伊藤万理華が「パーセント」で共演の和合由依の姿を見て感じたこと――「演技へのときめきを思い出した」2024/04/04
NHK総合で5月10日にスタートする土曜ドラマ「パーセント」(土曜午後10:00)の取材会が行われ、主演を務める伊藤万理華、共演の和合由依、南野彩子プロデューサーが登壇した。
「パーセント」の舞台は、多様性実現を掲げるテレビ局。“新しい時代のドラマ”を作るため白羽の矢が立ったローカルテレビ局で働く新人女性プロデューサー・吉澤未来(伊藤)と、俳優を目指す車椅子の高校生・宮島ハル(和合)が、性別や障害で語られる自らの“価値”に、何度も悩み傷つきながら、互いの存在に力をもらって、少しずつ前に進む中で希望を見いだしていく、多様性社会を生きるすべての人へおくる物語だ。
「この『パーセント』という作品は、南野プロデューサーから直接、直筆でお手紙をいただいて始まった作品で、最初は恐れがあって、どういう気持ちで挑もうかという構えがありました。しかし、実際に由依ちゃんや劇団の皆さんにお会いして、そういう思いは取っ払ってよかったんだなと感じました。ただ対“人”として、いい作品を作るという気持ちで、誠実に取り組めばいいんだと思いました」と作品に臨んだ心境を明かした伊藤。
本作に取り組むことで「自身の生き方や世界観が変わった」と述べ、「『パーセント』をやる前とやった後では、本当に大げさでもなく生き方が大きく変わりましたし、世界への見方だったり、日常のささいなことに対する考え方も変わりました。特に、人との丁寧な会話をすることの重要性をよりフォーカスして感じるようになりました。これから先、大切な人や周りの人に、きちんと言葉を尽くすという意識を持ち続けることを大事にしたいです」と力を込めた。
「撮影現場は本当に明るくて、雰囲気がとてもすてきでした。この日をずっと楽しみに待っていたので、たくさん楽しくお話できればと思います」と声を弾ませる和合は、東京2020パラリンピック開会式の「片翼の小さな飛行機」役として主役を務めた経験を持つが、セリフのある役柄には、今回初めてチャレンジした。
「撮影期間中、1日ずっとお芝居をするということも初の経験で、すごく楽しい時間を過ごさせていただきました。演技をするのも久しぶりで、表情のことも含め、慣れないことが多かったですが、その中で多くを学びました。特に、万理華さんから影響を受けたこともたくさんあって、学ばせていただきました。ドラマの撮影が始まる前は、プロの役者さんについていけるかどうかなど、不安も多かったですが、撮影を終えてみて、やりたいことを全部精いっぱいできたと感じています。それがとてもよかったと思っています」と、撮影を通じて得た充実感を表現した。
プロデューサー役を演じるにあたり伊藤は、実際にプロデューサーである南野氏から多くを学んだと振り返る。「未来は最初AP(アシスタントプロデューサー)からプロデューサーになる役柄。これまでいろいろな映像現場でスタッフさんの様子を見てきましたが、企画が通ってドラマを作るまでの流れを、役者側は見る機会がないので、そこでの苦悩だったり、物作りにおける最初のものをやられてるという意味では、とても興味深かったです。その一番身近なお手本が南野さんで、プロデューサーっていう仕事について、『画面を見ている時にどこを注意して見ますか?』『ハルちゃんを映している時にどこを一番注意深く見ているか』とか、そういう細かいところも教わりました。本当に近くで、取材感覚で毎回毎回学びながら、物作りって楽しいなとあらためて感じました」と、撮影を通して感じた思いに言及した。
一方、和合は、同じ年齢で同じ障害があるハル役を演じる上での心境を告白。「ハルを演じた上で、一番気を付けていたのは、自分に見えなければいいなってことでした。性格もかぶるところが多かったですが、ハルちゃんが私に見えちゃうと、それはハルちゃんではなくなってしまうので、どう自分の要素をなくすかっていうことを毎回考えていました。演じながらハルちゃんは私にとって尊敬する存在になっていきましたし、お芝居が好きっていう気持ちで撮影も頑張れました。ハルちゃんのモチベーションが高いところや、心(しん)があるところをすごく尊敬しています」と役柄への愛情を伝えた。
劇中、2人が距離を縮めていくのと同様に、伊藤と和合の仲も深まっていたそう。和合との共演が大きな刺激になった様子の伊藤は、「顔合わせの時から、物怖じせず、誰とでもフラットに対話する由依ちゃんの姿勢が印象的でした。その自然なオーラは、ハル役のキャラクターと完全に一致していて、私たちに新鮮なエネルギーをもたらしました。ドラマにおける彼女の演技は、未知の世界への好奇心と純粋な喜びを反映していて、その光る瞬間に立ち会えたことは私にとっても幸せです」と和合のたたずまいについて触れ、「撮影がない時も撮影中も、由依ちゃんの演技からは、新たな発見とお芝居への愛が感じられました。彼女の姿勢は、私が初めて演技に触れ、映像の世界にときめいた時の感覚を思い出させてくれました」と感慨深げだった。
「作品を通して、性別や障害について考えが深まった部分あるか?」という質問に対しては、伊藤が「この作品に入る前から、性別や障害に関する社会の境界線に疑問を持ち、それらをテーマにした本を読んだり、個展を開いたりしてきました。目に見える障害も目に見えない障害も、それぞれに性別も含めてあると思うのですが、そこでの距離感やぶつかってしまうことは、生きていく上で絶対的に誰もが経験すること。そこで大切なことは最初にも言いましたが、やはり対“人”であること。健常者、障害者だからということでなく、その人だから一緒にやってほしい、その人にしかない魅力があるということを『パーセント』では描いています。私が今まで感じていた多くのことを『パーセント』を通じて消化でき、新たな学びを得ることができました」と語った。
劇中では、南野プロデューサーの意向で物語に取り入れられたという、伊藤のUFOキャッチャーのシーンや、和合が話す関西弁も見どころとなっていると紹介。伊藤はこれまで知らなかったUFOキャッチャーの魅力を知ったそうで、「大人がハマるのが分かる、すごく面白い」とおすすめし、和合は「大阪弁に挑戦してみたら、めちゃめちゃ好きになっちゃいました」と笑顔を見せた。
そして、物語について、伊藤は「未来がハルちゃんに出会い、初めての体験を通してさまざまな障壁にぶつかり、失敗を重ねながらも、どうやってドラマを完成させていくかの成長物語」とし、「未来が経験した失敗や挑戦を通じての変化と成長に注目してほしい」とアピール。
和合は「『パーセント』は勇気や元気を与えてくれる作品。撮影が終わってから、久しぶりに思い出した私の好きな言葉があって、『人を傷つけるのは人だけども、人を元気にしてくれるのも人』という言葉がまさに当てはまるというか、すごくしっくりきたんです。今、私が発したこの言葉はすごく短くて、音で言うと簡単な日本語ですが、意味の深い言葉だなって。もちろんキャストの人たちが発する言葉もすごく胸に響くんですけれども、それ以外にも響くポイントがたくさんあって、それがすごくすてきだなと思うところというか、私が『パーセント』が好きな理由です」と作品への愛着をうかがわせた。
最後のあいさつでは、伊藤が「『パーセント』は、皆さんが日々直面している仕事や人との関係での壁を越えていく中で、いつかの夢や目標、ときめきを思い出すきっかけになればと思います。初心を忘れないでほしいなと思う作品です」、和合が「撮影を終えての帰り道、新幹線の中で『パーセント』での経験を忘れたくないなって思ったんです。『記憶喪失になったらどうしよう』とか今まで考えたこともないことを考えちゃって。それくらい忘れたくない思い出を『パーセント』で作ることができて、私は幸せでした。そんな作品をお届けできることができてうれしいです」と、それぞれにとって大切な作品となったことを伝えるメッセージで締めくくった。
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