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有村架純&坂口健太郎「さよならのつづき」脚本・岡田惠和の挑戦とこだわり2024/11/20

有村架純&坂口健太郎「さよならのつづき」脚本・岡田惠和の挑戦とこだわり

 数々のドラマ、映画「8年越しの花嫁 奇跡の実話」「余命10年」を手掛け、ヒューマンドラマの名手と称えられる脚本家・岡田惠和氏が、初めてNetflixシリーズの脚本にチャレンジした「さよならのつづき」。有村架純坂口健太郎の共演で、かつてない物語をつくることを自らに課し、新たな世界を切り開いた。

 プロポーズされたその日に、恋人・中町雄介(生田斗真)を事故で亡くした菅原さえ子(有村)。そして、その雄介の心臓を提供されて命を救われた成瀬和正(坂口)。そんな2人が出会い、やがて成瀬の中に雄介の記憶が“生きている”ことを知る――。

──初めてNetflixシリーズの脚本を書かれるにあたって、心掛けたことを教えてください。

「強い物語を書きたいと思いました。解決できない、答えの出ない話なのですが、そこから逃げずに、これまでの自分の書き方を、どんどん裏切っていこうと考えました。設定も展開も、どちらにするか悩んだ時、すべて脚本家として苦しい方を選んでいます」

──ハリウッドのバイブルワークショップに参加されたそうですね。

「配信はテレビとも映画とも違うと感じていたので、新人としてチャレンジしたいと思いました。世界に通じるキャラクターとは何かというレッスンを受けた後、ハリウッドでショーランナーとして長年活動してきた方に、書き上げたプロットを見せてトークセッションに入るのですが、とても楽しかったですね。『冒頭のシーンのプロポーズから雄介の死までの約5分で、2人の深い愛を表現できると思うか』と質問したのですが、『素晴らしい構成だと思う。短い時間でも表情やセリフで2人の愛を描ければ、さえ子の喪失感も視聴者に伝わり共感が得られるでしょう』と励まされました」

有村架純&坂口健太郎「さよならのつづき」脚本・岡田惠和の挑戦とこだわり

──さえ子のキャラクターづくりで意識されたことは何ですか?

「過去の日本のドラマに少なからずあった、女の人は耐えることが美徳という描き方を、ふっとばしたいという思いは自分なりにありました。フィアンセを亡くしたことは非常に悲しいことですが、ずっと耐えて下を向いているわけではない。仕事が大好きで生きがいで、自分の手で幸せをつかもうとしている、前向きな女性像を描きたかった。さえ子が強すぎるのではないかという意見もありましたが、有村架純さんが新たな引き出しを開けてくれたことで、強気なところとチャーミングなところが、いいバランスになったと思います」

──成瀬のキャラクターづくりはいかがでしたか?

「一番難しい役どころでした。子どもの頃から体が弱く、いろんなことを諦めざるを得なかった。人間関係にも深く踏み込めなくて、誰にでも優しくしてしまう。そういうところは、幼い頃に病弱だった自分自身の経験を落とし込んでいます。そんな彼が移植手術を経て、初めて会ったはずのさえ子になぜかどうしようもなくひかれていく。その説明のつかない揺れ動く感情は、視聴者の皆さんにも理解してもらいづらいのではないかという恐れはありましたが、坂口健太郎さんが成瀬と雄介という対照的な2人の感情のグラデーションを、実に繊細に演じてくれました」

──成瀬が誰にも吐露できない思いを、思わず親友にぶつけるシーンは胸が痛くなります。

「成瀬が唯一心を許すことができるのは、雄介の親友だった健吾ではないかと考え、2人が初めて会うシーンは大事に描きました。坂口さんはもちろん、健吾役の奥野瑛太さんの表情も反則なくらいすてきでしたね」

──もう1人の重要な登場人物である成瀬ミキ(中村ゆり)にも、さえ子のプロアクティブな女性像が共通していますね。

「彼女も自分から成瀬にプロポーズするなど、自らの手でつかみにいく人です。さえ子と対峙(たいじ)するシーンは、スタッフの間でも議論を呼びました」

──物語の構成で特にこだわられた点を教えてください。

「やはり続けて一気に見ていただくことを意識しました。特に第1話は何度も書き直して、最終的に大胆な構成にしています」

──今の時代において、どんな作品になったと感じていますか?

「生きていれば、誰にでも悲しいことは起こります。だけど、登場人物たちが何とかして、そんな運命にあらがう物語になりましたので、見てくださる方が強い気持ちになれるドラマになったのではないかと思います」

【プロフィール】

有村架純&坂口健太郎「さよならのつづき」脚本・岡田惠和の挑戦とこだわり

岡田惠和(おかだ よしかず)
1959年2月11日生まれ。東京都出身。99年、ドラマ「彼女たちの時代」(フジテレビ系)で芸術選奨新人賞放送部門受賞。2001年に連続テレビ小説「ちゅらさん」(NHK総合ほか)で向田邦子賞や橋田賞、19年に紫綬褒章受賞。主な作品に、ドラマ「最後から二番目の恋」(フジテレビ系)、連続テレビ小説「ひよっこ」(NHK総合ほか)、「そして、生きる」(WOWOW)、「姉ちゃんの恋人」(フジテレビ系)や、映画「いま、会いにゆきます」(04年)、「8年越しの花嫁 奇跡の実話(17年)、「余命10年」(22年)など。

【コンテンツ情報】

有村架純&坂口健太郎「さよならのつづき」脚本・岡田惠和の挑戦とこだわり

Netflixシリーズ「さよならのつづき(全8話)
Netflix
世界独占配信中

恋人の中町雄介(生田斗真)を、プロポーズされたその日に事故で亡くした菅原さえ子(有村架純)。その雄介の心臓を提供されて命を救われた成瀬和正(坂口健太郎)。そんな2人が、何かに導かれるように出会い、やがて、成瀬の中に雄介の記憶が“生きている”ことを知る。将来を誓い合った恋人たちの“さよなら”から始まる、行く先の見えないラブストーリー。

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