マキタスポーツがビートたけしに渾身のボケ!? FA後第1弾の著書は「僕のシンボリックな記念誌です」2018/09/28
「越境芸人」マキタスポーツ/著 (東京ニュース通信社発行)が9月22日に発売され、これを記念した会見とトークショーが9月28日に都内にて行われた。
芸人、俳優、ミュージシャン、文筆家と、業界を超え、ジャンルを横断しながら活躍してきたマキタスポーツ。このほど、「TV Bros.」でおよそ8年にわたって連載してきたコラムが待望の書籍化となった。芸能生活20周年という節目の年、48歳にして所属事務所の退所を発表し、芸能界初のFA宣言をした芸人が、業界を飛び越え、ジャンルを横断するなかで見えてきた、定住しないからこそできること。そして、今や誰もが生き方の‟編集”を求められる一億総表現者時代。セルフマネジメントだけが身を助ける自己責任社会で、ととまることなく‟越境”しながら考えたこととは── 。マキタ式“第三の思考法”にして、斜め上の日本人論を展開している。
会見では、完成した本を手に取り「ようやく自分の足で歩き始めるというような、僕にとって記念誌的な本になると思います」と感慨深い表情で、喜びを表現。出版するに至った経緯としては、前事務所(オフィス北野)の退所とFA宣言をきっかけとして、執筆・活字への強い思いがあったという。「今年芸能活動20周年だったんですけど、今年の1月まではオフィス北野を辞めるとは思ってもいませんでしたから、相当びっくりな状態でした。でも、20周年のタイミングなのであまりネガティブに捉えずに、‟ネタ半分、マジ半分”で、FA宣言っていうのをやってみようと。生意気かもしれませんが、芸能人で前例がないことをやったほうがいいなと思いました」と決意したことを告白。
「有り難いことに、複数の芸能事務所や、あるいは全然関係ない銀座のエステサロンからも声が掛かったんですけど(笑)」と明かし、タイミングや諸条件を考慮してワタナベエンターテインメントに‟移籍”したのだという。その際に1つ条件があり、それは「出版、書籍や活字に関することは自分で独自にやらせていただきたいということ」。「申し出たら(ワタナベエンターテインメントが)『どうぞ、どうぞ』と受け止めてくださったんですね。それがすごく大きかったです」と振り返り、「僕の責任で物事を発信できるものとして、活字とかは自分で管理したいと思いました。ですから、この本に関してはワタナベエンターテインメントを通さず、直に出版社とやりとりして初めて出す本。僕のシンボリックなものかなと思っております」と堂々発表。「これから小説やエッセイなど色々書いていくと思いますが、ちゃんと独立したスタンスを表明できるようにやっていきたいと思っていますので、その第1弾としてこの本を上梓しました」と胸を張った。
転機になったのは2011年。「お仕事に恵まれ始めて、いわゆる売れたというタイミングで単独ライブをやる予定だったんですよ。ライブは3月12日でした。これをやればさらに道が開けると思っていたんですけど、震災が起こって中止になったんです。そこから、エンターテインメント、特にお笑いの方面は厳しい状態がしばらく続くわけですが、それまでの‟お笑いと世の中とのつながり”は雰囲気が変わって、その裂け目から何となくスルッと登場したのが僕なんですよね(笑)」。
そして、まさに世に知られるようになったタイミングで、雑誌「TV Bros.」での連載がスタート。「半分芸能人でありながら、半分芸能人じゃないみたいな独特のスタンスで色々物事を書いてきた」というマキタスポーツにとって、連載を始めた「TV Bros.」もまた、「半分芸能界に片足を突っ込んでいるけど、半分そうじゃないみたいな、ちょっと半信半疑の雑誌だった(笑)」とか。「あまりに芸能人然とした感じで、いわゆるタレント本っていうのは意味を感じられないし、僕の立ち位置的にも変かなと思った。芸能界に完全に足を突っ込んだ状態で書いていると、色々気を遣って書けないじゃないですか。そういう意味で、完全に芸能界的なものではない場所(=TV Bros.)で連載を持たせてもらったというのは感慨深いですね」としみじみ振り返った。
そういう背景や経緯があって出版された著書「越境芸人」。「(ビート)たけしさんに読んでもらいたいか?」という質問には、「(本を)渡しに行けたらなと思います。読んでいただけるかは分かりませんが」と謙虚にコメント。退所する際、ビートたけしに挨拶に行ったそうで「応援してくださりました。20周年のタイミングなので頑張りたいと伝えたところ、『頑張れ』と。『もし何かあったら俺のところに来ればいいからさ』と言ってくれて、それはすごく力強かったですね」と感謝の思いを。
とはいえ、「良い話」で終わらせないのがマキタスポーツ。「たけしさんに真面目にご挨拶だけするのは気が引けたので、事前に近くの書店で『小さい会社の作り方』っていう本を買って行ったんです。たけしさんも独立されたばかりだったから。それで最後の最後に『たけしさんも会社を作られたそうなので、これを』って渡したら、『いらない』と(笑)。つっこんでもらえたことが嬉しかったです。芸能界に入って一番気を揉んだボケでしたね」と笑った。
会見の最後、「越境芸人」をどんな人に読んでほしいか聞かれると、「僕自身、完全に‟ザ芸能人”っていう感じではないので、自分の立場が定まっている人もいると思うんですけど、身の置き所をまだ分かっていない人に読んでもらいたいなと思います。マキタ流の発想の転換もアリかなって思ってもらえたら」と。続けて「東京・大阪間の新幹線のご移動にぜひ! 3時間弱で読めて、3日間くらい考えられて、3年後に発芽するっていう(笑)。そのくらいのイメージで読んでもらえれば嬉しいです」と絶妙な表現でアピールした。
【著者プロフィール】
マキタスポーツ
1970年1月25日生まれ。山梨県出身。芸人、ミュージシャン、俳優、文筆家など。
他に類型のないエンターテインメントを追求し、芸人の枠を超えた活動を行う。ミュージシャンとしては、2011年に結成したバンド「マキタ学級」での活動のほか、2013年にマキタスポーツ名義でアルバム『推定無罪』をリリース。「マキタ学級大文化祭」や「マキタスポーツEXPO」をはじめ、音楽とお笑いを融合させたイベントのプロデュースを手がける。また俳優として、2012年公開の映画『苦役列車』で第55回ブルーリボン賞新人賞、第22回東スポ映画大賞新人賞をダブル受賞。NHK連続テレビ小説『花子とアン』やTBSテレビ日曜劇場『ルーズヴェルト・ゲーム』などに出演。文筆家としても、著書『一億総ツッコミ時代』(星海社新書)、『すべてのJ-POPはパクリである』(扶桑社文庫)、『アナーキー・イン・ザ・子供かわいい“父親に成る”ということ』(アスペクト)で鋭い時評・分析を展開。TBSラジオの番組『東京ポッド許可局』では、プチ鹿島、サンキュータツオと3人でパーソナリティーを務め、リスナーを招いたイベントでは渋谷公会堂が満員となる。
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