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柄本佑が伝える「空白を満たしなさい」の見どころ。「一番コアの部分は、家族の愛を再確認していくということ」2022/06/14

柄本佑が伝える「空白を満たしなさい」の見どころ。「一番コアの部分は、家族の愛を再確認していくということ」

 NHK総合で6月25日スタートする連続ドラマ「空白を満たしなさい」(土曜後10:00)で主演を務める柄本佑、共演の鈴木杏、原作者の平野啓一郎氏からコメントが到着した。

 本作は、芥川賞作家である平野氏が、東日本大震災直後に発表した同名小説を原作にしたヒューマンサスペンス。「もしも亡くしたはずの大切な人にもう一度会えたら」という着想から執筆され、今またパンデミックを経て一層心に響く作品だ。

 柄本が演じるのは、ある日突然、身に覚えのない己の死から復活した土屋徹生。会社の屋上から転落したというが、全く思い出せない。最愛の妻と幼い息子を残して、なぜ自分は死なねばならなかったのか? その答えを追い求めていくキャラクターだ。徹生の妻・千佳役を鈴木、徹生の会社の警備員で、徹生につきまとっていた佐伯役を阿部サダヲが務める。そのほか、萩原聖人、渡辺いっけい、うじきつよし、藤森慎吾、ブレーク・クロフォード、風吹ジュンらも出演。ゲストとして、井之脇海、本田博太郎、野間口徹、木野花、国広富之、滝藤賢一が登場する。

柄本佑が伝える「空白を満たしなさい」の見どころ。「一番コアの部分は、家族の愛を再確認していくということ」

 自身の役柄について、柄本は「父親を1歳の時に亡くしているのですが、どこか父親への憧れや、家族というものへの強い思いがあったのだと思います。自分が知ることのなかった父親の影を背負い、家族、息子に対して頭の中にいる父親像みたいなものを何とか体現し、幸せというものをつかみ取ろうとしている、非常に真っすぐでまっとうな人間…そんな印象があります」と紹介。

 もしドラマのように、自分の愛する人が生き返ったら、「本当にそこに存在するかどうか確認しますよね。でも立っていられないだろうな。たぶん後ずさりして転ぶと思います。それこそドラマの中でもありますが、呼吸がおかしくなるでしょうね。すぐ触れられるかというと、それは定かではないですね。亡くなったと思った人が急に帰ってきたら、気絶するかもしれません。そのくらい衝撃があると思います。うれしいというのは、もうちょっと先だと思います。触る、ぬくもりを感じるというのも、もう少し後です。驚がくするという言葉では足りないくらい驚くと思います」と想像する。

 また、「台本を読んだ時、阿部さん演じる佐伯とのシーン、過激だなと思い、鈴木さん演じる千佳とのシーン、過酷だなと思いましたが、始まると想像以上に…。そんな中、印象的なことはスタッフの方々の気遣いと優しさです。本当に仲間に恵まれた現場でした」と振り返る。

 そして、ドラマの見どころについては、「復生して(死からよみがえって)きて、自分の死因が分からない。自分はなぜ死んだのか? 誰かに殺されたのではないかと疑いながら、自分の死の真相を自分で明らかにしていくという、あまり今までにないミステリーの要素がありつつ、ある犯人像が出てきた時に、その犯人を追いかけるというサスペンスの要素がふんだんに盛り込まれています。でも一番コアの部分は、家族の愛を再確認していくということだと思います。どうやって千佳や息子の璃久(斉藤拓弥)は、3年いなかった夫・父を受け入れていくのか。徹生は3年という自分がいなかった時間をどう受け入れ、新たな一歩を踏み出せる状態までいけるのか。そこが最大の見どころになってくると思います」と話している。

柄本佑が伝える「空白を満たしなさい」の見どころ。「一番コアの部分は、家族の愛を再確認していくということ」

 鈴木は「千佳は決して強くはないけれど、強くあろうと思っているし、周りに強くさせられてしまったところもある人。徹生さんのいなかった3年間で得た強さと、徹生さんが戻って来てから、また違う強さも芽生えていくのですが、本当は誰かに支えてもらわないと立っていられないような人なんだと思います。けれど、それをなかなか『よし』とされない人生なのかと。温かい家庭を作ろうと、できることはできるだけ完璧に近い形でやってきた人です。もちろん徹生さんがいなくなった後も、息子の璃久に対しては理想のお母さんとして、徹生さんのような明るい存在でいようとしたのだと思います」と役柄について説明。

柄本佑が伝える「空白を満たしなさい」の見どころ。「一番コアの部分は、家族の愛を再確認していくということ」

 もしドラマのように、自分の愛する人が生き返ったら、「私はやっぱり抱きしめたいって思います。まず抱きしめて、そこから話を聞いたり話をしたりするのだと思いますが、まずは触れたいです」という鈴木。現場では「柄本さんとがっつりお芝居できたことがうれしかった」と喜びつつ、「シリアスなシーンが続いても、休憩中はとてもほがらかで、現場全体を大きく支えていて、愛される役者さんってこういう人のことを言うんだなぁと感動しました」と印象を明かす。

 続けて「ドラマは『これはどういうことなのだろう』という謎に満ちたところから始まるので、それがだんだん分かっていくところの面白さがあると思います。また、徹生さんの視点、千佳の視点、佐伯の視点…どの人物の視点でこのドラマを見るかで、感じ方が全然違うと思います。自分が出ていないシーンも結構多いので、出来上がった作品を見た時にどういうふうに感じるのか、すごく楽しみです」と期待している。

柄本佑が伝える「空白を満たしなさい」の見どころ。「一番コアの部分は、家族の愛を再確認していくということ」

 今回のドラマ化に、平野氏は「10年以上前に刊行した作品ですが、その後も継続的に読まれ続けていて、多くの読者が、自らの存在の深い場所でこの物語を受け止めてくれています。それは、小説家としての何よりの幸福です。ドラマ化の決定は、思いがけない喜びで、素晴らしい俳優の皆さんと製作スタッフに恵まれ、期待に胸を膨らませています。ドラマを通じて、1人でも多くの方に、本作が届くことを願っています」とコメント。

 もしドラマのように、自分の愛する人が生き返ったら「とにかく、話がしたいですね。人間が生き返る、というのは、突飛な設定ですが、愛する人が亡くなった時、残された人たちが最も強く願うことはと考えると、やはり『もう一度会いたい、会って話がしたい』ということに尽きると思います。単純ですし、絶対にかなわないことですが、しかし、これに勝る思いはないでしょう。言葉が、そこではたとえようもなく重要であり、自分の存在のすべてを何とか表現しようとすると思います。だからこそ、文学の主題になります」と思いを伝える。

 視聴者に向けて、「生きることには、喜びと悲しみとが両方備わっていて、その間には陰影に富んだグラデーションがあります。私自身は、生の孤独が極まってゆくような感覚の中で、何度となく文学作品に救われてきました。あえて言えば、文学はそうした精神的な糧(かて)を求めている人たちにとっては、立派に『役に立つ』ものです。そしてそれは、私たちの感じている孤独が、決して孤独なものではなく、他者と共有可能なものであることを教えてくれます。これは、生きることの希望を取り戻すための物語です」とメッセージを寄せている。


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