中川大志、「アクターズ・ショート・フィルム3」で念願の監督デビュー。「自信をもって自分がやりたかった作品ができたと言えます」2023/02/08
WOWOWで2月11日に放送・配信される「アクターズ・ショート・フィルム3」(午後8:00)の1作「いつまで」で監督を務めた中川大志が、作品への思いや撮影でのエピソードなどを語った。
2021年にWOWOWが開局30周年を記念して行なったプロジェクト「アクターズ・ショート・フィルム」。その第3弾となる今回も、予算・撮影日数など同条件で5人の俳優が25分以内のショートフィルムを制作し、世界から6000本超のショートフィルムが集まる米国アカデミー賞公認・アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア」(SSFF & ASIA)のグランプリ、“ジョージ・ルーカス アワード”を目指す。
中川と同年代がメインキャストの「いつまで」は、中川が今感じているありのままの思いやメッセージが存分に込められた等身大の作品。井之脇海、板垣瑞生、林裕太が共演する。友人の結婚式帰りの20代男子3人。帰路、電車で乗り過ごしてしまった彼らは、見知らぬ田舎町の終点駅にたどり着く。タクシーも走っていない深夜の田舎町を、それぞれの悩みを打ち明けながら、時に笑い、時にふざけ、時にけんかもしながら、夜が明けるまで歩き続ける――。
中川は「僕はずっと“俳優部”の一員として作品に関わってきましたが、現場には、ほかにも技術スタッフ、美術、衣装、メーク…などいろんな部署があって、彼らと一緒に作品を作っていく過程が楽しくて、この仕事を続けてきたところもあったので、そういう意味でずっと(監督業に)チャレンジしてみたいという思い、憧れはありました。それがまさかこんな早いタイミングで、しかもこれだけ恵まれたバックアップの体制がある中でやらせていただけるというのは、ぜいたくな機会でうれしかったです」と喜ぶ。
監督としての手応えは、「準備段階からそうですが、撮影中もすべて納得のいくカットが撮れましたし、編集も楽しかったです。自信をもって自分がやりたかった作品ができたと言えます」と胸を張る。
実際に撮る前と、撮った後での変化については、「あらためて、作品の完成に至るまで、0から10までの段階があるとしたら、僕ら俳優部は半分を過ぎているような段階で参加することも多いのですが、知らないところでこれだけの準備があって、これだけのスタッフが動いている。ロケハンに行くのもそうですし、ロケーションを貸してくださる人たちもいて…本当に何から何までですね。もちろん、想像はしているし、頭では分かっていたんですけど、直接、自分が経験することで、一つの作品が、どれほどのプロセスを踏んだ上で成り立っているかということを感じました。スタッフの方たちへのリスペクトは強くなりましたし、難しさも楽しさも感じることができました」と明かし、貴重な経験となったようだ。
また、そんな時間を過ごし、「監督がどれだけ大変かということを知ることができたというのはありますね。俳優部に戻った時、(監督の大変さを)知っているのと知らないのでは大違いなので。僕はカメラも好きで、写真を撮ったり、学生時代には遊びで映像を撮って自分で編集をしたりもしていたんですが、ちょっとでも知っていると違うんですよね。『あ、今、何ミリのレンズで撮っているのか』とか、撮ったことがあると分かることってあって『今、どれくらいのサイズで自分は撮られているのか』とか『今は明かりが少ないから、早く動き過ぎるとブレちゃうな』とか。そういうことってやったことがないと分からないですよね。監督業もそうで、今回、経験させていただいて、ほかのスタッフの方たちの動きも分かるようになって、そうなると(俳優部で)現場にいて『今、何の時間なんだろう?』と分かんなくなることがないんですよね。ただ、監督によって、組によってディレクションの仕方みたいなものも全く違うし、進み方も違うので“正解”はないと思ってます」と多くの気付きがあった様子。
加えて、「監督として今回、皆さんに演出をつける上で、やはり自分は俳優なので、できる限り俳優の方たちに寄り添えるように、俳優の“生理”が分かっている分、そこは丁寧に言葉を選びながら、距離感や現場のつくり方に関して考えて、常に「自分だったら?」というのは頭にあったかもしれません。俳優をやったことがある監督もいれば、監督をやったことのある俳優もいますが、信じて任せるところは任せる、託すところは託さないといけないし…。監督がジャッジしないといけない場面もありますが、それでもその道のプロの人たちが担っている役割はあるので、こちらも言うことは言いますが、最終的に、それ以上はその道のプロにしか分かり得ない部分もあると思うので、そこは信じて託さないといけないし…そうしたリスペクトが集まって、こうやって一つの作品が出来上がっていくというのは、あらためて感じたところですね」と語る。
作品については「過去2回の『アクターズ・ショート・フィルム』を含め、自分が最年少組の監督ということで、やはり自分たちの世代のエネルギー、この先、何十年経っても、『この時にしかできなかったよね』と言えるような作品にしたいという思いがありました。今回、ほかに4人の監督さんがいますが、一つ自分のカラー、強みとしてそこで勝負したいなという思いがありました」と意図に触れ、それを踏まえて、必然的に俳優陣も、脚本家も同世代となったとのこと。
脚本を手掛けた増田嵩虎氏に関しては、「企画自体を考えて、企画書を書いて、親友の結婚式の帰り道に、酔っぱらった3人がどこかの終着駅にという構造自体は作って、増田さんにお願いしました。増田さんとは以前からつながりがあって、僕の高校の同級生が劇団を作って、自分たちのプロデュース公演をやる時に本を書いていたのが増田さんだったんです。増田さんがどんな本を書くかは知っていて、同じ世代だからこそ、若者の空気感を作ったり、言葉にするのがすごく上手な方だったし、ここに同世代の脚本家の増田さんが入ってくることにも一つ意味があると感じてお願いしました」と信頼感をにじませる。
実際に撮影をしてみて、苦労したことはあまりなかったようだが、「3人がものすごくすてきで、それぞれキャラクターが立っていて、バランスのいい3人だったので、何度もテークを重ねたというのはなかったですね。ただ、神社の階段を3人が昇っていくシーンは、1カットで撮っているんですけど、そこは大変でした。何十段もの階段をカメラマンさんが後ろ向きでカメラを担いだ状態で昇りながら撮っていて、しかもナイターなので、ほかのスタッフの影が映り込まないように、あのシーンは1カットで行こうというのは決めていたので、そこは大変でしたね」と回顧。
続けて、「やはり、一つ一つのセリフの発し方、キャラクターの捉え方など、3人それぞれ、僕が想像している以上のものを出してくれたなと思います。僕は監督としてすべてを見なくてはいけないし、もちろん3人分の台本を読んでいますが、彼らは自分の役柄のことを1人で担い、キャラクターを自分で育てているんです。僕が俳優部の一員として参加している時もそうですが、ほかの誰よりも自分がこの役のことを理解して、好きでいると思っているので、そこに関しては任せる部分は任せないといけないと信頼しています。もちろん、僕もそれぞれのキャラクターに対する思い入れはありますが、彼ら以上に役のこと考えている人間はいないので、そこは信頼していました。それが楽しかったですね。『そうやってくるんだ!』という新しい発見や驚きが常にありました」と充実した表情を見せている。
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