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北川景子&永山瑛太「リコカツ」が提案する「新しい人生のスタイル」――プロデューサー&脚本家が語る制作秘話2021/04/28

北川景子&永山瑛太「リコカツ」が提案する「新しい人生のスタイル」――プロデューサー&脚本家が語る制作秘話

 運命的な出会いで「交際ゼロ日婚」を果たすも、生活習慣や価値観の違いにより新婚早々離婚を決意する夫婦を描いた連続ドラマ「リコカツ」(TBS系)。

 主演を北川景子さんが務める本作は、水口咲(北川)とその夫・緒原紘一(永山瑛太)の2人だけでなく、咲&紘一の両親も“リコカツ”(=離婚に向けた活動)を開始。紘一の母・薫(宮崎美子)は離婚届を残して家を出て行き、さらに咲の母・美土里(三石琴乃)は「私、ここに住むから」と咲の新居に勝手に上がり込んで来て…。

北川景子&永山瑛太「リコカツ」が提案する「新しい人生のスタイル」――プロデューサー&脚本家が語る制作秘話

 立ち上げのきっかけは実体験? タイトルは「全員離婚家族」になる予定だった? どうしても北川さんに出てほしくて3年かかった? そんな制作秘話を、本作を手掛ける植田博樹プロデューサーと、脚本を担当した泉澤陽子さんにお聞きしました。

「リコカツ」が生まれた経緯

北川景子&永山瑛太「リコカツ」が提案する「新しい人生のスタイル」――プロデューサー&脚本家が語る制作秘話

――「リコカツ」を立ち上げたきっかけを教えていただけますか。

植田 「約3年前、家族と『うちって離婚の可能性あるのかな』と話したことがあったんです。ただ、それがきっかけで家族の距離が縮まっていると感じたのも事実で。またある日、結婚ゼロ日で離婚した芸能人のニュースを見たことで、“離婚から始まるラブストーリー”について考えるようになりました。お恥ずかしい話なんですけど、実体験が企画の始まりです」

――植田プロデューサーと泉澤さんは、「家族狩り」(2014年)や「IQ246~華麗なる事件簿~」(16年)など、TBSのドラマで何度かご一緒されていますね。

植田 「泉澤さんとご一緒したくて企画を何本か立てていたんですが、どれもなかなか通らなくて(笑)。お詫びとして『こういう話も…』と笑い話のつもりで話したら、泉澤さんが『面白いんじゃないですか』と言ってくださって。そこから企画書を作って、なんとか放送までこぎつけることができました」

泉澤 「植田さんのご家庭でも離婚の話が出たと聞いて、離婚って身近なことなんだろうなと。実は、日本では3組に1組が離婚すると言われているんですよね。私も結婚しているんですが、けんかをするたびに『離婚してやる!』と思いますし(笑)。そういうものも含めると、離婚を考えたことがない夫婦っていないんじゃないかと思ったんです。誰もが身につまされつつ、身近に感じるものとして、面白おかしくドラマにできるんじゃないかと話しました」

――「リコカツ」というタイトルは、離婚を扱うドラマとしてはすごくキャッチーですよね。どのようにして決まったのですか?

植田 「当初は『全員離婚家族』というタイトルだったんです。僕としては自信があったんですが、編成から『いいタイトルがあるよ』『これは当たる!』と言われたのが『リコカツ』で。そこまで言われたら…と思って『リコカツ』に決まりました。編成に忖度(そんたく)してしまった自分がいます(笑)」

実現に3年かかった理由は「どうしても北川さんに演じてほしかった」

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――主演に北川景子さんを迎えた理由を教えていただけますか。

植田 「企画の立ち上げから実現まで3年かかったのですが、その理由が、どうしても北川さんに咲役をやってほしかったからなんです。気は強いんだけど寂しがりやな咲というキャラクターを、北川さんに演じてほしかった。北川さんの、強気に見えるけどどこか寂しさも併せ持っていて、本音を言っても許される感じが咲に重なりました。『家売るオンナ』(16年/日本テレビ系)でも表れていると思うのですが、北川さんが言うと説得力があるんです。そういう女優さんってなかなかいないなと」

――その夫役に永山瑛太さんを迎えた理由はいかがでしょうか。

植田 「瑛太さんというと『最高の離婚』(13年/フジテレビ系)という大名作がありますが、それとは真逆のキャラクターを演じてほしいと思ってお願いしました。過去にプロデューサーを務めた『オレンジデイズ』(04年/TBS系)で瑛太さんのことを知ったのですが、すごく男っぽい部分がある方で。そんな瑛太さんの男らしいところをドラマで生かしたいなと。お二人のスケジュールが合うのを待って、やっとスタートすることができました」

――泉澤さんは、北川さんと瑛太さんが出演されるにあたって当て書きで脚本を書いている部分はありますか?

泉澤 「そうですね。キャストが決まったことでイメージできる部分が増えてきたので、2人のやりとりが面白くなればと思いながら書くようにしています。全体的にコメディーっぽくなっているのが好きなので楽しい掛け合いをたくさん入れながらも、ラブストーリーなので、キュンとする部分は大事にしています。そのバランスは気を付けています」

植田 「泉澤さんに現場の空気をたくさん伝えようと頑張っています。現場でこんなことがありました、こんな会話をしました、と泉澤さんに伝えることで、『それ紘一っぽい』とか『咲と紘一のストーリーに使えそう』と思ってもらえたらいいなと。瑛太さんは本当にジェントルマンだし、北川さんは瑛太さんのお芝居にすごくリアクションをして、笑いで応えてくれたり。北川さんが思う存分アドリブで返すこともありますね」

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――キャスティングという点においては、美土里役の三石琴乃さんの出演も話題になっています。声優として活躍する三石さんにオファーした理由を教えていただけますか。

植田 「堤幸彦監督が手掛けていたラジオドラマに三石さんが出演されていたのですが、堤さんから『見に来てください!』とメールをいただいたんです。その現場に見学に行くと、三石さんがアフレコをされていて。『こんなにお芝居が上手な人、ドラマに出さなくてどうするんだ!』と思って、その場のスタッフさんの許諾を得て『今度連続ドラマをやるんですが、出ていただけませんか』とお話をさせていただきました。何度も断られたんですが、お会いするたびに企画書や泉澤さんの脚本を見ていただいて、ようやくOKをいただきました」

――実際に三石さんのお芝居をご覧になって、いかがですか?

植田 「声優としても素晴らしいですが、女優として自由に現場で動いている三石さんは本当に素晴らしくて、何の不安もありません。声優さんが役者として出演するドラマはたくさんありますが、三石さんには“本格的に役者として、今後もよろしくお願いします”という願いを込めて出演していただいています」

TBSの「ラブストーリー枠」として好調な火ドラではなく、金ドラで描きたい

北川景子&永山瑛太「リコカツ」が提案する「新しい人生のスタイル」――プロデューサー&脚本家が語る制作秘話

――ところで、今年の4月クールのドラマは全体的にラブストーリーが豊富なラインアップとなっています。豪華な顔ぶれがそろう中、本作のこだわりはどのような部分でしょうか。

植田 「ラブストーリーってみんな作りたがるんですけど、すごく難しいんですよ。すごく簡単に言うと、主人公に誰かが『俺、お前のことが好きだ』と言ったら物語が終わってしまう。それを阻止するために別の魅力的なキャラクターが登場したりするんですけど、そうするとロールプレーイングゲームみたいなラブストーリーが多くなる。僕はそう考えているんですけど、そんな中で『リコカツ』は、“結婚しているけど離婚をしようとしている”という枷(かせ)がある。その枷が、ほかのラブストーリーと差別化できているところかなと。よく『ホームコメディーなの? ラブコメディーなの? ラブストーリーなの?』と聞かれるんですが、まさにそのハイブリッド版が『リコカツ』だと思っています」

――TBSの近年の流れだと、火曜ドラマはラブストーリー、金曜ドラマはポップだけど社会派なテーマを扱った作品の放送が続いている印象があります。本作を火曜ではなく、金曜の枠でやりたいというような思いはありましたか?

植田 「それはスタッフの打ち合わせの中で必ず出てくる言葉なんですよ。火ドラは恋愛のドタバタを楽しく描いている。でも、本作ではそれぞれの人生をもっと背負わせてあげたいという思いがあります。そこが火ドラと金ドラの大きな差かなと、自分たちとしては思っています」

泉澤 「TBSさんの火ドラは火ドラで私もすごく好きなんですが、金ドラの枠ということもあり、大人が見ても楽しめるように、深い部分まで話を作るというのは意識しています。なかなかオリジナルのドラマを書かせていただける経験もないので、プレッシャーも感じつつ、楽しく書かせてもらっています」

植田 「エンターテインメントだけじゃなく、現代社会に対する問題提起もしているので、ラブストーリーとしてキュンキュンしてもらうのはもちろん、熱く意見が飛び交うような作品になればうれしいです」

「リコカツ」は「新しい人生のスタイルを提案する作品」

北川景子&永山瑛太「リコカツ」が提案する「新しい人生のスタイル」――プロデューサー&脚本家が語る制作秘話

――あらためて、本作に込めたメッセージを教えていただけますか。

泉澤 「結婚や離婚というのは、本来社会生活を送りやすくするために人間が考えた制度。でもいつの間にか、その制度によって生きづらい思いをしている人もいると思うんです。結婚や離婚についていろんな考えを持つ人を登場させることで、そんな社会的な制度の間で揺れ動く気持ちを、ドラマの中で面白く描ければいいなと思っています」

植田 「離婚をしたから不幸とか、結婚をするから幸せとか、そういうのを超えたラブストーリーを紡ぎ出せている気がします。例えば、同棲中の2人が結婚というシステムに捉われなくてもいいと思えたり、逆に結婚してみた方がいいかもと思えたり。周りの人の声とか、国が制度として決めていることではなく、『2人が居心地が良ければいいんじゃない?』と言えるようなドラマを作りたかった。泉澤さんの脚本に教えてもらいながら、そのハードルを越えていける手応えを感じています」

――第2話の放送を終え、咲と紘一だけでなく、それぞれの両親も離婚に向けて動き出す展開を迎えています。今後の見どころを教えてください。

植田 「第3話から、“離婚をしたことによるハッピー”がどんどん出てきます。離婚というと、弁護士が出てきて財産をどうするとか、慰謝料をどうするという展開になるドラマが多いと思うんですけど、本作では離婚を考えることによって人が変わっていく姿を描きます。離婚という形にもいろいろあることを提示しながら、新しい人生のスタイルを提案する作品になってくると思うので、楽しみにしていてください」

北川景子&永山瑛太「リコカツ」が提案する「新しい人生のスタイル」――プロデューサー&脚本家が語る制作秘話
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【番組情報】

「リコカツ」
TBS系
金曜 午後10:00~10:54

取材・文/宮下毬菜



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