SUPER BEAVERがニューシングル「名前を呼ぶよ」をリリース。「4人で演奏した時に、涙が出そうになった」2021/07/07
ドラマや映画とのタイアップが毎回話題を呼び、活躍の場を広げ続けているSUPER BEAVER。メンバーの渋谷龍太(Vo.)、柳沢亮太(Gt.)、上杉研太(Ba.)、藤原“33才”広明(Dr.)が、映画『東京リベンジャーズ』の主題歌となっている新曲「名前を呼ぶよ」を語る。
――新曲「名前を呼ぶよ」は映画『東京リベンジャーズ』の主題歌です。作詞作曲は柳沢さんが担当されていますが、先方からはどんな曲にしてほしいと言われましたか?
柳沢 「僕らの楽曲が好きということで依頼していただいたので、特に“こんなふうに”というお話はなかったんですよ。もちろん、プロデューサーの方といろいろと話をして、どういう気持ちで作品を作ったのかということはお聞きしました。物語の内容もそうですけど、作り手の熱量も受け止めて、僕ら自身が感動できる曲にしたかった。ただ、作品の中だけでしか届かない楽曲にはしたくなくて、SUPER BEAVERが今歌いたいことと、作品が訴えたいもののリンクする部分を探しました」
上杉 「歌詞の中に絶妙に物語とリンクする部分があるし、その一方で、自分たちとしてのメッセージもあって、柳沢、さすがだなと(笑)。サビに行くまでの歌詞でいろいろなことを思い返してしまうような内容になっていて、4人で演奏した時に、なんだか涙が出そうになって。すごく感動したんです」
渋谷 「確かに4人で演奏してみたら、もっと良くなった感じがしましたね。驚きました。柳沢のデモと比べて、どこがどう変わったということではなくて、4人でSUPER BEAVERとしてのエッセンスをつぎ込んだことで、曲のイメージが広がったというか」
――4人で演奏する意味がある曲だったということなんでしょうね。
渋谷 「ああ、そうかもしれないですね」
藤原 「渋谷が歌ったら、曲が一気に出来上がったんですよね。なんだこの曲、めちゃくちゃいいじゃん! って思いました(笑)。もちろんデモのヤナギ(柳沢)の歌が良くなかったというわけではないんだけど、4人がそれぞれにポイントをつかんでいて、全員の力が結集している感じがしたんですよ。4人で音楽を作っている喜びがあったというか、ワクワクしました」
上杉 「4人で(歌詞に込められた)思いを共有して演奏することでグッとくるものになったんでしょうね。僕らにとって、また大事な曲ができたなと思います」
柳沢 「4人がそれぞれに意味を感じて弾き、たたき、歌ったことで一気にハマったというか、曲が呼吸し始めたような感覚がありました」
――「名前を呼ぶよ」というタイトルに込めた思いは?
柳沢 「僕らは、人と人が出会うなかで生まれてくる感情を歌い続けているバンドだと思うんです。名前を呼び合うって、出会いがあり、関係が続いていった証拠ですよね。知らない人の名前を突然呼んだりはしないですから(笑)。そして、自分たちの感情が動くことの隣には、人との出会いがあると思う。そこをあらためて丁寧に歌いたかったんです。そんなことを考えていたら“名前を呼ぶ”というフレーズが最初に思い浮かんで、タイトルもそうなりました」
渋谷 「名前そのものには意味はないと思うんですよ。でも、その人と自分との関係性のなかで、意味が生まれてくる。その人としか構築できないもの…◯◯さんって名前を呼んだ時には、そこにその人と過ごした時間や思いがある。僕らとファンの関係もそうだと思うし、僕らは、そこに意味を見いだしている。僕らだから歌える曲だと思います」
――渋谷さんは柳沢さんが歌詞に込めた思いをくみ取って歌うわけですよね?
渋谷 「歌詞をどう表現するかっていうスタンスではないんです。自分だからできることや、自分の気持ちを落とし込まないと歌う意味がないと思うので。まずは歌詞と自分をリンクさせるために、(曲の中に)潜るんです。これが結構しんどい作業なんですけどね。でも、これをやらないと歌は歌えない。うまく言えないけど、4人でやっている意義を体現する…4人の意思をアウトプットする役割だと思っているので、その曲に4人が感じた思いを意識して歌うようにしていますね」
――レコーディング自体はどのように?
藤原 「いつもプリプロ(レコーディングの前にやる仮録音)をやってから本番に臨むんですけど、プリプロの段階で完成していたような感じでした」
上杉 「ウチは歌詞もメロディーもすべて出来上がった段階でレコーディングするので、そこで曲をこねくり回す必要がないんですよ。あとは“せーの”で演奏するだけ。ただ、この曲はなかなかベース・パートが定まらなくて。テークごとに違うことをやっていました。珍しくそういった試行錯誤があって。結局は、考えるのではなくて、より感覚的に弾いた感じでした。聴き返してみるとそれで良かったんだなと思うので、直感的に演奏すべき曲だったんでしょうね」
――今は各パートをバラバラに録ることも多いですが、全員で一緒に演奏して録音するんですね。
柳沢 「歌は後から入れますけど、楽器は3人で録ります。バンド3人の演奏に歌が加わって自分たちのアンサンブルになる、これはずっと変わらないですね。もちろん、どれが正解ってことではないので、自分たちにはこのやり方が合っているんだと思います」
――カップリングは、2013年のミニアルバム「世界が目を覚ますのなら」に収録されている「東京流星群」の再録ですね。
柳沢 「3月にミュージックビデオ集『SUPER BEAVER 15th Anniversary 音楽映像作品集 ~ビバコレ!!~』を出したんですが、そこに新しい映像も入れようということになって、『東京流星群』のビデオを撮ることになったんです。でも、ずいぶん前に録った曲なので、その音に今の自分たちの映像を合わせるのがしっくりこなくて。それで曲も録り直したんですよ。そうしたらすごく良くて、これはちゃんと音源にもしようと」
――そもそもこの曲は、SUPER BEAVERのトレードマークともいえるシンガロングを初めて本格的に取り入れた曲だそうですね。
渋谷 「あらためてですけど…僕、音楽が大好きなんですよ(笑)。(ライブに)行くのも大好きで、それに関しては時間もお金もめちゃくちゃ使ってます(笑)。で、自分が見に行った時に何が一番楽しいのかなって考えると、ここで一緒に歌いたいって思ったところで歌えた時なんですよね。ライブって発信者と受信者という構図ではないというか、見に行く時もただ音楽を受け取りに行くだけじゃない気がして。そこで鳴っている音楽に自分が乗っかって身体を揺らしたり、手をたたいたり、一緒に歌ったりして自分を発信している。それがライブに行って一番ワクワクするなって思ったので、自分たちのライブもそういうものにしたいっていう話をヤナギにしたんです」
――それでシンガロングのパートを曲に取り入れるようになったわけですね。
柳沢 「そうなんです。しかも“ラララ~”とかじゃなくて、しっかり歌詞があることが大事だと思っていて。楽曲自体にちゃんと意味がある中で、シンガロングできる曲になったのが『東京流星群』が最初なんですよ。だからこそ、ずっとやり続けている曲になったんだと思います。もちろん無理にやっているわけじゃなくて、この曲にはライブでやりたいと思わせる何かがあるんですよね」
――現在は、ライブでシンガロングがままならない状況です。ライブにはどんな思いで臨んでいますか?
渋谷 「歯がゆいし、フラストレーションも溜まりますし、正直、かなりのストレスです。でも、それを凌駕(りょうが)するくらいの楽しさもある。自分が好きに楽しむことができないというルールができてしまった上で、どう表現しようかなって、見に来てくださった方は考えていると思うんです。なんとか気持ちを届けようと手をたたいてくれたり、マスクで顔半分は見えないですけど、目だけでどうにか訴えかけようとしたりしている姿を見ると、マジで一緒にこの空間を作っているなって思う。僕らの気持ちが届いていると感じる瞬間、みんなから気持ちを届けてもらっていると感じる瞬間は今まで以上に増えたと思います。歯がゆい場面も多い半面、そういうところに気付けたので、やっぱりライブは楽しいです。これって4人だけで音楽をやってこなかったことを端的に表している気がするんですよね。僕ら4人とスタッフ、そして見に来てくれたみんなでライブを作ってきたからこそだと思いますね。そのことにあらためて気付けて、その点に関しては、こんな状況ですけど良かったと思います」
【プロフィール】
SUPER BEAVER(すーぱーびーばー)
2005年結成。20年4月に結成15周年を迎え、メジャー再契約を発表。今年はフルアルバム「アイラヴユー」、初のMV集「SUPER BEAVER 15th Anniversary 音楽映像作品集~ビバコレ!!~」、ドラマ「あのときキスしておけば」(テレビ朝日系)の主題歌「愛しい人」などをリリース。そして、新曲「名前を呼ぶよ」が話題の映画『東京リベンジャーズ』の主題歌に抜てきされるなど、今、最も注目のロックバンド。
【リリース情報】
シングル「名前を呼ぶよ」
7月7日発売 ¥1,100ほか ソニー・ミュージックレーベルズ
7月9日(金)公開の映画『東京リベンジャーズ』の主題歌である表題曲に加え、彼らのライブの定番曲である「東京流星群」の新録バージョンの全2曲を収録。初回生産限定盤には、「名前を呼ぶよ」のMV映像などが収められたDVDを同封。
【プレゼント】
サイン入り生写真を2名様にプレゼント!
応募はコチラ→https://www.tvguide.or.jp/news/present/
(応募期間:2021年7月7日正午~7月14日午前11:59)
ハガキでの応募方法は「TVガイド」7月16日号(P98)をご覧ください。
「TVガイド」の購入はコチラ→https://honto.jp/cp/netstore/recent/tokyonews-book/01.html
取材・文/竹内伸一 撮影/須田卓馬
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