慶喜の弟・昭武役の板垣李光人が「青天を衝け」で好きなシーンとは?2021/07/10
第21回(7月4日放送)の大河ドラマ「青天を衝け」(NHK総合ほか)で、徳川昭武(板垣李光人)の随行でフランス行きを打診され、即決した渋沢篤太夫(吉沢亮)。第22回(7月11日放送)では、いよいよフランス・パリへ。異国の地で篤太夫がどんな経験をするのか気になるところですが、今回は徳川慶喜(草彅剛)の名代としてパリ博覧会に出席する徳川昭武役の板垣李光人さんから、大河ドラマへの思いや昭武への印象などを伺いました!
――早速ですが「青天を衝け」への出演が決まった時の気持ちを教えてください。
「僕は今19歳なのですが、13、14歳の時に大河ドラマ『花燃ゆ』(NHK総合ほか)に出させていただいて。10代で2回も大河ドラマという大きな作品を経験させていただけるのは、すごくぜいたくなことだなと思います。昨年の2月ごろにオーディションを受けて、お話をいただいたのが10月ごろ。正直、オーディションに行ったことを忘れていたのでとてもビックリしましたが、2回も経験させてもらえるという喜びがありました」
――演じる徳川昭武について、どのようなイメージを抱いていましたか?
「昭武については、役をいただいてから調べました。写真を見た時に、気高く鋭いけれども柔らかそうという印象を受けたので、空気を含むような動きを心掛け、演じる上で役を膨らませていきました。昭武は14歳で日本を背負ってパリに行きます。その年齢にしては荷が重すぎる大役を背負うんです。慶喜が昭武に任せようと思えるほどの相応の品位やカリスマ性があったと思うので、たたずまいや話し方が大事になってくるんだろうなと思っていました」
――14歳という若さでパリに行く昭武を演じるにあたり、心掛けたことはありますか?
「ただパリに行くという感じではなく、今までの日本の歴史をすべて背負い、日本はこういうところだと示した上で、博覧会に出席したり、フランスの皇帝・ナポレオン3世に会うので、ただならぬというか、普通の14歳では感じることのないような圧があります。それを凌駕(りょうが)し、押しのけて堂々とたたずんでいる強さ、覚悟を大事に演じました」
――昭武は、ご自身が『花燃ゆ』に出演された時と同じくらいの年齢ですが、昭武と比べてご自身はこうだったなとか、2回目の大河ドラマで成長したこと、感じたことを教えてください。
「自分だったら考えられないです。国を背負うなんて絶対無理だなと思いながら演じていました。『花燃ゆ』ぶりの大河ドラマでしたが、人数が多く、現場の空気感も独特なものがありました。自分の成長したところは分からないですが、現場に入った時、すごく懐かしいなと思いました」
――前回は緊張されていたのでしょうか?
「『花燃ゆ』の時は年齢が下だったので、逆にあまり緊張していなかったと思います。今回の方が責任を感じますね」
――責任を感じていたからこそ、準備したことはありますか?
「時代劇では、身分の高い人の所作がある程度決まっていて、その中で自然に役を生きていかないといけないので、決まった動きを自分の中でかみ砕き、昭武なりの動きを見せようと意識しながらやっていました」
――板垣さんといえば、プリンス役が多い印象ですが、日常生活でこだわっているものはありますか?
「日常生活は堕落しています(笑)。プリンスとはほど遠いので、撮影が近くなったら歩き方などは特に意識しています」
――パリにいる間に大政奉還が起きた時、昭武はどんな気持ちでいたと想像しますか?
「慶喜から『事変が起きたと耳にしても、みだりに動かぬこと』と言われていた昭武は、頭がいいので“何か起こるだろう”と覚悟はしていたと思います。実際にパリに行くと、日本からすごく離れていて、情報が入ってくるのもタイムラグがあるわけです。日本の情勢は届いたけど、今の日本がどうなっているのかは分からない。昭武は大きな衝撃を受けながらも、自分はどう動くべきか、どうしなければならないのかと考えを巡らせる方向にシフトチェンジしていったと想像しています」
――昭武は篤太夫(栄一)と共にパリ博覧会に参加しますが、座長としての吉沢さんの印象を教えてください。
「吉沢さんのいろんな作品を拝見していたのですが、実際にお会いして、すごく目がすてきで奇麗な方だなと。初めて見る世界に目を輝かせて、子どものようなすごく澄んだ目をされている時もあれば、鷹のように鋭い目をされている時もあって…。一緒お芝居をさせてもらって、それを感じられたのはうれしかったです。芝居以外のところでは、僕が5月に朝の情報番組のパーソナリティーを担当していて、まだ暗いうちに起きて、番組出演を終えた後に『青天を衝け』の撮影だったことがあって。吉沢さんも以前同じパーソナリティーをされていたので、すごく心配して何度も声をかけてくださって、本当に優しいなと思いました。他には、服の話をしていましたね」
――服の話というのはお互いの好きなブランドの話でしょうか?
「僕が変な服が好きだという話をして『今日は変な服』『今日は普通です』と毎回披露して(笑)。そこから絆が深まった気がします」
――印象的なシーンや注目してほしい場面はありますか?
「パリでナポレオン3世に謁見(えっけん)するシーンは、事前に映像を見せていただいてグリーンバックで撮影したんです。すごく絢爛(けんらん)な宮殿で横にたくさん人が並んでいて、正面にナポレオン3世がいる空間の中を進んでいくのですが、人がいる緊張感や呼吸、宮殿に足音が響く雰囲気を全部想像しながらやらなければいけないので、集中力が必要でした。栄一と2人でセーヌ川の川辺を歩くシーンも全部グリーンバックで。風や川の匂い、パリの景色も全部想像しながら演じることが印象的でした」
――和装から洋装になった時の所作の違いや気を付けていたことはありますか?
「洋装になっても、幼いころからずっと染み付いている所作があると思うので、洋装でありながらも和装の所作の名残が残っている感じで、あまり変えることはしていません。日本にはないコーヒーの持ち方などはありますが、普段は基本的に和装の時と変えることはなかったです」
――昭武と篤太夫(栄一)はどのような関係だったと思われますか。また、2人のシーンの見どころもお願いします。
「昭武にはより近しい家臣もいるのに、身分が違う栄一を信頼して良い関係を築けたのは、栄一の柔軟な考え方や聡明さにひかれたからではないでしょうか。父・斉昭(竹中直人)は固い信念を持った人でしたが、慶喜はすごく柔らかい考えを持っている人で、昭武はそれに影響され、感銘を受けていたと思うんです。そんな中で、自分と通ずるような考え方を持っている栄一と出会い、政府が一新し、慶喜から手紙が届いて自分はどうするべきかとなった時、栄一の考えに心を打たれて…。昭武が身分を超えて栄一に心を動かされるところは見どころになってくると思います」
――板垣さんが思う昭武の格好いいシーンを教えてください。
「ナポレオン3世と謁見するシーンは昭武の中でも大きな仕事でしたし、日本の歴史を背負って先頭を歩くシーンなので、格好いいシーンになっていればいいなと。個人的に好きなのは、栄一とセーヌ川を歩いているシーンです。昭武が栄一に正直な思いを吐露し、伝えるいいシーンになっていると思います」
――ありがとうございました!
第22回あらすじ(7月11日放送)
パリに到着した篤太夫(吉沢)たちは、万博会場で蒸気機関やエレベーターなど、最先端の西洋技術を目の前にして度肝を抜かれます。その後、日本の展示ブースに行くと、そこには薩摩の紋が高々と掲げられていたため、幕府使節団は薩摩に抗議します。しかし、モンブランと五代才助(ディーン・フジオカ)が裏で手を引き、幕府と薩摩は同格の政府であると風聞が流れてしまいます。そんな中、昭武はナポレオン3世の謁見式に出席し、堂々と慶喜(草彅)の名代としての役目を果たします。その頃、日本では慶喜が次々と幕政改革を打ち出しており…。
【番組情報】
大河ドラマ「青天を衝け」
NHK総合 日曜 午後8:00~8:45ほか
NHK BSプレミアム・NHK BS4K 日曜 午後6:00~6:45
NHK担当 K・H
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