全日本フィギュアシニア強化合宿リポート第1弾!【宇野昌磨選手・囲み詳細&男子個人氷上練習】2019/07/17
7月15日、名古屋・中京大学アイスアリーナで、全日本フィギュアシニア強化合宿の公開練習が行われました。徹底リポート第1弾では、宇野昌磨選手の囲み取材の模様と、宇野選手、田中刑事選手、友野一希選手、山本草太選手、島田高志郎選手らの個人氷上練習のフォトリポートをお届けします。
ロシア合宿から帰国したばかりの宇野選手。多くの報道陣に囲まれる中、オフシーズンの取り組みと今後の方針について語ってくれました。
── ロシア合宿はいかがでしたか?
「いい経験をすることができました。エテリ(・トゥトベリーゼ)コーチはとても厳しい方だと聞いていましたが、最後の方では厳しい中にも優しさを感じられ、お互いに人間性が分かって合宿を終えることができたと思います。最近は自分で考えて練習することが多かったのですが、『これをやりなさい』と言われてやる、環境に合わせてやるという経験を『小さい時みたいだな』と思いながらやっていました」
── 所属チームを離れた経緯について教えてください。
「(山田)満知子先生から『離れた方がいいんじゃないか』と持ち掛けていただきました。小さい頃から一緒にやっているからこそ、お互いのことを知りすぎている面がある。先生と生徒以上、家族のような関係の中で今までやってきて、いいところもあれば悪いところもあるんじゃないか、違う環境を見てもいいんじゃないかと言われました。…僕がこういうことをうまくまとめて言える自信がないので、あまりしゃべりたくないのですが…」
── 樋口美穂子コーチは何と言っていましたか?
「『これからも一番応援している、どんな形になっても応援してるから頑張ってください』と言われました」
── ’19-’20シーズンはどんな結果を残したいですか?
「これまで以上に結果を出すことが、満知子先生や美穂子先生のためにもなると思いますし、今後関わっていく人たちのためにもなりますし、何より自分のためにもなります。一人だからこそ、今まで以上にうまくならなければと思っています。また、昨年よりは“結果、結果”というよりも、“自分のスケートをしたい”という気持ちが強いです」
── ロシア合宿で4回転ループと4回転ルッツの成功率は上がりましたか?
「いえ、まったくです。ループはまったく跳べなかったです。ルッツは1回もやっていません」
── ロシア合宿で技術的に進化したと思う点は?
「なかなか使い道がないかもしれませんが、セカンド(ジャンプ)のトリプルループをやってみたら、『跳べなくはないのかな』と思ったり…。新しいジャンプを会得した、というのはまったくないのですが、『(新しいジャンプを)やろう』というきっかけにはなったかなと思います」
── セカンドジャンプの4回転トウループはいかがでしょうか?
「セカンドの4回転トウは元から跳べているジャンプなので、向こう(ロシア)でも跳ぶことができていました。“セカンドの(4回転)トウループの安定感”というよりも、“(4回転)フリップ、(4回転)サルコウの安定感”の方が、アクセル-トウ(トリプルアクセル-4回転トウループのコンビネーション)を入れる上では必要なものかなと思います」
── 新しい環境になったことでの、精神的な高ぶりはありますか?
「ちょっと違う答えになってしまいますが、今まで僕は美穂子先生の振付でしか試合をやってこなかった。エキシビ(エキシビション)はデビッド(・ウィルソン)さんやシェイ=リーン(・ボーン)さんに振り付けてもらうことが多かったですが、美穂子先生のいいところもあれば、デビッドさんやシェイ=リーンさんのいいところもある。選手一人一人に個性があるように、振り付け師にも一人一人個性があると思うので。そして、これまでは試合用のプログラムというのは、試合用の曲調というか、そういうのが多かった中で、今年はたぶん“『エキシビ!?』みたいな感じのプログラム”を試合でやると思います。まだちゃんと決まっていませんが…」
── まだ新プログラムは完成していないのですか?
「そうですね。フリーがデビッドさんで、ショートがシェイ=リーンさん(の振付)。デビッドさんから曲が二つ送られてきて、『どっちがいい?』と聞かれて、『こっちの方がいいと思う』と返しましたが、曲名とかまったく分からないので…(苦笑)。ただ聞いた感じでは、エキシビのような曲でした」
── シェイ=リーン・ボーンさん振付のショートも同じですか?
「ショートの方はダイナミックでハードな…本当に“シェイ=リーンさんのプログラム”という感じになると思います。作り終えたら、皆さんにお披露目したいと思っています」
── シェイ=リーン・ボーンさん振付の「Great Spirit」では、顔にペイントをしましたね。
「アレでだいぶ恥ずかしさというものが吹き飛んだので…。ただ暗い照明の中でエキシビとしてやることには慣れていますが、明るい中であのような(『Great Spirit』のような)弾けたプログラム…、まして試合のような緊張感の中でやるというのは、『どんな心境なのかな?』と不安なところもありますが、不安以上に楽しみだなという気持ちがあります。僕も楽しみですし、皆さんにも楽しみにしていただけたらと思っています」
── エキシビションのようなプログラムということで、振付へのアプローチの仕方に何か変化はありましたか?
「まだ、振付していません」
── 取り組み方に変化はありそうですか?
「これは決してルールを悪く言うわけではありませんが、やはり今はジャンプがメインになっています。ジャンプを跳ばなければ勝てない、勝てないと面白くないですし…。僕もジャンプをメインとしたプログラムがここ数年続いていて、つなぎも“ジャンプのためのつなぎ”であって、“プログラムのためのつなぎ”ではなかった。この前、韓国でデビッドさんと話した時に、『“ジャンプのプログラム”ではなく、“僕が作り上げるプログラム”というものを作りたい』と伝えました。僕がプログラムに意見することは(これまで)なかったのですが、やはり自分らしさ、自分が楽しいと思えるプログラムで、試合にも出てみたいと思いました」
── 海外拠点が決まるまでは中京大学が拠点になりますか?
「今後どうなっていくかっていうのはちょっと分からないのですが、予定としてはスイスのステファン(・ランビエール)さんのところに合宿に行ったり。海外は今のところそれしかありませんので、残りは中京大学です。メインコーチではありませんが、1カ月に数回、本田武史先生にジャンプコーチをお願いしています」
── メインコーチはまだ決まっていないのでしょうか?
「今年はたぶん、決まらないんじゃないかと。やはりもうすぐシーズンに入るという時に、急にコーチについてもらって、『全ての大会に帯同してください』というのは申し訳ないというか…。向こう(新しいコーチ)もどうしたらいいのか分からないと思いますし。なので、もっとゆっくり、ここ(中京大学)に拠点を置いて練習した上でお願いできたらと思ったりしています」
── ドキドキ、わくわく、不安…どんな感情が一番大きいですか?
「あまり不安はないです。1人でも僕はできると思っているので」
“自分らしい、自分にしかできないプログラムを”。そう語る宇野選手の言葉からは、揺るぎない覚悟と自信がうかがえました。
そして、午前と午後との2回にわたって行われたAグループの氷上練習には、男子から宇野選手、田中選手、友野選手、山本選手、島田選手、女子から宮原知子選手、三原舞依選手が参加。選手たちはそれぞれの新プログラムの振付を確認したり、エレメンツの練習をしたりと、新シーズンへ向けて濃密な練習を行いました。
近日公開予定のリポート第2弾では、表現トレーニングとスティファン・ランビエールさんによる全体練習の模様をリポートします。どうぞお楽しみに!
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