稲垣吾郎が「きれいのくに」で複数の役に挑戦! 劇作家・加藤拓也の世界観を語る2021/04/27
4月12日にスタートしたよるドラ「きれいのくに」(NHK総合)。ほとんどの大人が“同じ顔”をした不条理な国で暮らす高校生たちの青春ダークファンタジーです。
美容師の恵理(吉田羊)と税理士の宏之(平原テツ)は再婚同士の夫婦で、優雅な生活を満喫していました。恵理が43歳の誕生日を迎えた翌朝、宏之が目を覚ますと、寝室には33歳の恵理(蓮佛美沙子)の姿が! しかし若返った恵理の姿に困惑するのは宏之だけ。さらに数日たったある朝、恵理は20代(小野花梨)になっていました。2人の関係が悪化したところで、これまでの物語は自己啓発映画の教材だったことが明らかに!
教材を見ていた高校生が住む世界では、ほとんどの男性が稲垣吾郎さんの顔を、女性は加藤ローサさんの顔をしているという、前代未聞のジュブナイルSF。今回は、複数の役を演じている稲垣さんに、劇作家・加藤拓也さんの魅力や役柄、共演者の方々とのエピソードについて語っていただきました。
以前から“よるドラ”枠に注目していたという稲垣さん。「新しいことにチャレンジしているドラマの枠で、この時間帯だからできるようなこともあり、お話をいただけてとても光栄ですし、NHKさんのこういう枠に参加できるのがうれしいです」とオファー時の心境を明かします。
★劇作家・加藤拓也との出会い
「今回の脚本担当、さらに演出陣の1人でもある加藤拓也さんは、新進気鋭で面白い方です。実は以前、加藤さんが手掛けられた『誰にも知られず死ぬ朝』というお芝居を見に行ったことがあります。僕が出演した舞台『No.9-不滅の旋律-』で村川絵梨さんと共演したことがきっかけだったのですが、今まで見たことがないようなパターンのお芝居でした。セリフの組み立て方や書き方が少し独特で、すごく衝撃を受けました。その時、加藤さんとはごあいさつできなかったのですが、今回の撮影でその話をしたら、ビックリされていたのが印象に残っています。『きれいのくに』のオファーをいただいた時は“あの加藤さんの作品だ”ということで、うれしかったですし、ご縁も感じました。最初に台本を読んだ時は、句読点がないので、読み物としては読みづらかったです(笑)。すぐに理解できないというか、どこをどう楽しんでいいのか非常に難しい…。起きている事象だけを追っても分からないけど、“加藤節”のセリフを声に出してみると、加藤さんの世界や役柄に引き込まれていって、撮影中は不思議な感覚でした。喜怒哀楽の四つの間にあるような細かい感情が繊細に描かれていて、“人間のリアルってこうだな”と思えてきます。笑いの中に狂気があって、その狂気の中には優しさもあって、この独特な感じが加藤さんらしいです。そして3話の途中までは、授業で見ていた自己啓発映画のシーンだったという…。3話でようやくネタバレとなるので、連ドラとしては普通じゃないですよね。やはりそこは面白いと思います」
★街中が稲垣吾郎であふれる世界
「作中では、美容手術が当たり前の世の中で、“人間の見た目に優劣をつけるなら、いっそのこと同じ顔にしてしまえばいい”という設定があって、男性は稲垣吾郎、女性は加藤ローサさんの顔になっています。その世界のはやりの顔に選ばれたということは光栄ですよね(笑)。選挙のポスターやタレントさんを起用した広告の写真も僕や加藤さんの顔になっていて、街中が僕なんです! それがすごくおかしくて…。実際にヘアメークだけ変えて演じているのもあれば、誰かの体に僕の顔を合成しているのもあるので、汗をかいて太っている人に僕の顔が重なると、ちょっと悲しい気持ちになりました(笑)。あと、何かを彷彿とさせるような5人組のアイドルグループのポスターもありますが、全員僕の顔をしているので気分がいいなと(笑)。1人は人気キャラ、1人は髪の毛を気にしてナイーブでミステリアスなキャラと、それぞれキャラクターをつくりました。撮影をしている時は、とにかく面白かったです。スタッフの皆さんとも楽しく和気あいあいとつくっていったので、笑顔の絶えない現場でした。同じ作品の中で何役も演じるのは初めての経験で、しっかり演じ分けができていたか心配ですけど、視聴者の皆さんがどういうふうに感じてくれるか、放送後のリアクションが楽しみです。今回10役くらい演じていて、当たり前ですが、10人違って見えるようにコントラストを効かせてやりました。コントではないので、わざとらしく演じ分けをしたくなかったけど、同じ顔と声をしているのに違う人に見えたらいいな…と、力量を試されましたね。共演者の方々やセットの雰囲気のおかげで、役が生きている、存在している場所にいざなってもらえた感じがします。世界観に引っ張ってもらえたので、自然と演じ分けができたと思います」
★若手俳優陣のパワー&縁を感じる共演者たち
「高校生役の俳優さんたちのお芝居が本当にお上手で、加藤さんの世界観に合わせてきているなという印象があります。高校生のシーンは、結構稽古を重ねたみたいです。あと青木柚くんと岡本夏美さんが『子どもの頃、お母さんがファンで、親子席でコンサートを見ました』と言ってくれて、懐かしい思い出を話せて楽しかったです。僕より年下の方がどんどん増えて、縁を感じる方も多いです。今回、健司役の橋本淳さんは、僕が次に出演する舞台『サンソン-ルイ16世の首を刎ねた男-』でご一緒します。橋本さんは、よく加藤さんとお芝居をされていて、『たむらさん』という2人芝居の作品を映像で見せてもらいましたが、すごくすてきな俳優さんで…。あと最初にお話した加藤さんの舞台『誰にも知られず死ぬ朝』に、最近すごく注目されている若手俳優の藤原季節くんが出演していて、今度『サンソン-ルイ16世の首を刎ねた男-』で共演します。いろんなつながりがあって、今までご一緒したことがなかった方々との新しい出会いが最近増えました。20代、30代の方が多くて、すごくパワーをもらえますし、刺激を受けます。今回のドラマは、まさに若手俳優陣のパワーを感じる現場でした。俳優として僕がやってみたかった挑戦的で魅力的な作品に参加できたことが、すごくうれしかったです」
第4話あらすじ(5月3日放送)
幼なじみの高校生・誠也(青木柚)、凜(見上愛)、れいら(岡本夏美)、貴志(山脇辰哉)は、それぞれ違う顔をしていますが、中山(秋元龍太朗)だけは誕生前に両親が遺伝子操作を施したため、大人たちと同じ顔(稲垣)をしています。いつも一緒に放課後を過ごしている5人組ですが、れいらは時々、見知らぬ男性と“パパ活”で別行動。ある日、福井(稲垣)とデート中に突然密室で襲われ…。
【番組情報】
よるドラ「きれいのくに」
NHK総合
月曜 午後10:45~11:15
NHK担当 M・I
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