音尾琢真が「どうする家康」で松本潤との最後のシーンを回顧。「殿って本当によく泣くなと思います(笑)」2023/11/06
NHK総合ほかで放送中の大河ドラマ「どうする家康」(日曜午後8:00ほか)で、鳥居元忠を演じる音尾琢真がクランクアップを迎え、作品への思いや、主演を務める松本潤との共演を振り返った。
松本が主人公・徳川家康を演じる「どうする家康」は、誰もが知る歴史上の有名人である家康の生涯を、新たな視点で描いた波瀾(はらん)万丈のエンターテインメント時代劇。脚本は、映画「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズ、「相棒」シリーズ(テレビ朝日系)、「リーガル・ハイ」「コンフィデンスマンJP」シリーズ(ともにフジテレビ系)などで知られる古沢良太氏が担当している。
音尾が扮(ふん)した元忠は、鳥居家代々の家訓に従い、人質時代から家康に付き添い、生涯を通じて主君を守り続ける徳川一筋の忠義者。普段は不器用で明るい男だが、戦場ではスイッチが入ったように活躍する人物だ。
第42回「天下分け目」では、家康らが上杉討伐のために会津へ向かう。途中の小山で石田三成(中村七之助)が挙兵したとの知らせが届き、西国大名の多くが三成についたことも分かった。家康は天下分け目の戦に臨むべく、西へ引き返すと宣言。息子の秀忠(森崎ウィン)に真田昌幸(佐藤浩市)の攻略を任せ、一旦江戸に戻った家康は各国大名に応援を求める。一方、京で伏見城を守っていた元忠と妻・千代(古川琴音)は三成の軍勢に囲まれ、最期の時を迎えるという展開だった。
クランクアップを迎えた音尾は、「次々とほかの家臣団がアップしていったので、いつか自分もと思ってはいましたが、いざ迎えてみるとやっと抜け出せたような、寂しいような…。長いこと撮影していましたので、本当に終わったんだろうかと、実感が持てず不思議な気持ちです。でも、この作品に参加できてよかったなと、しみじみ感じております」と名残惜しさがある様子。
徳川と敵対する部分がある千代と結ばれることについては、「役について学ぶ中で、武田家の女性をちゃっかり自分の奥様にしていたというエピソードは知っていたので、今作でも描かれるのかなと、気にはなっていました。結果的に千代さんを妻にするという思いもよらない形で描かれました」と自身も驚いたそう。
当初は想定されていなかった設定だそうで、「ある日突然、監督から『千代と結婚することになりそうなんですけど、彦さんどうですか』『武田の女性を見つけ出して妻にしたという言い伝えとジョイントした形にはなるんですけど…』と言われました」と明かし、「相手がまさかの千代ということで、台本をいただく前はいつか寝首をかかれるのかなと想像しましたが、いざ台本が完成すると、彦さんはOKだけど周りの皆が反対するという形。なるほど、と思いました」と納得したそうで、「このエピソードを描いてくれてよかったなと思いましたけれど、これは千代人気が高かったから再登場させたんじゃないか!?と、個人的にはいぶかしんでおります」と笑った。
第42回で描かれた「伏見城の戦い」に関しては、「伏見城の戦いといえば、“血天井”をご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、配下の皆さんと共に戦い抜いて死ぬ、古風な時代の男らしさというか。壮絶で孤独なにおいがするイメージだった」と話すが、「でも今作では千代さんが側にいるので、妙に幸せなムードもあるというのが新しいなと思いました。伏見城で千代と最後に言葉を交わすシーンで、僕は遠くを見ていました。そのシーンの撮影後、監督から『あれはどういう表情だったんですか。殿を思っていたんですか』と聞かれましたが、あらためて振り返ると『違うなぁ』と思って…。武士として殿のために死ねるというだけで幸せなのに、隣を見たら千代がいて最期まで一緒にいられて、さらに幸せで。元忠さんにとっては、本当に幸せでしかない時間だったのかなと思いました」と撮影が始まった頃には全く想像もしていなかった最期になったようだ。
しかし、「元忠さん1人で最期を迎えていたら、もっと混沌とした空気になっていたんじゃないかと思いますし、従来の戦国作品であればこういう描き方にはならないと思いますが、まだまだ幸せが続きそうとさえ思えるような、『どうする家康』ならではの新しい描き方になっていていいなと思っています」と満足感を漂わせた。
また、第41回で、家康と最後に言葉を交わすシーンとなった、伏見城の留守を任される場面。事前に台本を読んでいる時点では、「お互い涙する場面なのかなと想像はしつつも、泣けるのかな…一気にそこまでいけるのかな…と1人で考えていた」そうだが、「でも殿(松本)とあらかじめ読み合わせをして、目を見た時、『これは泣けるな』とすぐに分かりました。殿にもそう伝えると、『俺もやばい、泣く場面のもっと前から泣きそうでどうしよう』と言っていまして(笑)。戦のない太平の世を成し遂げるまでは涙の別れはしない、という思いでやっていたと思いますが、すぐ泣きたくなっちゃうらしいので。あの撮影の間、殿も泣かないように頑張っていたそうです」と打ち明ける。
そして、「この作品を振り返ると、あらためて殿って本当によく泣くなと思います(笑)。お芝居の中ですけど、松本潤という人は感情がピュアでよく泣けるというか。ストーリーの中にすっと入って涙を流される方で、いつもすごいなと思っていました。それがこのシーンでも、現れていたと思います。単純にセリフとセリフをぶつけ合うのではなく、役としての気持ちと気持ちの交換がきちんとできる人なんだなと思っていました」と、感情豊かな松本の芝居を称賛した。
最後に、長らく撮影を共にした徳川家臣団への思いを尋ねると、「家臣団メンバー皆が、クランクインしてからずっと変わらず持ち続けていた共通の思いがあると思っていた」という音尾は、「それは、役として徳川家康という人を支えたいし、役者として松本潤さんという人を支えたいという気持ちです。それを、一人一人が、それぞれのやり方で実行してきたという感じがします。誰もが自分勝手じゃなくて。自分が“こうしたい”“こう魅せたい”ということよりも、何より殿を支えたいという気持ちを持って作品に参加していたと思うので、それが素晴らしいし、いいチームだったなと思っています」としみじみと回顧し、締めくくった。
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