エリザベス・モスが「テーマの一つは権力」と語る「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」シーズン42021/10/22
出産可能な女性が捕らわれ、“子どもを産むための道具”=侍女にされているという衝撃的な世界で、侍女として生きる主人公・ジューンの壮絶な戦いを描いた「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」。エミー賞を多数受賞しているこの作品で、力強く生きるジューンを熱演しているエリザベス・モスが、シーズン4では監督にも挑戦。本作に懸ける思いを語ってくれた。
── 今シーズンの展開はどうなりますか?
「今シーズンのテーマの一つは権力。そして本当の権力が何を意味していて、誰がそれを持っているかということなの。原作の大部分がそのことを描いていて、このドラマも同じ。権力は危険なもので破壊的なものにもなりうるわ。ジューンと、侍女の監視役のリディアおば(アン・ダウド)の2人とも権力を求めているけど、たぶん、2人のやり方と目的は異なるのよ」
── ジューンはどこに向かっていくのでしょうか?
「今シーズンの後半は、激情や怒りといった感情や、問題を隠そうとする願望、すべてが今はOKだと言いたい願望について描いているの。すべては何の問題もない、起きたことのすべてを忘れましょう、というふうにね。ジューンの道のりの大部分が、ある意味、風に向かって『私たちは忘れない!』と叫ぶことなの。それは、ものすごく重要なことだと思うわ。私は、それがどれほど今日的な意味を帯びているかということに、今気付き始めているところなのよ」
── 本作であなたの人生はどのように変わりましたか?
「最も大きく変わったことは、プロデューサーでもあるということ。以前、小さな数本の映画のプロデューサーをやったことはあるけど、こういうレベルの作品のプロデューサーをしたことはなかったの。だから、それは私の人生においてとても大きな変化だった。最初のシーズンに依頼してもらって、とても幸運だったわ。最初に、『私はただクレジットが欲しいわけじゃない。参加したいし、助けになりたいの。そして学びたい』って言ったの。今もそうよ。今でも日々、プロデューサーたちから学んでいるわ。そして私は、今は制作会社を持っていて、ほかの作品もたくさん手掛けている。正直に言って、プロデュースは演じることよりももっと時間を取られるわ(笑)」
── 今シーズンでは監督にも挑戦していますが、いかがでしたか?
「私はジューンとして、最初から多くのことに関わってきたから、この作品のことをとてもよく分かっているの。だから、新しいポジションもそれほど大きな変化ではないわ。この作品が大好きだし、尊敬していて大切に思っている。私は32年間、女優の仕事をしているから、こういった仕事を当たり前だと思えない。だから、この作品のよさを十分に発揮できるようにしたかったのよ」
── ディストピア小説が原作ですが、リアルだと評されていますね。
「私はいつもマーガレット・アトウッドの原作に戻っている。85年に出版されたけど、すごく今日的な意味を帯びていて、真実を描いていると感じられたわ。彼女は、『これまでの歴史上や現実社会に存在しなかったものは一つも書いたことがない』とよく言っていた。私たちは作品のキャラクターたちを追いかけるの。彼らは母親であり、父親であり、友達であり、兄弟であり、姉妹であり、敵同士なの。彼らはとても人間的だから、人々が共感し現実に関連していると感じられる傾向があると思う。なぜなら、人間的なテーマが重要じゃなくなることはないからよ。この作品で最も重要なことは、その人間らしさだと感じるの」
【プロフィール】
エリザベス・モス(Elisabeth Moss)
1982年7月24日生まれ。アメリカ・ロサンゼルス出身。99年の映画「17歳のカルテ」に出演し、ドラマ「マッドメン」(2007~15年)で注目される。ほかに「トップ・オブ・ザ・レイク」シリーズなどに出演。
【作品情報】
「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」シーズン4(全10話)
Hulu
毎週金曜 独占配信中
子どもたちをギレアド共和国からカナダに亡命させることに成功した侍女のジューン(エリザベス・モス)だが、深い傷を負ってしまう。何とかある農場にたどり着いた彼女は、女性たちのために再び立ち上がることを決意する。
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