだ時に、私は実は犯人が全く分からなくて、まんまと最後までだまされました。勝呂さんの推理を最後まで読んで“あ、そういうことだったんだ”と思ってもう一度台本を読み直してみたら、セリフやそれぞれの行動に伏線がしっかりあったので、素晴らしい台本だなと思いました」と感激。また、「私の鏡子という役は、家族の中でも一番家族思いで、いろいろな人の表情や動作を見た上で、自分の気持ちを押し殺してセリフを言ったり、(みんなに)声をかけたりしているので、できるだけ同じように、皆さんの表情を見たり、どういうふうにセリフを言われるんだろうというのを見ながら、自分のセリフを言うように気を付けました。夫人が言ったことに対してもいつも笑顔で返しているんですけれど、ずっとニコニコしている人って実は逆に怖いなと思っていて。沙羅先生とのシーンでも『早く死んでくれないかって思っているんです』とか怖いことを言っているので、逆にそれを笑顔で言ったらどうなんだろう?とか、そういう笑顔の多様性というか、表情で使い分けていけたら面白いかなあと考えました」と表情での見せ方を心がけたと語る。
オーディションで抜てきされた原は「オーディション原稿をもらった時からすごく“この役をやりたい”っていう気持ちが強かったので、決まった時は純粋にうれしかったです」と喜色満面で、台本については「いろいろ想像しながら読んでいたのですが、面白くて一気に読んでしまいました。でも全然ストーリーの展開が読めなくて、全員最後まであやしくて。一方で、容疑者役が初めてですので、すごくワクワクしながら読んでいました」と話している。
一方、撮影現場の雰囲気は、作品の世界観とは違ったようで「カットがかかると、山本さんを中心にとてもアットホームな家族になっていました。地方ロケでもご当地の食べ物の話で盛り上がったり。皆さんすてきな方ばかりで、撮影は楽しかったです。松坂さんとは、『おもいでぽろぽろ』(NHK)という作品で、ご一緒させていただいたのですが、その時は一緒のシーンがなかったので、今回ご一緒できてとてもうれしかったです」とほのぼのとしたエピソードを披露。最後に「脚本がすごく面白いのはもちろんですが、昭和30年の頃の車、衣装、小道具がとても細かく作り込まれていておしゃれなんです。その昭和30年の世界観も一緒に楽しんでいただけたらと思います」とメッセージを寄せている。
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