中川大志、上白石萌歌、窪田正孝、堤真一らが加藤拓也監督・脚本によるSF群像劇「滅相も無い」に集結2024/03/18
中川大志、染谷将太、上白石萌歌、森田想、古舘寛治、平原テツ、中嶋朋子、窪田正孝、堤真一が、MBS・TBSで4月16日にスタートするドラマイズム「滅相も無い」(MBS=火曜深夜0:59、TBS=火曜深夜1:28)に出演することが分かった。
演出家・加藤拓也氏が監督・脚本を務める「滅相も無い」は、演劇と映像を自由に行き来しながらめざましい功績を残し続ける加藤氏自身が、初めて連続ドラマで全話の脚本・監督に挑み、演劇と映像を交差させた完全オリジナルのSFヒューマンドラマを作り上げる。加藤は、第67回岸田國士戯曲賞、第30回読売演劇大賞演出家賞部門優秀賞、また世界を変える30歳未満として「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2023」に選出されるなど、舞台作家として今最も注目を浴びている一方、映像でも、「きれいのくに」(NHK)で第10回市川森一脚本賞受賞、自身で監督・脚本した映画「ほつれる」(2023年)はナント三大陸映画祭で受賞している。
舞台は、巨大な“穴”が現れた日本。ビルより巨大な穴、雲を突き抜ける穴、都会の真ん中に現れた穴…突如七つの巨大な穴が現れた。混乱し、対応に追われ、さまざまな調査が行われたが、穴の正体は分からないまま。やがて人々は、穴とともに暮らし始めた。穴に入る者も多く存在したが、帰ってきた者はまだ誰もいない。
そして、穴を神とする者が現れる。名は、小澤(堤)。小澤は「穴の中には救済がある」と説く。12月1日、リゾート施設に8人の男女が集まっている。川端(中川)、菅谷(染谷)、松岡(上白石)、青山(森田)、渡邊(古舘)、真吾(平原)、井口(中嶋)、そして岡本(窪田)。彼らは、小澤をリーダーとする団体の信者たちだ。小澤の説くルールでは、穴に入る前に、「なぜ入ろうと思ったか」を話し、記録しなければならないのだ。「そろそろ、始めましょうか」と岡本が切り出す。少しの緊張の中、1人目の川端が話を始める。超常の中で打ち明けられる、8人のひそやかな人生の一部分。打ち明けた先で、彼らがたどり着く未来とは?
なお、「滅相もない」の撮影は、演劇的手法と映像的手法をミックスした試みを多数取り入れて行われた。信者8人の会合シーンはロケーション撮影が行われた一方、それぞれの人生はすべてスタジオセットのみで語られる。両親や友人など、語り手の人生に纏わる登場人物は、わずか6人のスタジオキャスト(秋元龍太朗、安藤聖、鳥谷宏之、中山求一郎、宮田早苗、安川まり)が全話を通して出演。約150役をこなし、セットチェンジ、早着替えもスタジオキャストが映像内で行うという、編集に頼らないリアルタイムでの場面転換を試行。また、劇伴音楽を担当するUNCHAINはスタジオセットで実際に本人役として出演して、キャストの芝居に合わせた音楽を奏でており、オープニングはイラストレーター・若林萌氏が担当するなど、各界の新鋭クリエーターが集結。映像&舞台&SF&アニメを縦横無尽に横断しながら、豪華俳優陣がそれぞれのキャラクターの人生を明かしていく。
中川が演じた“怒れない”川端は、幼い頃から怒り方が分からず、教祖・小澤から怒り方のアドバイスをもらう20代の大学生。
中川は「SFとリアルが混在し、現実と非現実の境目が分からなくなる、この作品の世界観にひき込まれ、自分もぜひ参加したい。と胸が高鳴りましたが、その繊細で絶妙なラインを表現することは、僕にとって簡単ではありませんでした。加藤さんからいただく言葉の中にあるヒントを少しも逃さぬよう、そして巧みな共演者の皆さまに飲まれぬよう、必死に過ごした時間はとても濃密で、ヒリヒリしました」と撮影を振り返る。
染谷は、“思い出す”菅谷役で、30代の男性が小学生時代の初恋の女性と偶然の再会を繰り返す役どころを演じる。
染谷は「苦しかったり、苦かったり、つまづいたり、浮き足立ったり。人類の四苦八苦を見事に加藤拓也氏が一つの箱に閉じ込めて、それを穴へ突っ込んでくれました。このドラマの出来事は、皆さんの人生の中にはなさそうに感じつつも、いや? これはなんか心のひだに触れてくるぞ? いや? これはもはや自分のことか?という物事が繰り広げられています。そのたくさんの匿名性がある感情に浸っていただけたら、とても有意義な時間を加藤氏からもらえるのではないかなと思っております。何せこのジェットコースターのようなリズムを感じてもらい、たくさんのものを感じていただきたいと願っております」と、加藤氏が描く世界観へ没入してほしいと望む。
上白石は、アルバイト先のオルゴール記念館で不思議な体験をする“田舎暮らし”の松岡役を担当。
「ずっと憧れ続けた加藤拓也さんの世界に飛び込むことができたこと、心から幸せに思います。加藤さんの作り出す世界にはいつもなんとも言い表せないような不思議な引力があり、拝見するたびに私の心に新たな風を吹かせてくださいます。私たちの日常の延長線上にあるようで、どこか果てしなく遠い場所にいざなわれるような、唯一無二の質感。リアリティーとフィクションとが交差する世界観に、いつも身ごと持っていかれそうな心地のよい危うさが好きです」と加藤が描く物語の魅力を語る上白石は、「生きていく中で避けては通れない苦しみや葛藤と私たちはどう向き合っていくべきなのか、考えを巡らせながら演じました。早く皆さまにもこの『滅相も無い』を体験してほしいです。お楽しみに!」と呼び掛ける。
森田が扮(ふん)するのは、イギリスで生まれ育ち、バレエを習うも辞めさせられる21歳の“帰国生”の青山。
「再び手元へやって来た加藤さんの書く言葉は、わざと見過ごしていた痛みや苦しみをすくい上げてあっけらかんと突きつけてくる、恐ろしくて笑ってしまうほどに。当たり前にこちらの想像力では到底たどり着けない場所に立たされ、まるで感情単体が自分から放り出されるような本当に不思議な感覚を抱きました。そして、小さな存在の私にとってはあまりに彩り豊かな先輩方とリレーのように物語を運べたことは、心を刺激されるぜいたくな経験でした。負った傷や後悔を背負い続け、思い通りにならない人生と欲の正体に向き合っていくことができるのなら、この作品を見て耳が熱くなる瞬間があるはずです。楽しみにしていてください」と、加藤監督の独特な世界観と物語の深いテーマ性に触れている。
古舘は、“取り返しがつかない”渡邊役で、司法試験に落ち続け、家族から無心している54歳の男性を表現する。
「加藤くんという才能あふれた作家と若い俳優たちとの仕事は楽しかったです。しかし半屋外の豪華邸宅で寒さに耐えながらの長時間の撮影は、最年長者のおじさんにはなかなか大変でした。スタジオパートもセリフが多くて、覚えたつもりでも忘れてゆく脳みそと必死に闘いながら頑張りました。おじさんはいつも必死です」と撮影の苦労と自身の役づくりへの挑戦を語り、「いい作品に仕上がってたらいいな〜。出来上がりが楽しみです」と期待を寄せる。
平原は、SNSビジネスで成功を収めるも、大手ホテルから不当な扱いを受ける40代“起業家”の真吾役を担う。
「最初、このお話をいただいた時に、ドラマで加藤拓也くんの作品に関われること、そして素晴らしいキャストの方々と共演できる事に興奮しました。加藤くんの脚本はファンタジー要素はあっても、結局は人間そのものを描いていて、見る人に何かしら当てはまったり、『あぁ~何か分かるわその感じ』と共感できるんじゃないかと思います。演出も俳優の感じたまま演じさせてくれて、演技のすり合わせもスムーズで本当にやりやすい。共演者の方々とも少ない時間でしたが、現場で楽しく作品作りに没頭できました。各人物のいろいろなストーリーを楽しめる素晴らしい作品になっているので、ぜひご覧になってください」と、加藤作品の魅力を表しながら、本作への参加とその経験について熱く語る。
中嶋は、高校の時に交際した同級生が行方不明になり、音信不通になる“好奇心”の50代・井口役を務める。
「それは、心地よい違和感と、得も言われぬ親和性が共存する世界観。未体験なのに、妙に肌なじみのよさがある――。全くもって、奇妙な体験なのです。初めて脚本を読んだ時から、撮影の間も、撮影を終えてしまった今も、なんだか静かに興奮しています。誰かとシェアしたいけど、非常に個人的な感覚のような気もしていて、なにやら胸がドキドキします。大人になって、こういう気持ちになったことって、あったかなぁ。早く誰か、『滅相も無い』という体験を共有できる人が現れてくれないものかと、実はひそかに待っているところです」と、作品への深い愛着をにじませる。
窪田が扮する“夢うつつ”の岡本は、小学生の頃、祖母の実家で夢と現の境が分からなくなる経験した30代の男性。
窪田は「加藤くんとまた仕事ができて心底うれしかったです。脚本も演出も斬新でとても刺激的な現場でした。日常に突如巨大な穴が現れて、それがどこにつながってるかも分からない。天国なのか地獄なのか。その人にとって都合のいい理由でいつでも入ることができる穴が存在したら、人にはどんな心理が働くのか。清算したい過去、トラウマ、カルマ、人間の真髄が描かれた群像劇をお楽しみください」と呼び掛ける。
堤は、穴を信仰する団体の教祖・小澤役を演じる。
「加藤拓也監督の独特の感性が詰め込まれた、とにかく不思議な作品なので、撮影に入るまでも悩む日々が続いたんですが、楽しく撮影することができました。でもきっと登場人物たちに共感できる部分がたくさんあると思うので、物語をどう解釈するか、自分たちだったらどうするか、そんなことを考えながら見ていただけたらと思います。とにかく、出来上がりをすごく楽しみにしています」と期待に胸を膨らませている。
加藤氏は「映画や演劇を作ってきましたが、演劇をやれば映像的だ、映画をやれば演劇的だと言われることに嫌気が差し、今回はそのどちらの手法をも持ち込み、そのどちらでもない『滅相も無い』というドラマを作りました。映画的、演劇的の定義がはっきりとしている前提です。このドラマに集まってくれた俳優、スタッフ、それから2023年2月、松本市で演劇をしている時に会いに来てくれたプロデューサーたちのおかげで、このドラマは産まれることができました。この場を借りてお礼申し上げます。そしてこれから観客の皆さんも最後までお楽しみください」と制作の経緯と、作品への思いを語っている。
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