12月にデビュー25周年を迎える水樹奈々が放つ、全身全霊の今―アルバムインタビュー2025/04/15 18:00

2025年12月にデビュー25周年を迎える水樹奈々が、15枚目のアルバム「CONTEMPORARY EMOTION」を引っ提げ登場。彼女らしい激しいロックチューン、ダンスチューン、バラードなど多彩なサウンドの楽曲を収録したほか、「Turn the World」など人気のTVアニメのテーマソング、さらに水樹自身が作詞・作曲を手がけた「Awesome!」も収録。楽曲制作に際した気持ちや、12月に控えているツアーについて話を聞いた。
――最新アルバムのタイトル「CONTEMPORARY EMOTION」には、どのような思いが込められているのでしょうか?
「タイトルは、今回もすごく悩みました。これまで必殺技のような強い言葉が並んでいたのですが(笑)、コロナ禍を経て自分の気持ちにも変化があり、どっしりとしていながらも軽やかさがあり、でも情熱的な……。強さよりも内なる熱さのある言葉にしたいと思って、たどり着いたのがこのタイトルです」
――アルバムのオープニングを飾る「拍動」は、水樹さんの新しい扉を開いた1曲です。作曲はGigaさん、堀江晶太さん。ボカロPの方に楽曲を提供していただくのは初めてですね。
「はい。TVアニメ『#コンパス2.0』のオープニング主題歌で、ボカロPの方々が音楽を手がけている作品なので、このコラボが実現しました。この作品との出合いがなければ、お二人に書いていただく機会はなかったと思うので、とても貴重なご縁をいただきました。同時に私自身、すごく新しいチャレンジをさせていただけてうれしかったです」
――熱いラップ展開が特徴です。
「ラップに関しては、2ndシングル『Heaven Knows』で、なんちゃってラップをやったことがありましたが(笑)、今回は全然違います。チャレンジ要素満載で、めちゃくちゃ家で練習してレコーディングに臨みました。堀江さんによるロックテイストの歌詞とアレンジによって、今までになかったダンスロックチューンに仕上がっています。このお二人ならではの構成で、自分の中にはなかった刺激をたくさん受けた楽曲になりました」
――サビは、水樹さんらしいスケール感のあるものになっていると思いました。
「実はサビは全4パターン作っていただいて、結果的にそのうちの2つを合体させる形で完成しました。さらに、そこへ堀江さんによるロックテイストの歌詞が乗ったことで、より畳みかける疾走感が生まれて、熱さと痛快さが増しました。本当にさまざまな融合が1曲の中で繰り広げられている、とても面白い曲が完成し、大興奮しました」
――今作にはその「拍動」をはじめ、「SHAMAN KING FLOWERS」のオープニングテーマ「Turn the World」、「でこぼこ魔女の親子事情」のオープニングテーマ「Sugar Doughnuts」、「HIGHSPEED Étoile」のオープニングテーマ「ADRENALIZED」といった、TVアニメ主題歌が収録されています。アニメタイアップの楽曲はアニメファンに向けた部分と、自身のファンに向けた部分という2つのミッションがありますが、いつもどのように両立させているのでしょうか。
「どちらもが際立つ、良いバランスをいつも模索しながら制作しています。作品に寄りすぎるとキャラクターソングに近づいてしまいますし、自分に寄りすぎるとアニメ作品との親和性が足りなくなってしまいます。それぞれの絶妙なバランスを見つけるのが一番のポイントだと思っています。楽曲コンペに参加してくださる作家の皆さんにも、原作やシナリオがあるものは必ず読んでいただき、資料もしっかり読み込んでいただいたうえで、作っていただくようにしています。作家の皆さんも、作品への愛がすごく高まった状態で書いてくださるので、私自身も作品のファンとして“このフレーズピッタリ!”“あの世界観っぽい音の動き!”など、共感して聴き入ってしまうこともしばしばです」
――水樹さんが作詞をする時は、アニメ作品と水樹さんの間の共通項を、いかに見いだせるかが重要なのでしょうね。
「私が作詞をする際も、必ずシナリオを隅々まで何度も読み返して、作品が伝えたいことや自分が共鳴したテーマを抽出して、そこからキャラクターと水樹奈々、両方の視点で書いていくようにしています」
――水樹さんが作詞に参加された、ラストのバラード曲「ツバサ」。楽曲制作時の印象的だったエピソードを教えてください。
「この『ツバサ』は2024年の12月、制作の最終段階で収録が決まった曲でした。もともとは違う曲を収録する予定で進んでいたのですが、作詞が難航し、“今これをかたちにするべきではないのかもしれない”という結論になり、急きょ8年ほど前にいただいたデモテープの中から発掘されました。吉木絵里子さんに急ピッチでフルサイズを仕上げていただいたのですが、曲の構成やアレンジにブラッシュアップが必要で、年末年始はこの曲にかかりっきりでした(笑)」
――「Awesome!」は水樹さんが作詞だけでなく、作曲も手がけています。
「25年間の感謝をテーマに、さまざまな意味の“最高”をつづった笑顔になれる、スウィング調の曲を制作しました。“こんなに長い間活動させていただけて、スペシャルな節目を迎えることができて最高に幸せ!”という気持ちはもちろん、この25年の間にはうまくいかないことや大変なこともあったけど、そんな時でも“最高の未来を目指すんだ!!”とポジティブな言葉を口にして、前だけを見て進んできたという意味もあります。そして、これからもいろいろな面で、自分史上最高を更新して行きたいという思いも込めています」
――では、ファンの皆さまにメッセージを。
「25年の歩みを感じていただきつつ、これからもまだまだ走り続ける! という攻めの姿勢も感じていただける1枚になっていると思います。さまざまなシーンにフィットする曲がそろっていますので、気合を入れたい時、1人でほっこりしたい時、いろいろなシチュエーションで聴いていただけるとうれしいです」
――12月から1月には、全国7箇所全14公演のライブツアーが決まっています。
「12月6日のデビュー記念日にスタート、『NANA MIZUKI LIVE FORMULA 2007-2008』以来となる年またぎのツアーです。アルバムを引っ提げたツアーでもありますが、25周年記念のツアーでもあるので、新曲だけでなく代表曲やライブ定番曲など、新旧幅広いセットリストでお届けしたいと思っています。昨年の『NANA MIZUKI LIVE JUNGLE 2024』ではかなりド派手な演出がテンコ盛りだったので、それとは異なる切り口と華やかさで、25周年をみんなでお祝いしたいです!」
【プロフィール】
水樹奈々(みずき なな)
1月21日生まれ。愛媛県出身。O型。近年の主な声の出演作は、「HIGHSPEED Étoile」「ダンダダン」(ともに2024年)、「天久鷹央の推理カルテ」(25年)など。デビュー記念日である12月6日より、約1年半ぶりのツアーを行う。
【リリース情報】
ALBUM
「CONTEMPORARY EMOTION」
NOW ON SALE
堀江晶太×GigaによるTVアニメ「#コンパス2.0」オープニング主題歌「拍動」をはじめ、人気TVアニメテーマソングの他、10曲の新曲を収録。デジタル、ダンス、ロック、ジャズが共存、ラストは感動のバラードで締めくくる。水樹奈々らしくありながら多様性にあふれた、今の時代を映したアルバム。
取材・文/榑林史章 撮影/白木淳也 ヘアメーク/松田よりこ スタイリング/KATAYAMA SAYURI
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