村上春樹原作「地震のあとで」堤真一、井川遥、錦戸亮、のんの出演が決定2025/03/11

NHK総合では、4月5日から4話連続で土曜ドラマ「地震のあとで」(土曜午後10:00)を放送する。
本作は、村上春樹の珠玉の連作短編を原作にした“地震のあと”の四つの物語を描く物語で、原作の舞台となった1995年だけでなく、2025年に至る設定に置き換える。それにより“今”に続く“地震のあと”の30年の時間を描く構成となる。また、阪神淡路大震災をはじめ、地下鉄サリン事件、東日本大震災、コロナ禍…現在へ続いていく悪夢とも言える負の連鎖鎖の先に回復を祈る作品を目指す。
本作は1話完結形式で、それぞれの物語の主演を、岡田将生、鳴海唯、渡辺大知、佐藤浩市が務める。そしてこのたび、各話の核となる主要人物として、堤真一、井川遥、錦戸亮、のんの出演が発表された。のんは声の出演となる。

堤は、鳴海主演の第2話「アイロンのある風景」に出演。演じる三宅は阪神淡路大震災が起こる前まで神戸に住んでいた男で、職業は不明だが風貌から画家だと推察される。冷蔵庫を嫌い、順子(鳴海)の働くコンビニに毎日買い物にやって来る。
堤自身、兵庫県・西宮市の出身。「阪神・淡路大震災の当時は東京にいて、遠くから被災する故郷を眺めるという経験をしています。幸い実家は大きな被害はなかったのですが、亡くなられた人、また大切な人を失ってしまった方々のことを考えると、家族ができた今だからか、以前よりも一層、とてつもないことだっただろう、と怖さを感じています」と震災への思いを語る。「僕は実際にたき火が大好きなんですが、今回、被災し家族を失ってしまった心の傷を抱えつつ、それでも少しでも前に進みたいという気持ちをたき火の炎に託して演じました」と、自身の経験を心に重ね、役を生きたと話した。

井川は第3話「神の子どもたちはみな踊る」で、主人公・善也(渡辺)の母を演じる。彼女は宗教家の田端(渋川清彦)が神の教えを唱える宗教団体の熱心な信者で、今では指導者的な立場にいる。少年だった善也に神の子どもであるゆえんを語り善也を動揺させ、彼のその揺らぎは今もなお続いている。
そんな彼の母役を演じる井川は、「地下鉄サリン事件が起きた時、私は学生で電車通学でした。東日本大震災が発生した時、わが子はまだ1歳で、毎日飛び交う情報に惑わされ、自分を見失いそうになっていました。身近な人たち、大切な人、当たり前だと思っていた日常が、一瞬で崩れ去ってしまうことを私たちは知ってしまった」と、日常が変わってしまった日のことに思いをはせる。そして、「人はいくつもの後悔の積み重ねで生きていて、トラウマや呪縛、整理のつかない感情を抱えている。私の演じた母親も信じることで自分を生かしているのではないかと思いました」と、今回演じた役が抱える思いをおもんばかった。

錦戸は、佐藤主演の第4話「続・かえるくん、東京を救う」に出演。演じるのは片桐(佐藤)の前に現れる介護士然とした謎の男で、関西弁を話し、片桐をある部屋へと誘っていく。そこで片桐は「ぼくのことを本当に覚えていないんですか?」と男に詰め寄られ、世界とのつながりを見失っていく。
そんな謎の男とともに第4話に登場するのがかえるくん。2025年の東京で銀行を定年退職し、漫画喫茶で暮らす片桐の元に現れ、間もなく地震が起こると伝える。その声をのんが務める。

のん自身は、阪神淡路大震災が起こった当時は1歳。当時の記憶は残っていないと言う。「ですが、さまざまな災害が起こる日本でこの作品が誕生すること、井上監督のこの作品に声の演技で参加できることに、使命感を抱きました」と、今なお風化させてはいけない出来事への思いは強い。だからこそ、「村上春樹さんの原作をリスペクトしながら2025年に置き換えた『続、かえるくん~』の画面を通して佐藤浩市さんと演技を交わしているような気分になれて特別な時間でした。何か観念的なもの、意識の奥に疑問やテーマを投げかけるような作品です。たくさんの人に、さまざまな感じ方をしていただけたらと思います」といい、熱い信念を持つ。
制作統括の山本晃久氏は堤と同じく兵庫県・西宮市の出身。当時は中学2年生で現地に住んでいた。「真冬の朝方のあの揺れの激しさを、今でも鮮明に覚えています。あの時から自分の足元はずっと揺れ続けていたように思います。時折、自分たちの立つ地面がとても頼りない危ういものではないかとおののくことがあり、そして真夜中などに、自分の足に血が通っていることを確かめて安心することさえあります」と当時の記憶を振り返る。
続けて「村上春樹さんが30年近く前に書かれた短い四つの物語を今映像化することは、30年前とこれまでに起こった天災の犠牲者への哀悼の意を表するものであると同時に、その揺らぎを捉えようという試みだったのかもしれません。井上剛監督の元、素晴らしいキャスト・スタッフと挑みました。どれもが心を揺さぶられる不思議な物語です」と、消えない記憶に本作のコンセプトを重ね、制作の意義を伝える。
加えて「14年前の今日、多くの犠牲者を出した東日本大震災が起こりました。被災者の方々にお見舞いを申し上げると共に、犠牲となった方々には改めてお悔やみを申し上げます。このドラマは阪神淡路大震災だけではなく、この30年の間に天災人災で亡くなった方々への哀悼を込めています。この祈りが多くの方々と共鳴するものであってほしいと願っています」との哀悼の言葉を紡ぐ。
演出を担当する井上剛氏は、阪神淡路大震災を題材にしたドラマを制作した経験を持つ。しかし井上氏は「僕は震災を体験していない〈部外者〉でした」と言い、「そんな自分に原作『神の子どもたちはみな踊る』は物事を考える指針でした。『地震に遭った人の数だけ震災はある、当事者だけでなくそこから遠く離れた場所にも震災の傷はある』と諭されました」と、今作の原作との出会いを明かす。
そして、「あの地震から30年、今や天変地異や災厄、だけでなく不穏な暴力が横たわる日常に誰もが“部外者”ではなくなりました。そんな時代に改めてこの原作の持つ力を映像化したいと山本晃久制作統括はじめ、キャスト・スタッフ、仲間とともに試行錯誤しました」と、制作にあたっての現場の思いを告白。
3月11日のこの情報を出すにあたり「くしくも本日、東日本大震災から14年目を迎えます。被災者の方々にお見舞いを申し上げると共に、このドラマがこの国の地面の上に生きる人たちが少なからず持つ不安や祈りのようなものに少しでも共振し、共感しうるものであったらうれしいです」と、決して忘れてはいけない思いを口にした。
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