“絶対的な喜劇王”万太郎を演じる板尾創路が芸人目線で「おちょやん」を語る2021/04/11
終戦を迎えた連続テレビ小説「おちょやん」(NHK総合ほか)。第18週(4月5日~9日放送)は悲しい出来事の連続でした。富川菊(いしのようこ)、福松(岡嶋秀昭)夫妻が空襲で亡くなり、福助(井上拓哉)の戦死公報…。深く落ち込んだみつえ(東野絢香)に笑ってほしいと願う天海千代(杉咲花)は、みつえと福助の結婚のきっかけになった芝居「マットン婆さん」を上演。予期せぬ展開にみつえは思わず吹き出し、いつの間にかみんなが笑顔になっていました。いつの時代も深く傷付いた心を癒やしてくれるのは、エンターテインメントなのかもしれませんね。
さて、第19週(4月12日~16日放送)は、再び須賀廼家万太郎(板尾創路)と須賀廼家千之助(星田英利)の兄弟愛が見どころです! 終戦から3年。千代たちが地方公演を続けていた時、鶴亀株式会社社長・大山鶴蔵(中村鴈次郎)から「道頓堀に戻ってこい」と連絡が。一平(成田凌)は、なぜ万太郎一座ではなく、自分たちに声が掛かったのか疑問に思いますが、実は万太郎は病で声を失っていたのです。千之助は、万太郎のラスト公演に助っ人として参加することにしますが…。
今回は、喜劇王・万太郎を演じている板尾創路さんのコメントを紹介します。
本作の出演が決まった時の喜びを「コメディーの仕事をしているので、喜劇王の役を演じるのはやりがいもありますし、素直にうれしかったですね」と明かしますが「ただ、本業に近いからこそのやりにくさもあります。言葉については、時代も違うし、同じ関西でも違います。僕が生まれ育ったのは富田林と近いので、千代ちゃんが話す南河内の言葉が懐かしいです」と吐露。
役柄について「万太郎は“絶対的な喜劇王”なので、そういう意味ではやりにくいですね。僕は50代半ばですが、この世界ではまだ若手で、僕らもまだ手の届かないところに喜劇王という存在があると思います。この時代の喜劇役者の方々について、ご活躍は知っているものの、直接は存じ上げないので、僕らの世代にとって具体的なイメージが浮かぶのは、やはり藤山寛美さん。喜劇舞台のキングという印象があります」とご自身の世代と比較します。
ちなみに藤山寛美さんのモデルとなっているのは、前田旺志郎さん演じる松島寛治。さらに、今後登場する劇団員・須賀廼家万歳役の藤山扇治郎さんは、藤山寛美さんのお孫さんです。実在する人物と出演者のつながりが「おちょやん」の醍醐味(だいごみ)でもありますよね。
万太郎と千之助といえば、第14週(3月8日~12日放送)の兄弟げんかが印象的です。「千之助との仲たがいについては、方向性の違いや嫉妬などあるんでしょうが、きっと当事者である2人にしか分からない何かがあるんでしょうね。いつの時代にも、どこにでもあると思いますし、それは笑いの世界にも当然あるものでしょう。『まだまだやな』というセリフも、きっと“千之助の実力が”というわけではないと思います。芸事なんて、正解もないしゴールもないので『これ以上はないやろ』と言ったらもうそこまでだし、『いや、もっと何か他にやり方があるはずや』『これより面白いことがあるはずや』という気持ちがないと伸びません。だから『まだまだやな』というセリフも、逆に『もっとできるはず』という意味だという捉え方もできますよね」と芸人さんならではの目線で解説。
撮影現場について「セットに気合が入っているなと感じました。CGでも再現できないわけじゃないと思うのですが、やっぱりちゃんとセットを作って、そこで表現する方がいいですね。すごくテンションが上がりますし、この仕事をやっていて良かったなと思います。ただ、喜劇王としての雰囲気を出せているのか心配もあります。放送を見るのはちょっとドキドキしますね」とコメント。
最後に「喜劇人の端くれとしては、喜劇が生まれていくさまを見ていただきたいです。今は当たり前にあるものが、この時代にいろいろな人たちが関わって、試行錯誤して形を変えながら現在に至っている…その過程を楽しんでいただけると思います。日本の笑いの一つの歴史が詰まっているので、そういったところにも注目していただけたら面白いのではないかと思います」と見どころを語りました。
【番組情報】
連続テレビ小説「おちょやん」
NHK総合 月~土曜 午前8:00~8:15ほか
NHK BSプレミアム・BS4K 月~土曜 午前7:30~7:45ほか
※土曜は一週間の振り返り。
NHK担当 M・I
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