森村誠一「終着駅シリーズ」と「西村京太郎トラベルミステリー」のレジェンド2作品がファイナル2022/11/23
テレビ朝日系で長きにわたって人気を博してきた、森村誠一氏原作の「終着駅シリーズ」と「西村京太郎トラベルミステリー」のレジェンドシリーズ2作品が、この12月に長い歴史にピリオドを打つことが決まった。
12月22日に「終着駅シリーズ」最終作「十月のチューリップ」(午後8:00)、12月29日には「西村京太郎トラベルミステリー」最終作「十津川警部のレクイエム」(午後9:00)を放送。日本ミステリー界にさん然とその名を刻む、森村誠一、西村京太郎の両巨匠によって生み出され、2時間ドラマとして愛され続けたシリーズのラストを飾る作品を、2週連続でおくる。
「終着駅シリーズ」は、執念の捜査で事件の奥底に潜む真相に迫る、新宿西署のベテラン刑事・牛尾正直の活躍を描くミステリー。1990年に露口茂の主演で誕生し、1996年に第5作から片岡鶴太郎がバトンを受け継いだ。ミステリーでありながら、一貫して“人間”を深く掘り下げる物語が支持され、「土曜ワイド劇場」を中心に回を重ね、ファイナル作品は第38作に当たる。また、週刊誌記者・川村冴子(水野真紀)とのコラボ作「終着駅の牛尾刑事VS事件記者・冴子」シリーズ(計16作)などを合わせると、片岡は50作で牛尾刑事を演じてきたことになる。
シリーズがファイナルを迎えることについて、片岡は「始まりがあれば終わりがあるものと常々思ってきましたので、“その時が来ましたか”という気持ちでした。このドラマがベースにあったからこそ、今の私もこれからの私もあると思っていますので、作品には感謝しかありません」と静かに受け止める。
26年間演じてきた牛尾刑事に関しては「“私淑(ししゅく)する存在”ですね。彼はどんなことがあっても冷静でクリアな判断ができ、心の中には愛情と慈しみをあふれんばかりに持っていて、品格があって身奇麗で、美的な感性をも持ち合わせた方だと思います。そんな牛尾刑事に自分自身も近づきたいと願い、この26年間は手本である牛尾刑事と自分のギャップを埋める作業の連続でした」と明かし、「私の中には常に尊敬してやまない牛尾刑事の姿があるので、今後も岐路に立った時、彼だったらどう考え、どう対処するのか自らに問いかけ、彼に近づくよう己をしつけていく…。それはこれからの人生でも変わらず、やっていく作業だと思っています」と、これからも牛尾刑事とともに生きていくと語った。
続けて、シリーズ第1作から演出を手掛けてきた池広一夫監督に向けて、「池広監督は93歳にして、現役バリバリ。この2~3年、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて撮影できない時期がありましたが、今回の撮影ではそのブランクを全く感じさせませんでした。生涯現役を貫いてきた偉大な監督であり、その姿には敬服するばかりです」と敬意を表した。
また、牛尾の妻・澄枝として97年放送の第7作から共演してきた故・岡江久美子さんをしのんで「仲間たちとファイナルを迎えられず、一番残念に思っていらっしゃるのは岡江さんだと思います。でも最後、僕らは岡江さん演じる澄枝の“思い”をきちんと残す形で幕を閉じることができたと信じています。岡江さんには『あなたと一緒に終えることができました』と報告したい思いです」と言葉を寄せた。
最後に「絵の展覧会やサイン会など、どこに行っても必ず皆さんに言われるのが、『牛尾刑事、見てますよ!』『今度いつ放送しますか?』という言葉。それだけ楽しみに待ってくださるファンの方がいるんだなと実感してきました。『十月のチューリップ』は最後にふさわしく、『終着駅シリーズ』ならではの重厚で深いストーリー。ほかでは決して描くことのできない作品ですので楽しみにご覧いただきたいですね。そして、岡江さんをしのび、監督の業績を称えていただきたいと思っています」とメッセージを送った。
そして、もう一方のレジェンドシリーズ「西村京太郎トラベルミステリー」は、79年にスタート。ミステリー界の黄金コンビ、十津川警部と亀井刑事が旅情あふれる映像を背景に、時刻表や鉄道にまつわるトリックを解明し、事件の裏に潜む人間ドラマを浮かび上がらせてきた。2000年放送の34作目で初代・三橋達也さんから十津川警部役を受け継いだ高橋英樹は、第73弾となるファイナルまでの40作に主演。また、12年からは高田純次が、長らく亀井刑事を演じてきた愛川欽也さんに代わって登場。味わい深い演技で10年間、高橋とタッグを組んできた。
高橋は「『西村京太郎トラベルミステリー』は旅、鉄道、そして事件…と日本人が好きな要素が網羅されている、2時間ドラマの原点のような作品で、西村京太郎先生の真骨頂。先生が書き続けてくださったおかげで、73作まで重ねることができました」と今年3月に世を去った原作者に感謝し、「2時間ドラマが少なくなってきた昨今、俳優としてとてもやりがいを感じていた仕事でしたね。ただ、必ず地方ロケがあり列車のスケジュールを優先しなければならないため、撮影は毎回、なかなか過酷なものがありました」と語った。
思い出に残っている作品について、「思い出は数えきれないほどありますが、忘れられないのが北海道・音威子府で-36℃の中、撮影した時のこと!(01年「西村京太郎トラベルミステリー35・宗谷本線殺人事件」)。それまで経験したことのない寒さでしたが、驚いたのは“音”です。ホームで列車を待っていても、寒さで空気の振動がないからか、音が伝わってこないんです。そのため、ホームに滑り込む直前で初めて列車の走行音が聞こえてきて、びっくりしたことを覚えています」と振り返った。
ファイナル作品「十津川警部のレクイエム」の撮影関しては、「今回の作品のすごいところは“風景”。ロケはすべて“ピーカン”の下で行われたので、素晴らしい風景だけでも見応えがあります。神様から“ファイナルとしてしっかり仕事をせよ”と励まされているような気がして、忘れられない作品になりました」と述べ、「今回、十津川が強い表現で容疑者に怒りをぶつけますが、常に冷静な彼が感情をあらわにしたのは初めてのこと。さらに、『西村京太郎トラベルミステリー』史上、初めて十津川が銃を放ちます。仲間が殺されたことに対する怒り、それから悪に対する刑事としての怒りが集約された結果なのですが、非常に珍しい十津川像が描かれています。人間の善と悪の両面が丁寧に描写されたドラマになっていますので、ぜひご覧ください!」と見どころをアピールした。
相棒を務めてきた高田は「亀井刑事を演じて、もう10年になるんですね…。歴史ある素晴らしい作品に参加できて本当に光栄でした。劇団出身なもので、列車に乗っていろいろな地方に赴くことができるのがうれしくて仕方がなかったです。しかも、英樹さん演じる十津川警部は非常に優秀な方なので、彼についていけば、必ずや2時間以内に事件を解決できますしね(笑)。一番の思い出は「初参加だった『山形新幹線つばさ129号の女』(12年)。村川透監督の故郷・山形を舞台にした作品で、食事もおいしかったし、監督の知り合いの方もいっぱいいらして、監督としても気合が入った作品だったと思います」と笑顔を見せつつ、しみじみ回顧。
続けて「ファイナルでは、仲間の悲劇に遭遇した亀井の混乱や憤りを表現するため、監督から何回も『エキセントリックに演じて』と言われました。僕には演技の引き出しは三つぐらいしかないんだけど(笑)、それらをこじ開けて頑張りました。また、今回はなかなか激しいシーンがあって、とにかく十津川警部がかっこいいんですよ! 僕もアクションに参加したかったんですけど、監督から『必要ない』って断られちゃいました(笑)」と明かし、「今回だけは5時間ぶっ続けで放送してほしいと思うぐらい、長いロケにもしっかり臨みました。とにかく余すところなく隅から隅まで見ていただきたいですね」と力を込めた。
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