田中圭が“世界のOZU”の人情喜劇「出来ごころ」リメーク版で主演。渡邊圭祐、白石聖、森優理斗、渡辺真起子が共演2023/07/31

WOWOWでは11月から、小津安二郎生誕120年記念作として「連続ドラマW OZU~小津安二郎が描いた物語~」(日曜午後10:00、開始日未定)を全6話で放送・配信。その第1話としてリメークされるのが人情喜劇「出来ごころ」に決定し、お調子者の主人公・喜八を田中圭が演じることも明らかになった。
「小津調」と称される独特かつ唯一無二の映像世界で、没後60年となる今もなお国内外を問わず高い評価を受け続ける映画監督・小津安二郎。生誕から120年を迎えた今年、若かりし頃に小津監督が手掛けた初期のサイレント映画群を、「連続ドラマW OZU~小津安二郎が描いた物語~」では、オムニバスドラマ形式でリメークする。
その第1話の「出来ごころ」は、90年前に公開され、1933年のキネマ旬報ベスト・テン第1位を獲得。喜八という庶民の生活を描いたシリーズ“喜八もの”の第1作で、下町の軽妙なユーモアと人情を描いた傑作だ。喜八のキャラクターは、後の「寅さん」シリーズをはじめとする“松竹大船調”の原点とも言われている。
喜八は妻と別れ、息子の富夫と2人で暮らしながらも、酒や博打に夢中になってしまうダメ親父。そんな喜八を演じる田中は「原作を見て、無声映画というのにも驚きましたし、自分とキャラが違うので、どうしようかと思いました」と戸惑いを見せるが、演じる喜八について、「憎めない“駄目なヤツ”みたいなところが普遍的なんだよなと感じ、演じていてやりがいがありました!」と感想を述べている。
脚本・監督は、デビューから100本以上の作品を手掛けてきた城定秀夫氏。22年だけでも、映画「愛なのに」「女子高生に殺されたい」「ビリーバーズ」「夜、鳥たちが啼く」などの話題作が立て続けに公開され、田中とは「女子高生に殺されたい」に続いてタッグを組む。
城定はこの企画に対し、どうアプローチしたらいいのか悩んだと明かすが、「脚本を書き始めてみると、驚くほど自然に映画『出来ごころ』が自分の筆になじんでくる感触があり、核となる人物たちの心模様は昔も今も変わらないという当たり前のような、そうでないような気付きに少し驚きました」とコメント。映画の表現も昔と変わったが変わらないことも多いと語り、「小津安二郎監督と同じ映画史の上で、自分が今こうして監督をしているおそれや不思議の中で作った作品です。とても楽しい仕事でした」と率直な心境とともに振り返った。
今回、喜八を取り巻く登場人物のキャストも発表。喜八の息子・富夫の面倒を見る優しい面もあるが女性が大の苦手で、喜八の相棒で同じ工場に勤める次郎役は渡邊圭祐。その次郎に思いを寄せる春江役には白石聖が起用された。春江は、喜八たちが暮らす町に流れてきて、喜八の通う食堂で働くことになる。自由奔放な父親とは対照的に、学校の成績も良くて利口な小学生・富夫を演じるのは、森優理斗。さらに、渡辺真起子が、喜八たち工員が通う食堂の店主・おとめに扮(ふん)し、職を探していた春江を雇うなど気立てがいい女性を好演する。そのほか、長田成哉、行平あい佳、駒木根隆介、北村優衣、笠兼三、カトウシンスケ、小野了が脇を固め、作品を盛り上げる。
工場に勤務する喜八は、相棒の次郎の助けを借りながら、息子・富夫と暮らしていた。ある日、喜八は偶然に出会った女性・春江に熱を上げて恋仲になろうと奮闘するが、春江は次郎に思いを寄せていて…。90年前の小津映画「出来ごころ」はいかにして現代版にリメークされるのか。この作品を通して“世界のOZU”が描いた物語の魅力を、あらためて感じることができそうだ。
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