ジェームズ・スペイダーが語る「ブラックリスト シーズン8」の魅力2021/04/24
世界中で人気のアクションサスペンス「ブラックリスト」最新シーズンの日本初放送が決定! 最重要指名手配犯、レイモンド・レディントを華麗に演じ続けるジェームズ・スペイダーが、本シリーズの見どころ、演じるレイモンドの魅力を語ってくれた。
── これまで視聴者は、レイモンドのさまざまな面に驚かされてきました。シーズン8でご自身が驚いたことはありましたか?
「今回のシーズンもサプライズが山盛りです。私にとっては、脚本家とずっと前に話していた内容が実現化しているので、そういう意味でも驚きはありますね。ここ数シーズンでの出来事は、私たちがずっと前から話していたことなんです。なので、私たちよりも皆さんの方が驚かれることが多いと思います。私はレイモンドが置かれているさまざまな状況に驚かされています。ある状況下での自分の反応に、自分でも驚くことがあります。そのことを楽しんでいますよ。状況によって自分がどう反応するか、それにハッとさせられるのも、役者というものの面白いところだと思いますから。時々、シーズン中に予想もしなかったことが起きたり、最初に考えていたやり方とは違う方法を新しく考えることもあります。そうなると、ドラマがどんなところにたどり着くのか、そこは今でも驚かせてもらっています」
── このドラマで楽しみにしている新しい要素や挑戦はなんですか?
「『ブラックリスト』は私が携わったテレビドラマの中で、長く続いたものとしては2作目なんですけど、100エピソード以上演じています。1作目は『ザ・プラクティス』のアラン・ショアというキャラクターで、放送翌年にスピンオフ作の『ボストン・リーガル』として数年続いて。今はこの『ブラックリスト』でシーズン8までやってきたわけです。両方のキャラクターで魅力的だったことは、キャラクターがストーリーの中でどう成長していくかだけではなく、周囲も含めて時間の経過によってどう成長したかを見られるということです。特にレイモンドの場合は、健康問題もありますが、彼の人生の本質的なところも見ています。これまでの彼の人生は若かった。しかしこれから年を取っていった時、維持していくには大変な人生です。それは彼の人間関係が成長したということでもあります。このドラマでは、彼の人間関係がどういうものか、その質や、どう成長したかを見せることがとても重要です。幸いにも、そういった人間関係の変化と発展、そこから別の道に進んでいく様子を見る時間はたっぷりある。このシーズン8では、レイモンドとエリザベス・キーン(メーガン・ブーン)との間に深い深い溝が生じます。私はそういうところに魅力を感じますし、掘り下げていくのが楽しいんです」
── レイモンドはこの8年でどのように変化したのでしょうか?
「彼は大きく変わりましたね。まず年を取りました。逃亡者としての人生にも変化があって、今では他人との関係性に責任と恩義を感じていて、そのことが彼の日常にも現れています。ドラマが始まった頃、彼は常に逃亡中の身で、自分の人生や友人、デンベ・ズマ(ヒシャム・タウフィーク)のことばかりを気にしていましたよね。そこが大きな変化です。今の彼は、タスクフォースの特定の人たち以外の対人関係にも善処しています。エリザベス・キーンとの関係もそうですね。過去8年間で、彼の人生に大きな影響を与えた人です。彼の仕事は山あり谷ありでした。数シーズン前には、シーズンの半分を刑務所で過ごしてもいますよね。いろいろなことがありました」
── レイモンドのどんなところが好きですか?
「ドラマが始まった頃から好きなところは、彼の無作法なところやユーモアのセンスです。彼の人生への欲望も好きでした。その欲望がいかに深く染み込んでいたかを知った時、彼のことがもっと好きになりました。それから、彼の不安定な部分も知りました。そのことを理解しているからこそ、私は彼の嫌いなところについて言うつもりはありません。不安定な人物だからといって彼を批判することはしません。私はただ、彼を演じきるだけです。でも、彼はおそらく自分の中のこの資質が好きではないのだろうと思います。彼のような、暴力に慣れ親しんだ人物を演じていて思ったのは、彼の中に優しさや穏やかさとか、人生の愛に憧れるような人物が創り出されたのではないかということ。私が一番評価しているのは、彼の中にあるそういった二面性や、難しい性格を持った人物像なんです。だからこそ、こんなに長い間、楽しく演じられているのだと思います」
── 今までどうやって役に関する秘密を守ってきたのですか?
「ベラベラ話しすぎないことです。簡単なことなのに、非常に難しいんですけどね。とにかく慎重にならないと。脚本家の皆さんは、質問をされた時、何かを答えているような印象を与えつつもしゃべりすぎないように用心されていて、驚異的にうまくやられていますよね。今でも、脚本を読んでいると、会話一つでもストーリーがはっきり分かってしまったり、物語をどうやって伝えるのかがピンと来るようなことがあります。質問に答える時は、こちらからも別の質問を持ち出す、ということをずっとやっています。このバランスを保つことができれば、ミステリーや好奇心、サプライズを重要かつ生き生きとしたものにできると思います」
──「ブラックリスト」はドラマチックでミステリーな部分が視聴者をひきつけていますね。
「このドラマでミステリーとは、作品のトーンを作るという意味でもとても重要です。私自身、このドラマはジャンルでいうと何なのだろうかと悩みます。ドラマチックな時もあれば、笑える時もあって、エモーショナルな時も、ミステリアスな時もある。不穏な時や、おバカな時もあって、エピソードごとにトーンが変わっていきますよね。こういう点を私も模索していました。ドラマの精神が流動的で、時の流れとともに変化することができれば、ドラマがもっと続きやすいものになるからです」
── 脚本をもらって、「どういうことなんだろう」と気になって眠れなくなることはありますか?
「ドラマに関することはスタッフたちとすべて話し合っています。でも確かに、このドラマのことを考えると、夜も眠れなくなります。もともとよく眠れない方でして、ぐっすり眠れない。しかも起きたら、すぐに頭の中が動きだしてしまうんです。強迫観念にとらわれることが多いので、ドラマのことを考えて遅くまで起きていることもあります。頭の中でシーンを再現したり、頭の中でスピーチしたり、ストーリーを思い浮かべたりして。真夜中に考えていたことは、朝になったら書き起こせるように覚えておくんです」
──「プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角」(1986年)で共演した、アンドリュー・マッカーシーが演出を担当していますが、再会はいかがでしたか?
「アンドリューとは、初めて仕事をして以来のよき友人で、その後もしばらく仲良くしていました。当時は住んでいる街が違ってね、私はロサンゼルスで、彼はニューヨークでした。あの頃は電話で連絡を取り合っていたんですけど、それから会うこともなくなってしまって。もうずっと一緒に仕事していなかったんです。彼は旅行記を書いていて、私もいくつか読んでいました。そうしたら、彼が『ブラックリスト』のエピソード監督をやるんだという知らせを聞いて、興味津々でした。彼とはもう何十年も会っていなかったのに、現場にやって来た彼はまるでほんの数年ぶりのようで。あの頃のままでした(笑)」
【プロフィール】
ジェームズ・スペイダー James Spader
1960年2月7日生まれ。米・マサチューセッツ州出身。89年の映画「セックスと嘘とビデオテープ」でカンヌ国際映画祭最優秀主演男優賞を受賞。ドラマ「ザ・プラクティス」(97~2004年)と「ボストン・リーガル」(04~08年)の演技でエミー賞を3回受賞。本作「ブラックリスト」でゴールデングローブ賞に2度ノミネートされている。
【番組情報】
「ブラックリスト シーズン8」(全22話)
5月25日スタート
スーパー!ドラマTV #海外ドラマ☆エンタメ
火曜 午後10:00~10:55ほか(二カ国語)/深夜0:00~1:00ほか(字幕)
FBIの捜査チームは、レイモンド・レディントン(ジェームズ・スペイダー)の助言でロシアンマフィアの逃亡を助けた犯罪者を追う。一方、捜査官のエリザベス・キーン(メーガン・ブーン)は元KGBの母親、カタリーナ・ロストヴァ(ライラ・ロビンズ)と組み、レイモンドが隠す謎を解き明かそうとするが…。
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