女優・宮澤佐江のミュージカルの原点「地球ゴージャスのお二人は、私に演劇の楽しさを最初に教えてくれた恩師」【ミュージカル「きみはいい人、チャーリー・ブラウン」リレーインタビュー③】2021/03/26
世界中で読み継がれ、愛され続けている大人気コミック「ピーナッツ」(著:チャールズ・M・シュルツ)。これを原作としたミュージカルの歴史は古く、1967年にオフ・ブロードウェーに初登場し、99年にはブロードウェーに進出。まさに、世界中の多くの観客を魅了し続けています。
そんなミュージカル「きみはいい人、チャーリー・ブラウン」が、2021年3月30日より日比谷シアタークリエに登場。17年以来の再演として新たなキャストを迎え、さらにパワーアップして帰ってきます! 今回は、そんな注目作のキャストの皆さんを取材。会見の様子と合わせ、インタビューを通じて作品の見どころやそれぞれの魅力を深掘りしてご紹介します。
(ミュージカル「きみはいい人、チャーリー・ブラウン」リレーインタビュー①はこちら:https://www.tvguide.or.jp/feature/feature-744208/、②はこちら:https://www.tvguide.or.jp/feature/feature-745626/)
今回お話を伺ったのは、気の強さも魅力的な女の子・ルーシーを演じる宮澤佐江さん。AKB48を卒業後、数々のミュージカル舞台で活躍する宮澤さんに、役柄への思い、そしてミュージカルへの愛を語っていただきました。
――はじめに、出演が決まった時のお気持ちを教えてください。
「とにかくうれしかったです。前回(2017年)は、AKB48の後輩にあたる田野優花ちゃんがサリー役で出演していて、彼女が頑張っている姿を陰ながら応援していました。サリーとして楽しんで生きてる姿も拝見していたので、『あの子があれだけキラキラ輝いていた作品に次は私が出られるんだ』という喜びもありました」
――田野さんとは何かお話されましたか?
「出演について直接は伝えてはいないんですが、実は彼女は私が地元で通っていたダンススクールの後輩でもあるんです。関係が深い後輩の1人で、気持ちだったり、もともとの魂は同じだろうなと思っていて。何かを直接話すということはしていなくても、思ってくれていることは感じられています」
――身近な人やファンの方など、周りの反応はいかがでしたか?
「『ルーシーぴったりだね!』とファンの皆さんが言ってくれていて。『そうなんだ、ルーシーって私にぴったりな役なんだ!』って思ってふたを開けてみたら、キャラクター説明にガミガミ屋で小うるさい子と書いてあって(笑)。そんな姿、ファンのみんなには1ミリも見せたことないのになあと思ったりしながら(笑)」
――演じる中で見えてきたルーシーの魅力はどんなところですか?
「ルーシーには『ガミガミ屋』とか『小うるさい子』というイメージがあって、そういう面もあるので間違ってはいないんですけど、でも悪気はなかったり、意地悪をしたくて何かを言っているわけではないんですよね。この『ピーナッツ』の世界に生きる子の中でも一番素直で、自分の思っていることを提示できる子だと思うんです。それは私にはない部分で、大人になって忘れかけちゃっていたことというか。周囲の目を気にせずに『自分はこう思ってるんだ』と伝えられる子なんだなと思うと、心(しん)があってすてきな子だなと思います」
――本音と建前というように、大人になると物事をはっきり言うことってなかなか難しいですよね。
「それも大切なことで、必要なことだけど、もっと素直に生きたいなと思うことはありますね。こんなに素直に物事をはっきりと主張できる子っていいなあと、ちょっと憧れの気持ちを持ちながら役作りをしています」
――ルーシーといえば「精神分析スタンド」の辛口ドクターでもありますよね。宮澤さんは、普段相談されることは多いですか?
「大人になってからは相談することの方が多いですね。アイドル時代は後輩もたくさんいて、相談してくれる子も多かったので聞くことの方が多かったかなと思うんですけど、卒業した後は右も左も分からないことが多くて、先輩に質問したり相談したりすることの方が増えました」
――特に頼りにしている相談相手はいますか?
「作品によってではあるんですが、でもいろいろなことを教わってきたり、これからも教わりたいと思っている恩師は地球ゴージャスの岸谷五朗さんと寺脇康文さんです。私に演劇の楽しさを最初に教えてくれたのはお二人なんです」
――お二人とのエピソードがあれば、ぜひ聞かせてください。
「演出家の五朗さんからは、役としてセリフを言うコツを教えていただきました。『そのセリフの間だと、佐江ちゃんの感情の間だから、このキャラクターはもっとテンポが早いよ』とか。根本的なことなんですけど、それは私が演劇を始めた時は全然知らなかったし、できていなかったことだったので、今でもそのアドバイスを心に留めていろんな現場に臨んでいます。今回のルーシーを演じるにあたっても、とても参考になっているなと感じます」
――ルーシーを演じる中で、お気に入りのセリフはありますか?
「今回、作品の一番最後となるセリフを私が言うんですけど、そういった役回りは初めてなんです。それを任せてもらえることが何よりうれしくて。重みを持って、自分の言葉としても最後のセリフを伝えたいなと思っています」
――では最後に、舞台を楽しみにされている皆さんにメッセージをお願いします。
「最近は世の中でいろんなことが起こっていて、悲しい思いやつらい思いをされている方も数多くいらっしゃると思います。でも、このミュージカルを見ている2時間弱はそんなことを1ミリも1秒も感じさせない、本当にハッピーでキュートでハートフルな作品に仕上がっています。見に来てくださった全員に笑顔を届けられるように、出演者一同頑張っておりますで、ぜひ楽しみにしていてください!」
――ありがとうございました!
持ち前の明るさはもちろん、大人の女性としての魅力にも磨きがかかっている宮澤さん。新しい世界に飛び込んだ後も一つ一つの作品で自分なりの課題を見つけ、克服するために努力されている様子がお話の中から伺えました。本作では、どんな表情を見せてくださるのでしょうか? ルーシーの最後のセリフにも注目です!
開幕まであと4日! 明日は、要領のいいちゃっかり者・サリーを演じる林愛夏さんのインタビューをお届けします。お楽しみに!
【プロフィール】
宮澤佐江(みやざわ さえ)
1990年8月13日生まれ。東京都出身。しし座。O型。2006年にAKB48メンバーとしてデビュー。選抜メンバーとして活躍した後、2016年にグループを卒業。以降、ミュージカル「王家の紋章」、ブロードウェー・ミュージカル「ピーターパン」、地球ゴージャス プロデュース公演 Vol.15「ZEROTOPIA」、ブロードウェー・ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリーSeason2」などに抜てきされ、女優として目覚ましい活躍を見せている。
【作品情報】
ミュージカル「きみはいい人、チャーリー・ブラウン」
東京公演 日比谷シアタークリエ/2021年3月30日〜4月11日
大阪公演 サンケイホールブリーゼ/2021年4月15日〜4月18日
愛知公演 日本特殊陶業市民会館ビレッジホール/2021年4月20日
長野公演 長野市芸術館メインホール/2021年4月23日
取材・文/佐藤佳奈恵
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