「神様のカルテ」福士蒼汰が演じる新たな栗原一止とは? 「“自分がエネルギーを与える”ということを意識しています」2021/02/19
福士蒼汰さんが、長野・松本にある地方病院で働く風変わりな医師の栗原一止(いちと)を演じるドラマスペシャル「神様のカルテ」(テレビ東京系)。原作は現役医師・夏川草介氏のベストセラーである同名小説で、2011 年、14 年には櫻井翔さんの主演で映画化もされた人気作です。本作では、2時間×4話の計8時間という大型スペシャルドラマとして放送! 24時間、365日対応する地方病院という過酷な環境で働く一止が、真摯(しんし)に命と向き合う姿を通して、“命の尊さ”や “心のつながりの大切さ” を丁寧に描きます。
今回は、主役の栗原一止を演じる福士蒼汰さんを直撃取材。映画版での一止について、初めて演じられた医師役への思い、撮影時のすてきなエピソードや福士さんが影響を受けている人物に関してなどをお伺いしました!
――ドラマはベストセラーである同名小説が原作となっていますが、撮影前にはどのように準備されたのでしょうか?
「小説も読ませていただいて、映画も見させていただきました。小説の後に脚本を読ませていただいたのですが、2時間×4話という形式だからこそ、小説の中身を改変せずにそのまま書かれている印象があって。夏川草介先生が伝えたいことはそこにすべて書かれているんじゃないかなとも思ったので、僕も、それをしっかりくみ取りながら演じたいなと感じました。映画版で櫻井翔さんが演じられた一止からは、彼の苦悩や疲労をすごく感じられて、その大変さが伝わってくるなと思いました。その中で、宮﨑あおいさん演じる妻の栗原榛名など、周りにいる人々の明るさによって導かれている一止…という印象を映画版では受けました」
――福士さんご自身はどのように一止を演じたいと思われたのでしょうか?
「僕としては、一止自身のエネルギーをより表現していきたいです。今作では、患者さんに面と向かって話をするシーンが結構あって、その中で患者さんが救われることもあります。“自分がエネルギーを与える”ということを念頭に置いて、患者さんに対してやってあげられることを意識しています」
――福士さんが演じられる新しい一止の姿が楽しみです。初の医師役ということでしたが、実際に演じられてみていかがでしたか?
「新たに知ることばかりでした。例えば、救急の患者さんがどのように運ばれてきて、その時にお医者さんはどんな処置をしているのかとか。だから、現場で医療監修の先生たちに『こういう時は何されているんですか?』と聞きながら勉強させていただきました。でも、一昨年『4分間のマリーゴールド』(TBS系)で救急救命士の役を演じさせていただいていたので、その時の経験が生きた場面もあったように感じます。あと、今作では、一止がその時の思いを語るモノローグが多いんです。『一止がこの時、何を思っているのかな?』というのをすごく大事にしながら、一止の客観的な視点からの思いと、話している言葉と表情、この三つを混ぜ合わせて作っています」
――一止の思いについてのお話が出てきましたが、作中では、一止が延命治療を行うことが本当に患者にとって正しいことなのかを考え、必ずしも延命治療を行わない選択をするシーンもあります。そういった彼の判断は福士さんから見てどう思いますか?
「本当に難しいですけど、どちらを選択しても、意味のある未来につながるんじゃないかと思います。もちろん、本人や周りの家族の意向をくむのは前提ですが、それも踏まえ、さまざまな状況を鑑みたうえで、一止がどちらの判断をしてもいいんじゃないかなと感じます。だから、第1話(2月15日放送)で一止が患者の安曇清子さん(風吹ジュン)に延命治療を行わない場面がありましたけど、また別に、安曇さんを少しでも長く生かそうと延命治療を行う選択をした一止の世界線もあってもいいというか。それでも安曇さんは恐らく『ありがとう』と言ってくれるだろうし、一止もそれはそれでよかったんだと思うだろうし。どちらを選んでもいいんじゃないか…そんなふうに感じます」
――どんな選択肢でも意味があるというのは、すてきな考え方ですね。撮影の方は、寒い環境の中行われていたかと思うのですが、いかがでしたか?
「寒さ対策としては、何かを着たりカイロを持つくらいなのですが、そもそも僕は冬の撮影が好きなんです。キャストが暖房器具の周りに集まって、円を描く状況が結構好きで。夏より冬が好きなんですが、その理由の一つになるくらい(笑)」
――今回の現場でも、皆さんで集まってお話されていたのですか?
「そうですね。今回は敵と味方がいるような作品ではないので、キャスト同士で日常的にコミュニケーションをとっているとすごくいいんじゃないかなと思いまして。例えば妻の栗原榛名役の清野菜名さんとは…ふざけた話しかしてないな(笑)。あ、素数について話しました! 撮影が始まる前に、(一止たちが住んでいるという設定の)御嶽荘のセットの中に、1、2、3と数字が書いてあって。『あれ、何の番号なんだろう?』『ルームナンバーにしてはサイズが大きすぎるよね』という話をしていたんです。僕が『1があるから素数じゃないか…』と話したら、清野さんが『素数って何?』と聞いてきて…そういう話を聞いてくれるからありがたいです(笑)」
――和気あいあいとした雰囲気の中で撮影されていたことが伝わってきます。一止の言動に関して言うと、夏目漱石を敬愛していることから古風な言葉遣いをよくしますが、セリフまわしなど難しかったのではないでしょうか?
「一止の口語ではない不思議な話し方は大変でした。何より一番は、それでなお今を生きる現代の人間として演じられるか、というところが難しいポイントだなと思いました。言葉を大事にしている人だと思うので、独特な言葉遣いを強調して言ってみたり…でも、全部強調しすぎてしまうと違和感のある人になってしまうので、自然だけど、個性も見せられるように。そこに気を付けながら、監督と話し合い試行錯誤して作らせていただきました」
――ちなみに、一止にとっての夏目漱石のように、福士さんご自身が自らの生き方に影響を受けている人がいらっしゃいましたら教えてください。
「岡田准一さんです。19歳の時に映画『図書館戦争』で初めて共演させていただき、それ以降もさまざまな作品で共演させていただいているのですが、岡田さんがやられている格闘技はまねして全てやらせていただいています! カリ、ジークンドー、USA修斗、柔術など…考えてみたら全部やっています(笑)。アクションの面ではかなり影響を受けていると思います」
――岡田さんの魅力は、どういう部分に感じられますか?
「ストイックで、何事にも真面目に取り組まれているところです。でも、僕もそうなんですけど、岡田さんご自身も『ストイックにやっている』とは思われていないんじゃないかな。ただ好きで、真面目に一生懸命やられている感じがとても魅力的だなと思います。何かあったら岡田さんに毎回教えていただいているんです!(笑)。『次の作品で殺陣のシーンがあるんですけど…』とご相談すると、『じゃあ、居合とかいいと思うよ!』と教えてくださいます」
【プロフィール】
福士蒼汰(ふくし そうた)
1993年5月30日生まれ。東京都出身。ドラマ「DIVER-特殊潜入班-」(フジテレビ系)、「明治開化 新十郎探偵帖」(NHK BSプレミアム)、「4分間のマリーゴールド」(TBS系)、映画「カイジ ファイナルゲーム」「ザ・ファブル」「旅猫リポート」「BLEACH 死神代行篇」「ラプラスの魔女」などの話題作に出演し、多方面で活躍している。
【番組情報】
ドラマスペシャル「神様のカルテ」
テレビ東京系
月曜 午後8:00~9:54
取材・文/鬼木優華(テレビ東京担当)
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