令和の卓球界を担う若き女性アスリート・伊藤美誠2019/05/29
世界の強豪と渡り合う、卓球の伊藤美誠。その強さの秘密は、激戦の中で時折見せる“笑顔”にある。“笑顔”を生み出す明るさ、強い気持ちを携えて成長を続ける伊藤が、小学生の頃から目指す東京五輪に向けての決意を語る。
笑顔と、明るさと、負けない心。
卓球の世界最高峰の舞台で活躍し続ける伊藤美誠が、阿川佐和子がMCを務める「サワコの朝」に登場。阿川のトーク力で、卓球選手としてだけでなく、素の“伊藤美誠”も引き出された。
「トーク番組に出させてもらうことが少ないですし、1人だけというのも少ないのですごく新鮮な気持ちで楽しかったです。佐和子さんとは初めてお会いしたのですが、明るい方というイメージだったので、私と合いそうだなって思っていました(笑)。実際にお会いしても、明るい方で話しやすく、話をしていても素を引き出してくださったと思います。卓球に興味を持ってくださっているのもうれしかったです。色々聞いてくださったので、普段は話さないことなども話せたと思います」
トーク番組に出演するなど、東京五輪を前に伊藤への注目度が増している。伊藤も東京開催に対し特別な思いを抱いている。
「6年生の時に私が20歳になる2020年の東京開催が決まって、すごくいいチャンスだなって思いました。ずっと前から五輪で優勝したいと思っていたので、金メダルという目標は変わらなかったですけど、開催地が東京というところで、“絶対”に優勝したいと思いました。小学校の文集にも『16年には五輪に出て、20年には優勝する』と書いたんです。今のところは、文集の通りにいっています(笑)」
16年リオ五輪では出るだけでなく、銅メダルを獲得している。
「準決勝で負けてしまって、それから3位決定戦に勝ってメダル確定だったので、メダルを取るのは難しいということをあらためて感じました。1人1人の気迫や勝ちにこだわる気持ちがいつもの試合以上でしたし、メダルを取った時はすごくうれしかったです。ただ、次の東京五輪への切り替えは早かったです。東京五輪は個人戦にも出場して、優勝したいと思いましたから。すごくいい経験になりました」
リオ五輪では団体戦のみの出場だったため、東京五輪では個人戦でも出場を狙っている。そのためには、20年1月の世界ランキングで、日本人の中で上位2位以内に入るのが条件となる。
「五輪の前に日本代表選考があって、あと約半年で決まります。もちろん、五輪のことも考えるんですけど、まずは切符をつかみ取るのが第一です。そのためには、気持ちが大事。この半年はいろんなことがあると思うんですけど、まずは変わらず楽しんでやること。楽しんで笑顔が出ている時は、試合にも勝っているので、自然と笑えるように1試合1試合やっていきたいです。強い気持ちを持って最後まで臨みたいと思います」
現在の世界ランキングは7位。卓球王国の中国からマークされているが、それに対する言葉にも強い気持ちが表れている。
「中国人選手側から注目されているというのは、すごく感じます。でも、対策されるというのは、うれしいことでもあるんです。自分の分からなかったことを気付かせてくれるので、どんどん対策してほしいです(笑)。“対策されても勝てる選手”に成長できるきっかけになると思います」
成長の先には、小学生の頃から目指す東京五輪がある。さらに、その先も見据えている。
「小学校6年生の時からの夢でもありますし、絶対に東京五輪の個人戦と団体戦に出場して、どちらも優勝して笑顔で終わりたいです! そのために楽しみつつも必死で練習して五輪を迎えたいです。そして、いつかは誰にも負けない選手になるのが目標です。言うのは簡単ですけど、遠い道でもありますね」
【TVガイドからQuestion】
Q1 印象に残っているスポーツ名場面を教えて!
フィギュアスケートの本田真凜ちゃんはお友達で、(’17年の)世界ジュニアは最高でした。「これで2位!?」と驚きましたけど、私がやりきって負けたら「まだまだレベルアップできる」と思うので、真凜ちゃんも同じだと思います。
Q2 好きな音楽を教えて!
邦楽だけでなく、洋楽、お母さん世代の曲とか結構全体的に聴いているんですけど、私的にはやっぱりLittle Glee Monsterさんがトップを走っていますね。小さい頃は、少女時代さんが頑張る源をくれたと思います。
Q3 “2020”にちなんで、“20”日間お休みがあったらやりたいことを教えて!
1人で色々なことをやってみたいので、まずは親とは違うところで生活します(笑)。買い物だったり、古着屋さん巡りだったり、旅行で京都にも行きたいです。そんな感じで、親と20日間会わないというのが絶対です(笑)。
【卓球競技概要】
幅152.5cm、長さ274cmの台上という限られたスペースでボールをラケットで打ち合い、時に球速100kmを超えるダイナミックなラリー、さまざまな回転をかける駆け引きが繰り広げられる。五輪では個人戦の男女シングルス、団体戦が行われ、東京五輪からは混合ダブルスも実施。“卓球王国”と称される中国が強く、その中国を脅かす存在として日本も力をつけてきている。東京五輪の日本代表(シングルス)は、’20年1月の世界ランクの男女上位2人が推薦される。
【プロフィール】
伊藤美誠(いとう みま)
2000年10月21日静岡生まれ。天秤座。O型。
▶︎2歳で卓球を始め、2011年の全日本では大会史上最年少勝利記録など、数々の最年少記録を更新する。
▶︎16年のリオ五輪では、「自分が勝てば、チームに貢献できる」と臨み、団体戦で銅メダルを獲得。15歳300日で卓球の最年少メダリストに。
▶︎18年、19年の全日本では、2年連続で女子単、女子複、混合複の3冠を達成。
▶︎今年の4月には「五輪よりメダルを取るのが難しいかも」と語る世界選手権で日本女子史上48年ぶりに女子複で銀メダルを獲得。
【伊藤選手が出演する「サワコの朝」収録に密着!!】
MCの阿川佐和子の紹介で登場した伊藤美誠は、卓球選手であることを全く感じさせない装い。「ファッションが好き」という、18歳の女の子らしいこだわりを見せる。番組恒例のイス選びでも、服との色合いをモニターでチェック。おすすめの1曲を紹介するコーナーでは、「毎日のように口ずさむ」という曲を紹介。気分が上がるアップテンポな曲で、サビの部分では振りまで披露していた。阿川が「美誠ちゃんのために作った曲みたい」というほど、伊藤にぴったりな曲とは?
「中学時代は卓球部だった」と明かした阿川からは、卓球に関する鋭い質問、素朴な質問がぶつけられていく。自身が使用しているラケットを見せたりしながら、楽しそうに答えると、ラバーの違いによって球筋が変わるなど、奥深い卓球の世界が垣間見えた。その一方で卓球に関する世代間ギャップが浮き彫りになり、困惑する一幕も。
また、VTRを交えて、伊藤の強さの秘密、幼少期の練習にも迫る。「家出しようと思ったことは何回もある(笑)」と言うほど、厳しい練習の末に今の伊藤があることを感じさせる。さらに阿川は、伊藤の素が分かる話を引き出していく。すると、試合中にコーチにうっかり水をかけてしまうなど意外とおっちょこちょいな伊藤の一面も明らかに。結局は卓球の話に行きつくなど、伊藤の「卓球好き」な思いがヒシヒシと感じられるトークを展開。終始和気あいあいとした雰囲気での収録となった。
【番組情報】
「サワコの朝」
6月1日 TBS系 土曜 午前7:30~8:00
取材・文/山木敦 撮影/島田香
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