ももクロ、クライマー・山野井泰史…幅広いジャンルの作品がそろった「TBSドキュメンタリー映画祭2022」が開催2022/01/24
TBSでは、3月18~24日に「TBSドキュメンタリー映画祭2022」を、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次開催する。このほど、記者会見がオンラインで行われ、作品を手掛けた監督たちが参加した。
同映画祭は、テレビで伝えきれない真実を映画という形で世に送り出すため、昨年からスタート。そして、「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」がヒットしたことから、さらにドキュメンタリー映画を盛り上げるべく、新ブランド「TBS DOCS」を設立。今年は、社会派からエンターテインメントまで幅広いジャンルの11作品をそろえ、テレビやSNSの垣根を超えて届けていく。
「TBS DOCS」プロデューサーで、TBS報道コンテンツ戦略室室長の大久保竜氏は「前回は報道局を中心に作品を制作してきましたが、社内でもほかのセクションや若手からドキュメンタリーでやってみたいという声が上がりまして、オールTBSで、事件、政治ものエンタメと、さまざまなジャンルの作品がそろっています」と解説。
テレビ局が、あえて映画で作品を発表することについては、「臨場感のある大きなスクリーンで見ていただけるという魅力が前提としてありますが、ほとんどの記者やディレクターは、日々のニュースだけではなく、放送されなかった部分や、放送した後にもさらに掘り下げて、取材をしつくして届けたい思いがあると感じました。ニュースの新たな事実、続編として届けたいと思った時に、過去の映像がTBSにはあるので、ドキュメンタリー映画を使って、より深く丁寧に伝えることができるのがいいのではないかと思った」とその意義を伝え、「放送コードの問題もあるのか」という指摘には、映画にすることで表現の幅を広がることは間違いないので、この形式となっていることを説明した。
また、アフリカ・コンゴ民主共和国東部で、性暴力によって肉体的、精神的に傷ついた女性たちを20年以上にわたって無償で治療してきた婦人科医、デニ・ムクウェゲ氏の闘いの日々を追ったドキュメンタリー「ムクウェゲ『女性にとって世界最悪の場所』で闘う医師」を手掛けた報道局外信部デスク・立山芽以子監督は、「先生(ムクウェゲ)の活動を知るにつれて伝えなければいけない、日本とのつながりについて知ってもらいたいという気持ちから取材を始めました」と取材のきっかけを明かし、「取材では、東京で先生の話を聞くだけでも、心揺さぶられる事実がありましたが、現地で女性たちの話しを聞くと、それぞれの女性に違うストーリーがあって、一つ一つが大事な人生だと感じました。どうしても、被害の話に関心がいきますが、現地では、女性たちと先生がお互いに助け合って生きていることに感銘を受けて、映画にしたいと思いました」と語る。
そして「この問題は日本と関係ない、自分とは遠い場所で起こっていることでなく、自分たちとつながっている問題だということ、同じ今の世界でこういうことが起きていることを知っていてほしい。快適な暮らしが、何に支えられているのかを知って、考えて行動することに、この映画がつながっていけばいいなと思っています」と作品に込めた思いを話している。
女性アイドルの最前線を走り続けている、ももいろクローバーZ。この先、どんな道を歩んでいくのかメンバーや関係者たちへのインタビューを通じて、その可能性と未来を見つめる「ももいろクローバーZ~アイドルの向こう側~(仮)」を監督した、コンテンツ制作局コンテンツソリューション部兼バラエティー制作一部に所属する酒井祐輔氏は、「これまで、ももクロを取材する中で、この子たちは将来どうなっていくんだろうとずっと思っていました。日本の芸能界になかった存在になっていくんじゃないかと感じて、取材をしました。メンバーたちは、オンとオフが全く変わらず、本当にテレビに映っている“まんま”の子たち。でも、今回、一人一人にインタビューをしたら、こんなことを考えていたんだ、という話が出てきた。ファンである僕自身が驚く部分があったので、ファンの皆さんにとっても興味深い話があると思いますし、ももクロを知らない人にも、彼女たちがなぜたくさんの人たちの心をつかむのか、透けて見えると思います」と内容をアピールする。
自身もファンという、ももクロの魅力については「常に全力を出し切るパフォーマンスをしていること。自分のすべてをぶつけていて、それが全く色あせていない。結成から十数年たっても、ずっとそのスタンスのままやっている。その熱量がほかのグループより高いと思います」と力説した。
また、初のワンマンライブが新型コロナの感染拡大で無観客となった5人組メタルバンド・HAGANEの姿や、コロナ禍に生きる音楽関係者の苦悩を描いた「ライブで歓声が聞こえる日~コロナ禍に抗う音楽業界(仮)」を手掛けた報道局政治部デスクの川西全監督は、コロナ禍において、大きなダメージを受けた業界ながら、取材のしやすい飲食店ほど取り上げられることもなく、ジャンルによって、管轄する省庁も違う音楽業界は、狭間に落ちていると感じ、「報道の人間として取り上げなければならないと思った」と今回の題材を取り上げた理由に触れる。そして、「いろんな音楽業界の方に取材をしましたが、その実態を伝えたいとオファーを受けてくださった。その思いを感じてほしい」と訴えた。
さらに、2021年、登山界最高の栄誉、ピオレドール生涯功労賞を受賞し、「誰も成し遂げていないクライミングを成功させて、生きて還る。」と世界の巨壁に単独で挑み続けてきたクライマー・山野井泰史氏の生きざまを、山野井氏の生涯のパートナーである妻・妙子氏への取材も通して問いかける「クライマー山野井泰史~垂直に魅せられた人生〜(仮)」を手掛けた報道局次長で解説・専門記者室長の武石浩明監督は「取材を受けない山野井さんが『(自分を)一番理解しているのが武石さん』と言ってくれているので、彼の誰も知らない世界を描いてみたいと思った」と長年取材を続けた信頼関係から、今回の企画がスタートしたことを伝える。
続けて「夫婦はとても自然体。これだけすごいことをやっているのに、ひけらかすこともなければ、お金をかけずに、自然に溶け込んで生活している。こんな生き方って素晴らしいよなという部分も伝えたい。そして、山野井さんが、どれだけ厳しいことをしてきたのかが伝わりにくい。ヒマラヤの壁をロープを使わずに登りきる。ものすごい数の人が死んでいるけど、彼は生き残っている。そして一緒に登った人も誰一人死んでいない。彼の野性味、究極の姿は、おこがましいですが、自分にしか伝えられないんじゃないか。命を懸けて作りたい」と使命感を持って編集に励んでいることを明かした。
そのほか、映画祭では、「池袋母子死亡事故『約束』から3年(仮)」(守田哲監督)、「永遠の総理候補・石破茂 嫌われた正論(仮)」(中島哲平監督)、「完黙 中村喜四郎~選挙無敗の男が負けた時(仮)」(武田一顕監督、松原由昌監督)、「戦争の狂気 戦場特派員が見た中東和平の現実(仮)」(須賀川拓監督)、「難病と私~萌々花20歳 だから私は前を向く」(山本一雄監督)、「日の丸~それは今なのかもしれない~(仮)」(佐井大紀監督)、「地下鉄サリン被害者家族の25年~さっちゃん最後のメッセージ~(仮)」(西村匡史監督、神保圭作監督)が上映される。
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