「おつかれさま」パク・ボゴム【今月のSPOTLIGHT】2025/03/25

1960年代の済州島を始点に、2025年のソウルまで続く家族の物語を描いたNetflixシリーズ「おつかれさま」。アーティスト活動でも人気のIUと“国民の彼氏”ことパク・ボゴムの初共演作としても話題の本作だが、ここでは兵役後ドラマ初出演となるパク・ボゴムに注目したい。
いちずに彼女を思い続ける青年役で制服からスーツ、漁師姿も披露
「おつかれさま」でパク・ボゴムが演じるのは、済州島で鮮魚店を営む一家の息子に生まれたヤン・グァンシク。言葉数は決して多い方ではないが、内に誠実さと情熱を秘めたグァンシクは、幼なじみのオ・エスン(IU)にずっと思いを寄せ続けている。しかし、おてんばでプライドも高く、エネルギッシュなエスンはグァンシクの気持ちに気付いているのやらいないのやら……の状態。しかも、海女の娘に生まれ、裕福とは縁遠い日常を送ってきたエスンは“ここではないどこかへ”を望んでおり、島の男であるグァンシクに背を向けもする。そんなエスンに振り回されながらも、ピュアでいちずな気持ちを向けてきたグァンシクに、優しげな雰囲気のボゴムはぴったり。エスンに対する「好き」を常にあふれさせ、時に優しい言葉をかけたり、時に背中を押したりしながら、彼女を支え続ける役どころに徹している。
とはいえ、エスンという強度の高いキャラクターのそばにいながら、主人公の輝きも放っているのがパク・ボゴムの作り上げたグァンシクという人。物語は2人の関係をユーモラスかつドラマチックに見つめながら、その人生に目を向けていく。そうした中で浮かび上がってくるグァンシクの折れない心や思慮深さ、頼もしさ、相反する不器用さこそが大きなポイント。多面的だがいい意味で変わらない心の軸を持ちながら、ピュアな幼少期やフレッシュな青春期だけで完結するわけではない、痛みも喜びも長く続くグァンシクの人生の物語へとボゴムがいざなう。

兵役前最後の主演ドラマとなった「青春の記録」では、俳優志望のモデル役で等身大の20代を体現。ソン・ヘギョとの共演が話題となった「ボーイフレンド」では年上女性にひかれる青年を、「雲が描いた月明り」ではツンデレの王子を演じていたパク・ボゴム。30代に突入した今、演じる1人の男はそのどれとも違う印象を放つもので、彼が自分史にまた新たな1ページを刻んだと言えそう。もちろん、かつて「恋のスケッチ〜応答せよ1988〜」で80年代の少年然とした風貌がハマっていたように、学生時代の制服から大人になってからのスーツ姿や漁師姿まで、60〜70年代のレトロスタイルもキュート。まずは「おつかれさま」のパク・ボゴムを堪能するのはもちろん、今後の活躍にも引き続き注目だ。

【コンテンツ情報】
Netflixシリーズ「おつかれさま」(全16話)
Netflix
独占配信中

【プロフィール】
パク・ボゴム(Park Bo-Gum)
1993年6月16日生まれ。韓国出身。2011年に俳優デビューした後、「のだめカンタービレ~ネイルカンタービレ」(14年)、「君を憶えてる」(15年)、「恋のスケッチ〜応答せよ1988〜」(15〜16年)などに出演。16年に「雲が描いた月明り」が大ヒットし、“国民の彼氏”と呼ばれるように。映画出演作には「SEOBOK/ソボク」(21年)などがある。
文/渡邉ひかる
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