本木雅弘主演、今こそ見たい人間ドラマ「流行感冒」。感染症の流行により人間不信に陥った男が日常を取り戻すまでを描く! 2021/04/10
約100年前、スペイン風邪=流行感冒が世界中で猛威を振るい、人々を恐怖に陥れました。日本も例外ではなく、1918年からのわずか3年間で約40万人もの死者が出たといわれています。そんなウイルス禍での自身の体験や心情をもとに文豪・志賀直哉が著した短編小説「流行感冒」がドラマ化され、NHK BSプレミアムで4月10日に放送されます。
流行感冒により理性を見失い人間不信に陥った男性が、他者を信頼する気持ちを取り戻して日常に回帰するまでを、軽妙かつ鋭いタッチで描き出していきます。当時の状況と現在を重ね合わせることで、コロナ禍を生きる中での希望と指針も見えてくる、そんな物語です。
大正7(1918)年、秋。妻の春子(安藤サクラ)と4歳の娘・左枝子、そして2人の女中と暮らす小説家の“私”(本木雅弘)は、感染症の蔓延を知り、妻や娘の身を案じて臆病なほど神経質に。そんな中、女中の1人、石(古川琴音)が、感染の危険を押して旅役者の芝居興行に行ったのではないかとの疑惑が浮上。否定する石を信じることができない“私”は、石を家族から遠ざけるため家から追い出そうとして…。
流行感冒に誰よりも早く危機感を抱き、周りを巻き込んで予防対策を講じようとする“私”。その姿に、感染拡大を防ぐには、当時から周囲の人々の理解が不可欠とされていたことを認識します。また、家族を大切に思って必死になる“私”の、父親としての愛情がひしひしと伝わってきて、思わず胸が詰まる場面も。
世界的な厄災により人間不信に陥った“私”の心の揺れを丁寧に描くことで、人を信頼することの大切さ、何げなく送っていた日常の尊さを全編にわたって訴えかける本作。主演の本木さんは作品への思いをこう語ります。
「新型コロナウイルス感染の危険にさらされて目に見えぬ恐怖に心を乱し、人間同士の信頼が揺らいでいる今、世界中の方々に共感していただけるテーマです。当時の様子を描く物語から、どのような教訓が得られるのかに興味が湧き、コロナ禍での撮影に不安を抱きながらも、進んで参加することを決めました。感染対策上、本番直前まで互いにマスクが外せない撮影スタイルは何とも奇妙でしたが、カメラが回って初めて相手の表情が完全に見えるので、芝居を新鮮に感じ取ることができたのは貴重な体験でした。『流行感冒』という重苦しいタイトルではありますが、非常に身近で人間愛に触れるストーリーです。自らへの問いと他者への共感を澄んだまなざしですくい取っていく原作と同様、人々の心の綾がつづられた脚本の味わいに心ひきつけられましたし、妻役の安藤サクラさんをはじめ、共演者の皆さんの個性がそれぞれの役に見事にハマり、自然と物語の世界に没入することができました」。
コロナ禍にある今だからこそ見てほしい作品。特集ドラマ「流行感冒」をぜひご覧ください。
【番組情報】
特集ドラマ「流行感冒」
NHK BSプレミアム
4月10日 午後9:00~10:15
NHK担当 S・A
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