森田剛、橋本愛、高良健吾、安田顕がNスペ「アナウンサーたちの戦争」で感じたこととは?2023/06/29
太平洋戦争時にラジオ放送で日本軍を支えていた日本放送協会と、そのアナウンサーたちの姿を描く、NHK総合で8月14日放送のNHKスペシャル「アナウンサーたちの戦争(仮)」(午後10:00)。本作に出演する森田剛らのコメントが到着。さらに、新たに、浜野謙太、大東駿介、藤原さくら、中島歩、渋川清彦、遠山俊也、古舘寛治の出演も発表された。
国民にとって、太平洋戦争はラジオの開戦ニュースで始まり、玉音放送で終わった。その両方に関わったのが天才と呼ばれたアナウンサー・和田信賢(森田)と新進気鋭のアナウンサー・館野守男(高良健吾)。大本営からの開戦の第一報を和田が受け、それを館野が力強く読み、国民を熱狂させた。
戦前から全国的人気があった伝説のアナウンサー・和田役を務めた森田は「言葉には力がある。だからこそ、人間は難しい。撮影中そんなことを考えていました。和田さんのセリフで『信用のない言葉ほど惨めなものはない』という言葉にひかれました。純粋で、繊細で、真っすぐで、優しくて、弱い、そんな人物を演じていた期間は、とても誇らしかったです」と撮影を振り返った。
開戦臨時ニュースを読み、一躍名を挙げた若手アナの舘野は、日本の勝利を力強く感情を込めた読み方で伝え続けた。しかし、インパール作戦に従軍して戦争の悲惨な現実を身をもって知り、姿勢が一変。終戦の玉音放送を反乱軍の銃口から身を挺して守ろうとした。
舘野を演じた高良は「言葉の力を信じていたアナウンサーの方々が戦争に巻き込まれ、信じていたものが徐々に崩れていく時に、どう向き合うのか、向き合い続けるのかと考えさせられる話です。今は結果が分かっているからこそ、戦時中のことを多方面から話すことはできますが、当時生きていた人たちは今をとにかく必死に生きるしかなかったはずです。何が正しくて、何が間違いかはその時には分からなかったはずです。今より選択肢も情報も少なかった時代に、自分ならどう生きていたのでしょう。もし自分が役のようにアナウンサーだったら自分から発せられる言葉の重みをどう感じていたのでしょう。戦争に巻き込まれる人々の苦しみを題材にしていますが、現場は充実していて、とてもやりがいのある役でした」とコメント。
アナウンサーたちは次々と南方占領地に開設した放送局に赴任し、現地の日本化を進めた。和田の恩人・米良忠麿アナ(安田顕)も“電波戦士”として前線のマニラ放送局に派遣された。戦争末期に最後まで現地で放送を続け、米軍の激しい攻撃にさらされる。安田は「言葉とは、ささやかな幸せを守ったり、ありふれた日常を豊かにしてくれる一方で、地獄を生み出すこともできる。言葉で自分が正しいと信じることが伝えられなくなった時、そういった組織・社会は、われわれの命・生活を守ってくれるのか。80年前の戦争を舞台にしていますが、現代においても、十分に考えさせられる内容です」と言葉の持つ力を感じたという。
一方、和田の妻であり、戦前に入局した女性アナウンサーの草分け的存在だった実枝子(橋本愛)は、雄々しい放送を求める軍や情報局の圧力で活躍の場を奪われる。橋本は「森田さん演じる和田アナのすさまじい気迫に圧倒される日々でした。うそや虚言が臆面もなく流布され、人々を惑わし、“大きな意志”の思いのままに人々は操作される。その先にあったのは、言葉にしがたい悲劇でした。本当に苦しかった。でも、知ってほしい。この作品が描いているのは、きっと真実です」とメッセージを寄せた。
戦況悪化の中、大本営発表を疑問視し始めた和田と「国家の宣伝者」を自認する館野は、伝え方をめぐって激しく衝突する。出陣学徒を勇ましく送り出す実況を任され、ただ苦悩する和田。館野もインパール作戦の最前線に派遣され、戦争の現実を自ら知ることになる。戦争末期、マニラでは最後の放送を終えた米良に米軍機が迫る。そして、戦争終結に向けて動き出した和田たちにも銃口が…。
脚本を手掛けた倉光泰子氏は「ドラマとはいえ、史実に基づく話です。たくさんの方にご協力いただき、慎重に言葉を選びながら、脚本を作り上げました。この話を伝えたいという制作チームの情熱が伝わるものになったと思います。この作品では、戦争の恐怖だけではなく、言葉の持つ力について描いています。戦争は過去のものではありません、世界各地で続いています。その一方で、以前と違い、誰もが好き勝手に言葉を発せる時代になりました。そんな今だからこそ、この作品が、戦争とは、言葉の力とは何なのか、考えるきっかけとなればと願っています。素晴らしいキャスト、スタッフの皆さんによって、どのように肉付けされるのか、完成が楽しみです」と期待を寄せた。
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