期待の若手声優・堂島颯人がアーティストデビューを発表! 生きざまが感じられたカバーライブイベントを独占リポート2023/12/26
12月17日に、東京・LIVE SPACE racine du noixで、声優・堂島颯人のカバーライブイベント「堂島颯人2023」が開催された。
外は寒気が漂う中、会場内は約130人ものファンによる熱気に包まれ、一同オールスタンディングで堂島の登場を待ち構えていた。定刻の午後6:00、バンドメンバーに続いて登場した堂島が「Are you ready!?」と叫ぶと、L’Arc~en~Cielの「READY STEADY GO」のイントロが始まり、会場のボルテージは一気に上がる。
「あらためまして『堂島颯人2023』ご来場いただき誠にありがとうございます。あんまり今日しゃべる予定はなかったんですけど…尺の調整上、ちょっとしゃべります(笑)」と、先ほどのヒリヒリした空気とは一変、堂島の優しい言葉が会場を優しく包む。
「学生の時、僕は音楽やっていて…10年前ぐらいかな? もう絶対に歌わないと思ってこっち(声優)の世界に来たんですけど、今こうやってステージ立てているのは、皆さんのおかげだと思っております。僕自身、(音楽を)楽しくやれていたわけじゃない、死ぬほどキツくて嫌だったから歌っていたんですけど、今は時がたって考え方も変わって、違うことを伝えるために歌えたらいいなと思って、今日一日を過ごしていきたいなと。好き放題歌うんで、好きなようにしていてください」
そんなMCを経て、あいみょん「愛を伝えたいだとか」、Moon Child「ESCAPE」、椎名林檎「歌舞伎町の女王」を立て続けに披露。ファンは手拍子をたたくでもなく、堂島の歌声に気持ち良く体を揺らし、まさに堂島の言う通り、音とともに各々が好き好きにその時間を過ごしていたのが印象的だった。
「今日は僕にとっても自分がどういう感情になって、どういう気持ちでここに立つか想像がついていなかったので、思い付いたことをしゃべろうと思って、しゃべることを特に考えていません。…なんですけど、1個だけ考えていたことがあるから、ここで言います」と期待をさせ、「バンドメンバー紹介!」で会場を笑わせた堂島。また、「基本的にはしゃべりながら進めていきたい」という理由に、「だってもう4曲終わっちゃったんだよ(笑)! (全部で)11曲…?」とこの段階で曲数を明かして客席をどよめかせるなど、彼らしいMCが繰り広げられる。
続いてMr.Children「youthful days」、wacci「足りない」を情感たっぷりに歌い上げた堂島は、「とてつもないペースで曲が進んでいってしまっている(笑)」とMCでクールダウン。「ここまで演奏してきた曲は、基本的に僕が皆さんからリクエストをいただいた曲が多かったんですけど、バンドでやった方が映えるんじゃないかなって思ったものをイチから選ばせていただきました。ここからは僕が好みで選んだ曲をやっていきたいと思います。僕が個人的に好きな曲です」というMCから披露されたのは、Amazarashiの「僕が死のうと思ったのは」。
より気持ちを乗せて歌い上げた堂島は「消耗するね、この曲は(笑)」と充実感に満ちた表情を浮かべ、「この曲は僕が高校生ぐらいの時に好きだった曲。僕ってもともとものすごくひねくれていて(笑)、隅っこにいるタイプの人間だったんですけど、こうして人前で何かをすることが増えてきて、あらためてこの曲を歌うと意味合いって変わるもんだな、音楽って面白いなと思いました」と語った。
次の曲に行く前のインタバーバルでは、ファンから「水飲まなくて大丈夫?」という声が。一口飲みながら、堂島も「今トイレ休憩に行っても大丈夫だよ(笑)」と告げ、和やかムードに。そして「ここからはアガるような曲を」と紹介して歌ったのはhide with Spread Beaverの「ピンクスパイダー」。「僕はバンドを組んでいて、この曲もよくカバーさせてもらっていたんですが、(難曲のため)バンドメンバーをふるいにかけた曲でもあった(笑)」と話し、特に「ピンクスパイダー」とMOON CHILDの「ESCAPE」が「一番人を辞めさせた」曲だと明かした。
「たぶん次の曲を僕が知ったのは…僕は今、アクロスエンタテインメントという事務所で声優の仕事をさせていただいているんですけど、その養成所に入った時ぐらいに、その曲がすごくいいなと思って。初めてお会いした時に、本人に『いい曲書きますね』と伝えたら『あぁ、ありがとね』みたいな(笑)。日頃お世話になっている先輩で、せっかくカバーライブやるなら曲を借りたいなと。仲村宗悟で『Oh No!!』」と、ここでこの日一番の歓声が。歌い終え「ありがとう宗悟さん!」と天を見上げた堂島だった。
残すところあと1曲となり、「自分語りしちゃおうかな(笑)」と口にすると場内からは拍手が。
「世界ってさ、すごく不公平じゃん? 比べるものじゃないけど自分が恵まれた環境にいると当時は思えなくて、生きるって何だろうな…なんて考える、バキバキの中二病で(笑)。その結果、あまりにも悲しくてキツくて、世界中が大嫌いだったんだけど、そんな時に唯一できたのが、歌を歌うことだったんだよね。でも、楽しいとかじゃない。めちゃくちゃムカついていて、誰も俺の話を聞いてくれないから、歌にしたら誰かに響くかなって…。そんな思いで本気でバンドをやっていたんだけど、結果的にそんな性格だからうまくいかなくて、歌にすら捨てられたと思った」
と、ここで「あっ、ちょっと待って。泣きそう…」と堂島が思わず言葉を詰まらせる場面も。
「歌うことも好きじゃなくなった時期があったんだよね。音楽にも裏切られたんだって、何もすがるものがなくなって。そこからフラフラして、気付いたら声優というお仕事をさせてもらって、いっぱい歌うようになって。人って変わるもので、発散のためだけに歌っていたのが、そういうものではなくなってきたんだよね。この仕事を始めて、人との関わり方を変えて、たくさんの人の助けを借りられるようになった。ただ、その一方で自分が弱くなったようにも感じていて。そんな時にこの(ライブの)お話をいただいて、今の自分に何が発信できるのか悩んでいたんだけど…でも『別に良くね?』って。弱くなったように感じることはあっても、それは次の日の僕から見たら昨日の僕が弱く見えるっていう話で。いつもその瞬間は必死に生きているわけで、それを否定する必要はないというか。単純に、その瞬間の自分にしかできないことがあると思って、その瞬間の自分にしかできないことをやるべきだと思って、じゃあ『受けさせていただきます』と。そしてアーティストデビューの話をもらって…あ、シングル出します」
唐突な発表に、会場からは絶叫にも似た歓声が上がり、「おめでとう!」という声の中には泣いているファンの姿も。「僕のことで泣いてくれてありがとう」と優しく語り掛けて披露したのは、ライブ翌日から配信開始となった1stデジタルシングル「ひとり」。「今の自分が本当に言いたいことはまだ分からない。だからこそスタッフさんと相談しながら一緒に作った」という同曲だが、まるでMCで語られた彼のもがき苦しんだ青春時代をなぞるかのようなメロディーで、先ほどまで音に身を任せていたファンも一同じっと聴き入っていた。
全曲を歌い終え、一旦ステージを降りた堂島に対し、「アンコール」の声のほかにも「颯人」コールがたちまち起こる。その声の中、衣装を変えた堂島とバンドメンバーが再びステージに登場。
「ひとり」をあらためて告知した後、「(次の曲は)撮影していいよ」とファンに告げると大歓声が巻き起こった。「いっぱい告知してほしいし、うまく歌えなかったらもう一回やるので(笑)」と伝え、再び「ひとり」を披露するも、途中で音がハウリングし、結果的に歌い直すことに。ファンにとっては再度聴けるというれしいハプニングとなった。
そして「ありがとうございました。以上で『堂島颯人2023』閉幕!」と言葉を残し、颯爽とステージを後にする堂島。「ひとり」のインストが流れる中、閉幕後も余韻に浸ろうと会場に残るファン。彼の音楽活動にもますます期待が高まる一夜だった。
【SET LIST】
1. READY STEADY GO/Larc~en~Ciel
2. 愛を伝えたいだとか/あいみょん
3. ESCAPE/MOON CHILD
4. 歌舞伎町の女王/椎名林檎
5. youthful days/Mr.Children
6. 足りない/wacci
7. 僕が死のうと思ったのは/Amazarashi
8. ピンクスパイダー/hide with Spread Beaver
9. バラ色の日々/THE YELLOW MONKEY
10. Oh No!!/仲村宗悟
11. ひとり
EN1. ひとり
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