テレQの園芸番組はゆる~いコント仕立て。 その原点は「加トケン」? 吉本新喜劇!?2020/12/12
9月6日からテレQ(TVQ九州放送)で始まった「園芸させてもらえませんか?」(第1、3日曜午後0:55)というミニ番組をご存じだろうか? 園芸に関して全くの素人である同局のアナウンサーたちが試行錯誤しながらも、社屋の屋上で菜園づくりに挑む様子を放送している。それもベタなボケを交えた、ゆる~いコント仕立ての内容が展開されていて、思わず見入ってしまうのだ。聞けば、出演している同局の結城亮二アナがプロデューサーを兼ね、さらにディレクターとしても演出しているとか。彼の笑いの原点は何なのか? 収録日に取材する機会に恵まれ、直接話を聞いた。
12月某日。気温12.6℃。初冬の日差しが心地よい午前中に、巨大な電波塔がそびえる同局の屋上に足を踏み入れた。当然なのだが、テレビで見た通りのプランターの列が目に飛び込んでくる。育てている作物からだろう、風に乗って運ばれるハーブの香りがとても爽やかだ。カメラと音声の技術スタッフに、スポンサーでもあり番組協力社でもある「グッデイ」の関係者(うち“寄せ植えマイスター”國分豊さんは出演者でもある)、同局の営業部員ら合計10人ほどが、撮影の準備を進めていた。出演者の結城アナ、櫻井譲士アナ、中嶋空アナも小道具をそろえたり、プランターの配置を調整したり、“裏方”としての仕事もこなす。実は結城アナだけでなく、櫻井アナと中嶋アナも持ち回りで台本も作成し、撮影で演出も担当していたのだ。
――結城アナにうかがいます。ちょっと変わった園芸番組ですね?
結城 「園芸をやるんだけれど、その紹介だけではつまらないから、せっかく3人のアナウンサーが出ているので、それぞれの個性が出るように、昭和のコント仕立てでやりたいなというのが出発点でした。台本も各自に任せる回があって『そのテイスト、踏襲してね』とリクエストしています」
――そのお笑いの原点はどこから?
結城 「ぼくは『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』(TBS系/1986~92年)をずっと見ていたので。ああいう分かりやすい笑いを。あと吉本新喜劇のノリを少し入れたいみたいなところはあります。大阪出身なんで。『なんでやねん、ズコッ』みたいな分かりやすいのがすてきだなと。(近くにいた櫻井アナへ)よしもとっぽいよな?」
櫻井 「はい。子どもから大人まで楽しめるようにやっております」
――そういうノリの園芸番組ってあんまりないんじゃないですか?
櫻井 「ないと思いますよ。先輩の方針でそうなりました(笑)」
結城 「國分さんもノリのいい方で。第1回ではスーパーマンみたいな登場の仕方で。ご本人は想定外だったと思いますが」
――「ドラえもん」を思わせるようなセリフだったり…。
結城 「ああっ! あれは櫻井の演出です(笑)。アナウンサーそれぞれが考えた、分かりやすいノリで」
――そういう意味では収録現場も楽しいのでは?
結城 「めちゃくちゃ楽しいですよ。普段、ニュースを読むとか、実況するとか、ナレーションするとかじゃない、『ガハハ』って笑っている自分を出せるいい機会なのではと思っています。屋外で開放的だし、スタジオとは雰囲気も違いますね」
――楽しい雰囲気が伝わってきます。
結城 「作り込んでいるフィクションのようで、ドキュメントのようで。実際、虫が大量発生しちゃった。葉っぱ食われて枯れちゃったとか。思ったりより大きくできちゃったとか、素の喜びみたいなものを見せたりしてます」
――見せ方は演出しているけれど、中身はリアルそのものということですね?
結城 「園芸部分は、そのままなので。失敗は失敗で。分からないことは『教えて國分さん』となるので。そこへつながる出だしの部分のコントは作り込んでますが。その二つをバランス取りながらやっています」
――ホームページで過去の放送を公開されているのもいいですね?
結城 「(見逃した方を含め)何度でも見られますし」
――内容も初心者が分かるレベルですよね。
結城 「われわれが初心者ですので。番組が始まる前に、屋上菜園をやりだしたんですけど、全然だめで。どうしよう。もしかして番組としてやり出したら、國分さんに教えてもらえるんじゃないの?というところから始まっています」
――ありがとうございました。
園芸に関しては、3人のコーチ役で、時にはコントも演じる國分さんにも話を聞いた國分さんは、ホームセンター「グッデイ」で寄せ植え講師としてワークショップの開催や従業員への指導を担当。数々の園芸コンテストにおいて優勝実績もある。
――番組出演のきっかけは?
國分 「以前、出演した番組で櫻井アナと一緒になり、しばらく間があったんですが、『屋上で菜園を始めたので、やってみませんか?』という話をいただいたんです」
――一般的な園芸番組とは異なりますが、そのあたりは?
國分 「真面目にやるのも大事なんですが、私たちも(園芸を)楽しみながらやれることを広めたいと考えているので。失敗もそのまま見せようと。ありのままの姿を、というコンセプトで。私たちも(保険として)代替(のプランターなど)を用意しているんですが、ディレクターの結城アナは一切使わないんですよ(笑)。失敗しても勉強になりますし、見ている人の役にも立つ。その失敗もどうリカバリーするのかをお伝えすることで生きてきますし」
――それは初心者にもありがたいですね。
國分 「失敗を見る機会って少ないので。1回目の放送などは、まさにそのもので。我々がお手伝いさせていただいて、うまくリカバリーして(今日の)収穫までたどり着きました」
――コント仕立ての部分はいかがでしょう。
國分 「とても面白くて。その印象が強いのか、反響も大きくて、道を歩いていても私に『テレビで見ました』と声をかけてくださる方もいるほどです。つかみとしてはいいのかなと。そんな園芸の番組ってあんまりないので。興味を持ってもらうことが一番大事なので」
――國分さんから演出の案を出すことは?
國分 「ははっ、コントの部分はアナウンサーさんが台本まで作っているので、私は演じることに徹しています(笑)」
――なるほど。これからも頑張ってください。
この後、収録を取材したが、その場にいる者がみんな笑顔で撮影を進めている様子が印象的だった。筆者自身もつい軽口で冗談をはさんでしまうほど、リラックスしたムードだ。なるほど、作り手側の楽しさが画面にも伝わっているんだなと実感。初心者目線でありコント仕立てでもあるため、だれでもが入り込みやすく、それでいて専門家(國分さん)の確かな情報が添えられる…。これは長寿番組となるかも。いや、その前に放送時間が拡大するかな。ふと、そんな思いも頭をよぎる。次回の放送は12月20日。中嶋アナが台本を作成している。ちなみにそこには「茶番は置いといて…」の文字が。どんな寸劇が展開されるのか。放送週の水曜には同局のホームページで番組の動画を閲覧できる。
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