司馬遼太郎原作「坂の上の雲」の再放送に寄せて本木雅弘からメッセージが到着2024/08/31
NHK総合では、9月8日からスペシャルドラマ「坂の上の雲」(日曜午後11:00)を再放送する。89分版を前後編に分けて再編集、全26回で送る。10月4日からは、89分版(金曜午後8:15)をNHK BSPにて全13回で放送する。
本作は、司馬遼太郎(※「遼」の字は、しんにょうの点が二つ)が10年の歳月をかけて書き上げた、日露戦争とその時代を生きた明治の青春群像を映像化した作品。2009年11〜12月に第1部、10年12月に第2部、11年12月に第3部と、テレビドラマの常識を超えて3年に渡って放送された超大作だ。
明治維新によって、はじめて「国家」というものをもち「国民」となった日本人。近代国家を作り上げようと少年のような希望を抱きながら突き進んだのが「明治」という時代であった。松山に生まれた3人の男、バルチック艦隊を破る作戦を立てた秋山真之(本木雅弘)、ロシアのコサック騎兵と対等に戦った秋山好古(阿部寛)、そして俳句・短歌の革新者となった正岡子規(香川照之)。彼らは時代の激流に飲み込まれながら、新たな価値観の創造に立ち向かい、自らの生き方を貫き、ただ前のみを見つめ、明治という時代の坂を上っていった。生まれたばかりの「少年の国」である明治の日本が、世界の中でいかに振る舞っていったかを描く。
また、本編の再放送に先立ち、9月1日には、「本木雅弘が語る スペシャルドラマ坂の上の雲」(午後11:00)の放送も決定。初回放送当時に、本木が収録の裏側などを語った映像に加えて、今回の再放送にあたり、作品を振り返った新たなインタビューも。メーキング映像や本編の見どころなども交えて「坂の上の雲」の魅力をたっぷりとお届けする。
そんな「坂の上の雲」への思いをつづったメッセージが、主人公・秋山真之役の本木から届いた。
「再放送のお話をうかがったときは、驚きと懐かしさと、作品がよみがえる機会を得た喜びとで、なんだかありがたいなと思いました。撮影は07年11月からおよそ3年間で、その期間は『坂の上の雲』で秋山真之を演じることだけに集中して過ごしました。最終ロケ地の松山の海で撮影が終了した際には、『とにかく何とかたどり着いた』という放心と共に安堵(あんど)したことを覚えています」」と、当時の記憶をひもといた本木。
そして、この作品で得られた経験を「ドラマ『坂の上の雲』は、国内40カ所以上、海外7カ国でロケを行い、スタッフの多くは本当に10年がかりの仕事だったそうです。事実、あの規模で、あれだけの月日をかけて、あのようなこだわりで作品づくりに臨める経験はなかなかありません。撮影が終わってから14年ほどが経ちますが、この作品でご一緒させていただいた方々の中には、渡哲也さんや加藤剛さんをはじめ、鬼籍に入られた大先輩方も多くいらっしゃいます。自分にとっては、時を経て思い出すたびにその特別感が増してくる、記念碑的な作品です」と回顧する。
自身にとって“記念碑”となる作品がよみがることについても言及し、「今回、『坂の上の雲』を初めて見てくださる方も多いかと思います。原作の司馬遼太郎さんが、『21世紀を生きる君たちへ』という著書の中で、歴史について語られた言葉があります。<歴史とは? と聞かれるとき、『それは、大きな世界です。かつて存在した何億という人生がそこにつめこまれている世界なのです」と、答えることにしている>。ドラマ『坂の上の雲』も、明治という時代を生きた大勢の人生が詰め込まれた作品です。新しいことが始まる予感に導かれた多くの若者が、夢を持つことから始まる物語です。男たちだけはなく、菅野美穂さん、松たか子さん、石原さとみさんなどが演じる明治の女性たちも溌溂(はつらつ)と活躍します」と司馬の言葉を引用して、作品の魅力を語る。
さらに、時代は違えど、誰もが通る道を描いていることを「近代国家の成り立ちや戦争についての難しい話以上に見えてくるのは、ある意味、日本の青春時代とも言える明治を駆け抜けた若者たちの痛快、痛切な青春物語です。誰もが若さ故に無謀なこともして失敗し、傷つき、学んでいきます。そして少しずつ柔らかくしなかやに強くなっていく。その姿にきっと励まされたり慰められたりするでしょう。そういう始まりの時代の大きなエネルギーの塊、そして、生きていることのまぶしさを感じていただければと思います」と語る。
そして最後に、「現代も、私たちの周りの世界は簡単ではありませんし、別の窮屈さを感じる時代だと思います。そんな今だからこそ多くの人たちに、明治を生きた人々の思いと輝きが届き、それぞれが追いかけた誇りを、まるで自分ごとのように共有して何かの力につなげていただけたら良いなと願っています」と現代を生きる人々へのメッセージで締めくくった。
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