「赤ひげ3」ひねくれ者の医師見習い・つぐみを演じる優希美青。赤ひげ役の船越英一郎をにらむ役どころに思ったこととは?2020/11/11
NHK BSプレミアムで放送中のBS時代劇「赤ひげ3」。江戸時代、貧しい人たちのために作られた小石川養生所を舞台に、恐れや親しみを込めて“赤ひげ”と呼ばれる所長・新出去定(船越英一郎)と若き医師たちが、さまざまな悩みを持った人々への医療に奮闘する人情ドラマです。
今回の第3シリーズから、去定の医師仲間だった安岡多聞(河相我聞)の娘・つぐみ(優希美青)が加わりました。父亡き後、去定の元へやって来たつぐみは、去定の計らいにより、小石川養生所で医師見習いとして働くことになりましたが、ひねくれた性格のつぐみは去定をはじめ、養生所の人々と衝突します。そんなつぐみを演じる優希美青さんから、役に対する思いや、撮影エピソードを伺いました!
――時代劇のレギュラー出演は初めてとのことですが、撮影に入られていかがでしたか?
「現代劇とは違う現場の雰囲気なので、撮影に入る前はちょっとドキドキしていました。いろんな先輩たちに囲まれて、しかも『赤ひげ』は第1シリーズと第2シリーズがあり、現場の雰囲気ができている状態の中に入るということで不安もありました」
――つぐみは初めての女性の医師見習いとして登場しますが、江戸時代に女医となるつぐみに対してどう思いましたか?
「昔は女性が男性と同じ立場で働くというのは難しくて。患者さんにも最初は『女に医者ができるか』と言われていたけど、つぐみは医者としての能力、知識は誰にも負けないくらいすごいんです。しかも、なんと言われてもへこたれないのがつぐみで。男性陣に交じって医者としてやっていく中、女性だからできないことがあって悔しい思いもするけど、女性だからこそ寄り添えるものもあるので、つぐみの位置ってすごくすてきだなと思いました」
――第1シリーズ、第2シリーズを見てから撮影に臨まれたそうですが、作品の印象を教えてください。
「ほろっとする中にも面白さもあり、第3シリーズでも、クスッと笑える小ネタが結構入っていたりするので、若い子でも楽しめるんじゃないかなという印象を受けました」
――楽しい印象を持って入られた第3シリーズで、優希さんが演じるつぐみは小石川養生所をかき回す存在として登場します。最初に台本を読まれた時はどんな感想を持たれましたか?
「マネジャーさんにも言われたんですけど、ぴったりの役だなと(笑)。私自身、つぐみのようにひねくれているわけではないんですが、そういう役が向いていると思います。演じながら『先輩をにらむなんてどうなんだろう?』と思っていたんですけど、気が付いたら(船越さんを)にらんでいて、つぐみになっていました(笑)。つぐみとの共通点はあまりないですが、つぐみのように思ったことを口にするタイプではあります。違うと思ったら違うと言いますね」
――「気が付いたら船越さんをにらんでいた」とのことですが、去定役の船越さんをにらんだ時はどんな感じだったのでしょうか?
「『失礼します!』と思いながらにらんで。つぐみは、去定先生に“ぐわーっ”と思いっきり物を言うので『ごめんなさい』と思いながらも、普段できないことだから新鮮でした(笑)」
――船越さんには演じる上でアドバイスをもらったりしましたか?
「時代劇をやる上で、現代劇とは違う体の使い方とか見せ方、顔だけじゃなくて手を大げさに動かすだけで時代感を出せるなど、テクニックをところどころ教えてくださいました。時代劇では、眉をグッと上げたり、目に力を入れたり、目を赤くして、怒りや悲しみの表情を見せるというアドバイスをしていただいて。だから、去定先生とつぐみが2人で向かい合っているシーンは、そういう表情が多く取り入れられていると思います」
――11月6日放送の第3回で、つぐみが去定に「自分の本当の父親なのでは?」と問いかけるシーンがありました。あのシーンの撮影はいかがでしたか?
「船越さんが、テストの時にアドリブを言って現場を和ませてくださるんです。『私の本当の父親は…あなたなんですね』というセリフを言った後に面白いことを言われて(笑)。真剣なシーンなのに、みんながクスクス笑ってしまう雰囲気で、本番直前まですごく楽しかった思い出があります。直前まで笑っていました」
――楽しそうな現場ですね! 船越さんは普段からアドリブで演技されたりするんですか?
「そうですね。テストや段取りの時は、いろいろ面白いことを言ってくださいました。私は一生懸命、笑うのをこらえて、つぐみになりきっていました」
――つぐみはいろんな人と言い争うことが多いですが、女中のお常(山野海)、お光(久保田磨希)、お雪(真凛)とのシーンはいかがでしたか?
「現場では皆さんが本当に優しいから、せっかく現場で仲良くなったのに、つぐみになった瞬間、にらんだり怒ったりするのでさみしかったです(笑)。皆さんかわいがってくださって『落ち着いたら女子会したいね』と言っています」
――女中3人のやりとりは面白いですよね!
「あの3人のシーンってコミカルというか、笑いが多いじゃないですか。私もどちらかというとそっちが好きなので、たまに入りたくなりました。つぐみと女中3人が何かを見たりする時に『3人は楽しそうでいいな』って。つぐみだけむすっとしているので。もし、第4シリーズがあるとしたら、3人の仲間に入っているかもしれないですね。そういうのをやりたいです」
――津川玄三とも言い合いになるシーンがありますが、津川を演じる前田公輝さんと共演していかがでしたか?
「ドラマの『デスノート』(日本テレビ系)でご一緒したことがあったので、その時から比べて『大人になったね』と言われました。最初からお兄ちゃんみたいな感じで『大丈夫?』とこまめに気にかけてくださって。現場では手洗いやうがいを徹底していたので『よし、手洗い行こっか』みたいな(笑)。撮影期間に写真集を出されたので、それを買ったらサインをしてくださって、優しい方です。役柄としては、津川先生は田山先生と比べて『しょうがないな、この子』とつぐみをちょっと大人な目線で見てくれています。一方、田山先生は嫉妬の目をつぐみに向けてくるので、田山役の鈴木(康介)さんに対しては『そんな顔でにらまないでよ』と思っていました(笑)」
――田山とはライバル関係ということでしょうか?
「田山先生とは競い合うじゃないけど、田山先生は『去定先生に認められたい、つぐみばかりずるい』と思っていて。ご飯を食べるシーンでも、2人でどっちが早く食べられるか、どっちがいっぱい食べるかというような、ちょっとしたライバル心がちょくちょく出てくるので、面白いなと思いながら演じていました」
――また、作中では保本登(中村蒼)をはじめ、つぐみも養生所の医師が着ている白い服・お仕着せを嫌がっていましたが、お仕着せを着ていかがでしたか?
「かわいくてすごく楽でした。撮影が夏で暑かったので、涼しいなって。パジャマみたいで動きやすかったです。女性がお仕着せを着るというのは新鮮だったようで、現場でも『あっ、女の子が着ているの、いいね』って皆さん言ってくださってうれしかったです」
――最後に、もし第4シリーズがあったらチャレンジしたいことを教えてください。
「第4シリーズがあり、またつぐみを演じられるのであれば、つぐみとしてもっと笑いたいですね。最初からずっと怒っているか、にらんでいるかなので、もっと女の子らしいつぐみを見たいなと思いました。第4シリーズでは去定先生とも仲良くなって、女中3人や田山先生とも仲良くなって笑っている、ふざけているつぐみというのも面白いかもしれません」
―ありがとうございました!
「赤ひげ3」のつぐみは、ほぼ笑うことがなく、いつも面白くなさそうな仏頂面をしていますが、優希さんはインタビュー中、終始笑顔で、朗らかに笑っていらっしゃったので、そのギャップに記者はあらためて女優さんのすごさを感じました。
11月13日放送・第4話
赤ひげ(船越)やつぐみ(優希)とともに働くお常(山野)の母親・おまつ(山口果林)が病で亡くなります。おまつの夫・藤吉(石橋蓮司)は、職人で家事一切を妻に任せてきた仕事の虫で、妻が亡くなっても悲しみを見せることもなく、無愛想なまま。しかし、藤吉は妻を亡くしてから食事をしようとせず、倒れて養生所に入所してくるのです。藤吉のかたくなな心の奥にある思いとは一体何なのでしょうか…。
【番組情報】
BS時代劇「赤ひげ3」
NHK BSプレミアム・NHK BS4K
金曜 午後8:00~8:45
NHK担当 K・H
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