分断の先に何が──。「核のごみ」に揺れる過疎地の町長選を取材!2021/11/19
HTB北海道テレビで11月21日にテレメンタリー2021「核のごみ 訣別(けつべつ)の町長選 ~過疎のマチ 分断の先には~」(深夜0:25、北海道ローカル)がオンエア。テレビ朝日系各局でも随時放送される(https://www.tv-asahi.co.jp/telementary/timetable/)。原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分地選定の文献調査に揺れる北海道・寿都町の住民たちと町長選を追うドキュメンタリーだ。
「核のごみ」処分場選定に向けて国内初の文献調査が始まった寿都町で10月下旬、20年ぶりに2人の候補が全面対決する町長選が行われた。「文献調査の交付金を活用した地域振興」を訴える片岡春雄町長。対抗馬に名乗りを挙げたのは、「調査の即時撤回」を求める前町議だ。町長の腹心だったはずの「ブレーン」も決別の道を選び、対抗馬の支援に回った。熾烈(しれつ)な選挙戦で鮮明になった過疎の町の分断。その先に何があるのか?
「こんなに揉めるとは思わなかった…」
1年前、片岡町長はHTBの取材にこう言葉を漏らした。「核のごみ」最終処分場の候補地選定に向けた第1段階となる「文献調査」に応募を表明したのは昨年10月のこと。「日本の核のごみ問題に一石を投じる」「肌感覚では賛成が多い」として、知事や周辺自治体の反対の声を押し切って決断。調査の見返りとなるのが、最大20億円の莫大な交付金だ。片岡町長は、人口減少対策や産業活性化に活用する構想を掲げた。
町長に異を唱える住民たちが担ぎ上げたのが、前町議会議員の越前谷由樹氏。4回連続で片岡町長の無投票当選が続いていた寿都町長選挙で、20年ぶりの選挙戦が行われることになった。
「片岡町長も初めはこんなふうによちよち歩きだったな」
こう語りながら越前谷氏の出馬会見を見つめていたのは、自らを「町長のトップブレーン」と称していた町議会議員の沢村国昭氏。片岡町長の初当選以来、目玉政策の風力発電事業などを支えてきた。20年近く共に歩んできた盟友と訣別した理由は、町長が応募に踏み切った「核のごみ」文献調査だった。
「こんなに町民を分断分裂させておいて、それでもやらなければいけないのが分からない…」
かつての町長のブレーンは、対抗馬の後援会で選挙戦略を練る立場に変わった。人口約2800人の町を二分する選挙戦。町民からはこんな声が上がる。「核のごみの話題は家族でも話したくない」。
文献調査の是非をめぐり、町民の溝は深まった。10月26日に行われた投開票の結果、現職の片岡町長が235票の僅差で勝利したが、片岡氏に投票した住民からは「調査には賛成だが、核のごみ受け入れは反対」という声も目立つ。
衆議院選挙の最中に行われた今回の町長選。ただ、日本が抱える「核のごみ」の問題が国政の場で真剣に議論されることはない。過疎の町の住民が直面させられた大きな難題。分断の先に、何が残るのだろうか。ナレーターは元NHKアナウンス室長の山根基世が担当する。
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