北野武のキャリアにおける「Broken Rage」の位置づけ――「経験したことは映画につながっている」2025/02/10 17:00
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北野武が監督・脚本・主演を務めるAmazon Original映画「Broken Rage」が、Prime Videoで2月14日から世界独占配信。それを記念した記者会見が行われ、北野と浅野忠信、大森南朋、白竜、國本鍾建が出席した。
「Broken Rage」は“暴力映画におけるお笑い”がテーマ。前半パートでは殺し屋が警察とやくざの間で板挟みになりながら奮闘するクライムアクションが展開し、後半パートで同じ物語を“セルフパロディー”で描いていく。
北野が殺人の容疑をかけられた殺し屋・ねずみを演じ、浅野はねずみに捜査協力を依頼する井上刑事、大森は同僚の福田刑事、白竜はやくざの若頭、國本はクスリの売人を演じた。
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ほかにも、中村獅童や劇団ひとり、錦鯉の長谷川雅紀ら豪華な面々が出演した本作は、日本の配信映画として初めてベネチア国際映画祭に正式出品され、高い評価を獲得。しかし、ベネチアでの観客の反応を聞かれた北野は「移動中にボートに頭をぶつけてしまって、帰って来るまで記憶がないんです。今は痛みはないんですけど、ベネチアのことは本当に覚えていないんですよ、恥ずかしながら」とコメントした。
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「あんなに楽しい時間を一緒に過ごしたのに、全く覚えていないなんて!」と受けた浅野は、「最初のシリアスパートでは北野監督のヤクザものが始まったという雰囲気だったのが、コメディーパートが始まってから一気に会場の雰囲気が変わった。みんなが家族のように面白い映画を見ているという雰囲気に包まれて、僕も一緒に笑って見ていました」と上映中の雰囲気を振り返り、大森は「劇場の出口で武さんの古くからのファンが待っていて、みんな写真にサインを求めてくるのですが、僕に渡されたのは全部浅野くんの写真(笑)。一応、『大森』って書いて渡しました」とエピソードを披露し、笑顔を見せた。
また、北野は「ネット配信ということで、お茶の間で見る映画というのはどういうものなのかと悩みまして。劇場とテレビというハードが変わるだけで、ここまで変わってしまうのかと。作る側の環境が変わると、エンターテインメントというものはここまで変わってしまうのかということが分かった」と完成した作品についての率直な印象を告白。具体的には編集作業に大きな違いがあったそうで、「最初は2時間以上あるかなと思っていたんだけど、実際にテレビに映して、家で寝っ転がってテレビを見ている感覚で編集を始めたらえらい短くなってしまった。同じストーリーで同じテンションで撮っていたのに、こんなに変わるのかというくらい短くて、焦って担当者に確認した」と、劇場用映画なら5秒ほど取る“間”もテレビ用では必要ないと感じてカットしたことを打ち明けた。
撮影中の雰囲気については、浅野が「『首』でも監督と大森さんと“トリオ”のようにいろいろ面白いことをやらせていただきましたが、台本を読んだ時にこれは予想以上になっているなと思いまして。不安と期待が入り混じって本当に緊張しましたし、現場でもいろんな新しいことをやって鍛えられましたが、そばに大森さんと監督が常にいてくれたので、楽しむことができました」と本音をポロリ。
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大森も「本当に現場に行くのが楽しくて…」と言いつつ、「監督の前で笑い的なことをやるというプレッシャーが…僕も浅野くんも半端なかった(笑)」と普段とは違う緊張感を感じていた様子で、白竜も「これはここまでやっていいのかなと感じたこともありましたが、毎回監督には『お任せします』という感じで。今回も『いくらでも料理してください』という感じでやらせていただきました」と監督への信頼の厚さを見せた。
「アウトレイジ」を想起させるタイトルについては、北野監督が「『アウトレイジ』は昔のヤクザ映画じゃない現代的な撮り方でやったのですが、それに対するパロディーという意味もあって。それをブロークするという意味と、自分の映画自体のキャリアそのものを壊すという意味も込めました」と解説。その上で「映画というのは総合芸術としてNo.1だと思っていて。後付けですけれども、お笑いとか自分が経験したことは最終的には映画につながっているなと感じているし、今、自分が一番楽しめるエンターテインメントである映画に関わることができるのは、非常にうれしいことだと思います」と自らのキャリアにおける本作の位置づけについても語った。
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「今までは劇場に足を運んでくれるお客さんを対象にしていましたが、今後、エンターテインメントは一体どういう方法を取っていくのかなと。今過渡期というか、試されている時期なので、その渦中にいるわれわれは、できる限りチャレンジしていきたい」と、「Broken Rage」での挑戦について語った北野。「今回も実験的な映画なんだけど、ここにいる役者さんたちが本当にうまくて、一生懸命やってくれて映画としての形はできました。この映画の目指すベクトルが、次にまた違う映画として花開くことを期待しています」と未来も見据えていた。
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Amazon Original 映画「Broken Rage」
Prime Video
2月14日から世界独占配信
取材・文/須藤美紀
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