「いつか、ヒーロー」長濱ねる、桐谷健太とバディを組み巨大権力を相手に立ち向かう!2025/04/13

ABCテレビ・テレビ朝日系で放送中の「いつか、ヒーロー」(日曜午後10:15)。主人公で児童養護施設の職員の赤山誠司(桐谷健太)は、ある日突然消息不明に。20年後、全てを失った赤山が戻ってくると、そこには変わり果てた教え子たちの姿が…。赤山と子どもたちに何が起きたのか。やがて、何者でもない彼らが世代を超えて手を組み、腐った巨大権力を相手に立ち向かっていく勇気と愛の物語を描いた社会派ドラマだ。
今回は、20年ぶりに主人公・赤山と再会し、バディとして、教え子探しや復讐(ふくしゅう)計画に協力する樋口ゆかりを演じる長濱ねるさんにインタビュー。ゆかりの印象や作品への思いを聞いた。

――台本を最初に読んで感じたことを教えてください。
「最初はゆかりという役を私が背負えるのか不安になりました。今まで天真爛漫(らんまん)で明るく周りを元気づけるような役が多く、影が含まれる役はあまりなかったので、やりがいがあるなと感じています」
――演じるゆかりの印象を教えてください。
「ゆかりは児童養護施設で育っていて、壮絶な過去を抱えながら生きています。でも、彼女自身は過去を大ごとには思わず、自分の人生で起こった一つの出来事として自分を奮い立たせていて。真面目に良い子でいようと幼い頃から背筋を伸ばして、一生懸命に過ごしています。それがゆかり自身の美学なのでしょうし、そういうところがすてきだなと思いました。しかし、ゆかりはそれだけで終わらず、バックボーンや現在の生活をひもとくと、裏の顔があります。でもそれは誰しも持っているもので、彼女自身もどちらが本当の自分か分からない。いろいろな顔を持ちながら一生懸命生きているゆかりの姿は、多くの人たちに共感していただけるのではないかと思っています」
――作品に対しての印象も教えてください。
「今の時代には珍しい、熱血な先生、そしてお父さんでもあるような大人が、30歳になった私たちに手を差し伸べてくれる…。そんなありそうでなかった作品です。大人になった教え子に熱く喝を入れたり、利害関係なく背中を押して手を差し伸べる。そういう大人の姿を描いたドラマは今まで見たことがなかったので、新しくていいなと感じました」
――役作りにおいて、大変そうだなと思った部分はありましたか?
「ゆかりたちは同級生とも違うし、一緒に寝泊まりしていても、血のつながりはなくて。とても複雑ですし、子どもなりに繊細に感じ取っている、そんな関係性を演じるのはとても難しいと思います。事前にいろいろなことを調べたり聞いたりすることで、家族に対してへの思いを再認識するのと、養護施設で過ごしている方の思いをきちんと理解した上で撮影に参加したいです」
――監督陣と役作りで話し合ったことがあれば教えてください。
「アベラヒデノブ監督は、とても丁寧にヒアリングしてくださる方。そして、ゆかりのことをしっかりと理解されていて、“この映画は参考になったよ”なども教えてくださいました。人間誰しも裏と表がありますが、ゆかりの優しさによる行動だったりが、彼女の自然な姿だと感じて、とても愛せるなと思いました。そういった部分を、監督と共通認識として擦り合わせていきました」

――桐谷さんとは1年ぶりの共演となりますね。
「桐谷さんは本当に器が大きくて、前回共演した時も『ねるちゃん、どんな芝居してもいい、俺が受け止めるよ』と言ってくださって、演じていても実際にそれを感じられ、本当に助けていただいた思い出がありました。なので、今回繊細な物語を演じていく中で桐谷さんが座長というのは本当に頼もしいですね。桐谷さんは“あまり変化を気にしなくていい”とおっしゃっていましたが、1年でできるだけ成長した姿をお見せしたいです」
――これまで桐谷さんから教わったことはありますか?
「桐谷さんは撮影の瞬間一つ一つをとても大事にされているのみならず、私が目線を変えたらそこに合わせて動きを変えてくださったり、相手を委縮させまいと気を使ってくださいます。そんな姿を見て、とてもすてきでかっこいい俳優さんだと改めて思いました。そして、以前の私は真面目に考え過ぎてしまい、本番ではリハーサル通りの演技をやらなきゃいけないと思っていたり。でもそうではなく、本番で違う感情になった時は思うように動いていい、ということを桐谷さんが教えてくださいました」

――他のキャストの方々の印象も教えてください。
「氷室海斗役の宮世琉弥さんはとても活躍されているのを拝見していて、同じ年代かなと思っていたのですが、予想以上にお若くて驚きました。大原要蔵役のでんでんさんとは以前も共演したことのあるのですが、アドリブが多い方で、一緒に撮影していると楽しくにぎやかなシーンになるので、今回も撮影が楽しみです」
――長濱さんの身近にヒーローのような存在はいらっしゃいますか。
「仕事で出会って手を差し伸べてくださる方や、小説を読んだ際に生きるヒントをいただく瞬間があって、その言葉たちがいつも私の背中を押してくれるヒーローです。私もこの作品を通じて、視聴者の方へ“いつかヒーローが来てくれる”という期待と、“自分もヒーローになれる”という思いを届けられたらうれしいです」
――どんな方たちにドラマを見てほしいですか?
「特に、私と同世代の20代後半から30代前半の方々に見ていただきたいです。私自身も生きづらい世の中だと思いますし、SNSが盛んで虚像と現実のはざまをずっと行き来しているような感覚になることも。就職難や低賃金、物価高など…生きるのがしんどいと感じている同世代に、何か光になるような瞬間をドラマの中に感じていただけたらいいなと思っています」
――「いつか、ヒーロー」のタイトルにちなんで、「いつかやってみたいこと」を教えてください。
「いつか本屋さんをやりたいです。そして子どもも好きなので、子どもたちに本を届ける、そんな活動をお仕事を続けつつ、できたらいいなと考えてます」
――最後に、視聴者へ向けてメッセージをお願いいたします。
「この作品は、漠然とした喪失感を感じている人や無気力感を抱えたまま生きている人に、何かに熱くなるのはかっこいいことだと再認識していただけると思いますし、苦しい世の中でも希望を忘れないで上を向いて歩いていく。そんなパワーを、ゆかりを通して届けていけたらと思います」
番組情報
「いつか、ヒーロー」
ABCテレビ・テレビ朝日系
毎週日曜
午後10:15~11:09
プロフィール
長濱ねる(ながはま ねる)
1998年9月4日、長崎県生まれ。最近の出演作に、ドラマ「366日」(フジテレビ系/24年)、「磯部磯兵衛物語〜浮世はつらいよ〜」(WOWOW/24年)、「若草物語-恋する姉妹と恋せぬ私-」(日本テレビ系/24年)、「アンサンブル」(日本テレビ系/24年)などがある。
取材・文/S・A(テレビ朝日担当)
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