井上瑞稀、目元が見えない“霧尾くん”に込める思い「想像できる余白もこの作品の面白さ」2025/04/03 18:00

現在、茅島みずき主演で同名漫画を実写ドラマ化した「霧尾ファンクラブ」を中京テレビ・日本テレビ系で放送中。クラスメートの霧尾くんをいちずに推す三好藍美(茅島)と、親友であり恋のライバルでもある染谷波(莉子)が、霧尾くんをめぐって大暴走する物語だ。霧尾くんの学ランを奪い合ったかと思えば、夢に出すために謎の儀式をしたり、妄想デートを楽しんだり…。“推し活”に情熱を注ぐ高校生たちの一方通行なラブコメディーが展開する。
4月2日に放送された第1話では、霧尾くん役を演じるのがKEY TO LITの井上瑞稀であることが明らかに。SNSではすでに大きな話題を呼んでおり、本作への期待がより高まっている様子だ。そんな井上に、演じる霧尾の役どころについてや現場の雰囲気、共演者とのエピソードなどを聞いた。自身の“推し”の話題やファンへの思いも。
――まず、原作を読んだ際の印象を教えてください。
「最初はコメディー漫画という印象で入ったのですが、読み進めるにつれ、人と人とのつながりや過去が深く描かれていって。青春群像劇でもあり、それぞれの感情が複雑に、繊細に絡み合っていくんです。読み終わった後に『うわ、やられた。悔しい!』と思うような、いい意味ですごく裏切られた作品でした。でも、1話から最後まで、実はずっとつながっているんですよね。最後まで読むことで、よりこの作品の面白さを味わえると思います」
――井上さんが演じる霧尾くんに感じる魅力は?
「霧尾くんはどこにでもいる高校生でありながら、どことなくつかめなくて、過去に捉われながら生きている男の子です。この物語が霧尾くんを軸に進んでいくように、求心力といいますか、周囲の人をひきつける魅力があるなと思います」
――目元が見えず、ミステリアスな存在感の霧尾くんですが、演じる上でこだわった点は?
「目を出していない分、声がカギになってくるなと思ったので、そこは一つ大事にしました。あと目を出していないという点で言うと、見ている方が『霧尾くん、どういう表情をしているのだろう』と想像を膨らませられる“余白”みたいなところもこの作品の面白さだと思っていて。演じる上で、全てを分からせ過ぎないようにしています」
――今回、井上さんが霧尾くんを演じることは1話の放送をもって解禁という形でした。ただ、予告の時点で耳の形や髪形から「瑞稀くんでは?」と言う声が上がっていましたね。
「これは決して責めているわけではないのですが、茅島さんが最近(ACEesの)作間(龍斗)と映画で共演していて。その映画のイベントの時に、『今の現場でも“作間はそうなんだよ”というお話を聞いて…』という発言をしていて、『今の現場? 霧尾くんってもしかして?』と、ファンの皆さんがザワついていたんです。皆さんにヒントを与え過ぎたかなと(笑)。でも、その情報だけでよく分かるなと驚きますし、さすが僕のファンだなと思います」
――まさかの茅島さんの発言から考察が広まってしまったのですね(笑)。
「そうなんです。以前、茅島さんや(満田充役の若林)時英くんと『作間は変な人だよ。スティックシュガーを直接飲んだりするし』みたいなことを話していて。ただ、その時点でもう茅島さんは作間と共演していたので、その情報は手遅れでした(笑)」
――同世代の方が多い現場だったかと思いますが、雰囲気はいかがでしたか?
「本当に高校生に戻ったような感覚でした。ご飯の時間は皆さんと円になってお弁当を食べたり、実際に学校を使用しての撮影だったので、空き時間に卓球をしたり。撮影していない時間も常に会話が絶えない空間でした。キャストだけではなく、スタッフさんも含めて皆さんコミュニケーションを取り続けていて、こんなに素晴らしい現場があるのだなと感動しましたね」
――その雰囲気が作品にも生きている?
「生きていると思います。加えて職人の皆さんのこだわりが詰まった作品で、撮り方などもワンシーンごとにいろいろ考えてくださって。僕自身、お芝居のことで監督にご相談させていただくこともあったのですが、絶対に否定されることがなくて、それもうれしかったです」
――例えば、井上さんはどんなことを監督に相談されたのでしょうか。
「クライマックスのシーンで、なかなか台本の通りに感情がいきつかなくて…。監督にそのことをご相談したら『瑞稀くんの思うままで大丈夫』と背中を押していただき、監督のおかげでなんとか演じ切ることができました」
――本作は原作モノですが、演じるにあたってプレッシャーはありましたか?
「それはありました。ただ原作という一つの正解がある中で、生きた人間がそれをどう演じるかというのはすごく面白い作業でもあって。原作をモノマネするのでは実写化の意味がないと思っているので、生きた人間がやる意味を模索しながら、そして原作ありきで大切にしながら、その時に生まれる感情を大事に演じていました」
――霧尾くんは藍美と波から推されている役柄ですが、モテるという意味では井上さんご自身とも通じる部分があるのでは?
「いや、僕モテないんですよ。本当にモテなくて。人見知りなのもあって、基本は全く話さないので、話しかけられることもないですし。学生時代にいたっては“話しかけるなオーラ”を出していましたから(笑)。授業中も寝てしまっていたり、人を寄せ付けるタイプではなかったので、全然モテなかったです。ただ、小学校低学年くらいまではめちゃくちゃモテましたね。バレンタインデーにはチョコをたくさんもらって、告白もしていただいて。ただ、もらいっぱなしでお返しはできていません…(笑)」
――井上さんはファンの方にどう推してもらえたらうれしいですか?
「好きなように推してもらえたらと思います。こちらから“こうして”と提示するものではないですし、それぞれのやり方で応援していただけたらと。それが恋なのか、はたまた愛なのか、いろいろな“好き”があると思いますし、自由に楽しんでいただきたいですね。僕はどんな形でもうれしいです。その中で誰かを傷つけるようなことをしなければ、ですが」
――井上さんのファンの方はどのような方が多いのでしょうか。
「僕のファン、結構みんなクセが強いんですよ(笑)。それこそ、最近ブログで『みんなはもし花粉をなくせるなら、どこまで犠牲にできる?』と書いたら、SNSで『瑞稀くんの花粉症が良くなるなら、私は命を捧げます』みたいなことを書いている子がいて、『それは止めてくれ!』と(笑)。もちろん本気ではないと思うのですが、それくらいの熱量で推していただけるのはありがたいです」
――現場において、茅島さんは「妹」、莉子さんは「母親」のようなポジションだったとお聞きしたのですが、井上さんの立ち位置は?
「井上は井上です(笑)。僕は『みんな頑張ろうぜ!』みたいなことを上手にできないタイプで、話しかけてもらったら返すくらいしかできず…申し訳なかったです。ただ、徐々に皆さんとの撮影が増えていき、一緒に作品作りをしていく中で、少しずつ仲良くなることができて。特に、茅島さんと莉子さんには気を使わせてしまったのですが、たくさん話しかけていただいて感謝しています」

――主人公・藍美役の茅島さん、波役の莉子さんの印象を教えてください。
「茅島さんは、この業界においてあんなに純粋で真っすぐいられる方がいるのだなと驚きました。純粋でいることが何より難しい業界だと思うのですが、あれだけピュアでいられるのは本当にすてきだなと。くもりがなく、見ていて気持ちが良いんです。そして、莉子さんは常に周りを見ていて、自分より他人を優先してしまうような優しさを持っている方。それこそ最初に僕に話しかけてくださったのも莉子さんで、本来無理してやることではないところまでご自身がやられるんですよね。見ていて、時に心配になるといいますか、ご自身の幸せを楽しんでほしいな、と思ってしまうぐらいでした。お二方とも本当に素晴らしい方で、また一緒にお仕事ができたらうれしいです」
――劇中では、霧尾くんの友人の桃瀬隼斗役・小宮璃央さんとの共演シーンも多いかと思います。小宮さんとは公私ともに交流があるんだとか。
「はい。璃央くんはすごく愛らしく、本当に人懐っこくて、気付くと大型犬のように後ろに引っ付いて来るんです(笑)。僕はあまり自分から誘えるタイプではないのですが、璃央くんはいつもいろいろ誘ってくれて…。すでにプライベートでも何度か遊んでいます」
――先程も横尾初喜監督と楽しそうにお話しされていましたが、監督の存在も大きかったそうで。
「大きかったですね。監督って、現場において一番重要で大変なポジションだと思うのですが、僕と同じ目線になっていろいろ考えてくださって…。常にすごく広い視野で物事を見ている方なのだろうなと思います。しかも、途中からは監督業だけではなく、キャストの皆さんの人生相談にも乗っていて(笑)。それくらい密な関係で、キャストとスタッフの皆さんの間に線がなく、常にワンチームで撮影させてもらっていました」
――井上さんが監督と過ごした日々の中で印象に残っているエピソードは?
「監督には、最初にお会いした日から『霧尾くんのクライマックスに向けて、俺たちは撮っていくだけだから』という感じで、プレッシャーをかけていただきました(笑)。それからことあるごとに『そこをめがけていくから!』と伝えてくださって…。でも、クライマックスはそれくらい本当に重要なシーンになっていますし、いい緊張感をもちながら撮影に臨むことができました」
――原作者である地球のお魚ぽんちゃん先生も現場にいらしたのですよね。
「はい。すてきなお話をお聞きできたのはもちろん、8割はいい意味でふざけたお話をされていたぐらい面白くて愉快な方で…尖っていました(笑)。でも、そういうお話ができるぐらいの関係性を先生と築けましたし、うれしい言葉もたくさんかけていただいて。しかも、原作の霧尾くんと僕が演じた霧尾くんを描いた、サイン入りの色紙までいただいたんです。先生も実写化を肯定してくださっているのを感じられて、すごく心強かったです」
――本作の現場において、井上さんが楽しみにしていたことは?
「皆さんとのおしゃべりです。…この僕が(笑)。この僕が『しゃべるのが楽しい』と思うことに自分でも驚いているのですが、それくらい楽しかったです。いつも監督が見ているモニターのところにプロデューサーさんやスタッフの方が集まってらっしゃって、『今日は何をしゃべりに行こうかな』と考えたり。それで皆さんが笑ってくれるとうれしくて、そういう意味でもワクワクする現場でした」
――井上さんご自身の高校生活の思い出は? どんな学生生活を送っていたのでしょうか。
「高校時代はもっとひねくれていたのですが(笑)、学校生活は割と楽しんでいて、やれることはやり切った感じがあります。一番楽しかったのは修学旅行。北海道に行ったのですが、当時変な尖り方をしていて、そういう反抗心みたいなところも含めて思い出深いですね。みんなが歩いてホテルに戻って行く中、僕らのグループはタクシーで戻ってみたり…(笑)。そういうおふざけばかりしていました(笑)。ただ、文化祭はお仕事で一度も出られなかったので出てみたかったです」

――本作の主人公である藍美と波のコンビに感じる魅力は?
「まずは会話の面白さですよね。2人の役割分担が、言い表すならツッコミとボケのような感じでしっかりしていて、がっちりとはまっていて…。テンポ感も良く、見ていて心地いいんです。僕自身、現場で見ていて思わず笑っちゃう瞬間がたくさんありましたし、実写化したことで2人の掛け合いがより面白くなっているように感じます」
――ドラマ序盤、井上さんお気に入りのシーンを挙げていただくと?
「シーンといいますか、霧尾くんが登場する時に流れる音楽が本当に面白くて(笑)。演じている時は無音で演じていたので、1話の完パケを見させてもらった時に『なんだこれは!』と(笑)。音が付くとこんなに変わるんだと驚きましたし、声を出して笑いました。それに、霧尾くんが登場するシーン、照明も後光が差しているんですよ(笑)。“霧尾くんが降臨した!”という感じでめちゃめちゃ面白いので、ぜひ何度も見ていただきたいです」
――作品名にかけて、井上さんが“ファンクラブ”に入りたいくらい推している存在は?
「椎名林檎さんです。もうずっと楽曲を聞かせていただいていて。(藍美と波のように)黒板に好きなところを書き出せるくらい好きですね(笑)。基本は飽き性で、広く浅く、いろいろ試したくなってしまうタイプなのですが、椎名さんはずっと好きで。“椎名林檎”という唯一無二のジャンルを確立されている、それがカッコ良くて、リスペクトしています。いつか楽曲提供していただけるように頑張りたいです」
――本作のキャッチコピーに“腹筋崩壊”“涙腺崩壊”とありますが、最近井上さんに起きた“腹筋崩壊”“涙腺崩壊”なエピソードを教えてください。
“腹筋崩壊”
「KEY TO LITでのお仕事が増えてきてきたのですが、(佐々木)大光は非常に愉快な人だなと思います(笑)。毎回現場でひと盛り上げ取って、満足そうに帰っていくという点。わんぱくで面白くて、いつも大光に笑わせてもらっています」
“涙腺崩壊”
「先日、映画『35年目のラブレター』を見てきました。僕、WEST.の重岡(大毅)くんが大好きなのですが、重岡くんの良さが全部詰まっている映画で、本当に感動して…。めちゃめちゃ泣きました」
――新年度を迎え、新たな道へと進む視聴者の方も多いと思います。今後の井上さんの目標は?
「KEY TO LITとしては、6月以降にコンサートが控えているので、そこがまず僕たちの第1歩になるのかなと。一体どういうグループなのか、目に見えて分かるステージにしたいなと思っています。そして、個人としては歌やダンスはもちろん、お芝居も頑張っていきたいです。舞台も控えていますし、何事も全力で挑んでいけたらと思います」
【プロフィール】
井上瑞稀(いのうえ みずき)
2000年10月31日生まれ。神奈川県出身。AB型。KEY TO LITのメンバー。主演舞台「W3 ワンダースリー」が6月7日より上演。
【番組情報】
水曜プラチナイト「霧尾ファンクラブ」
中京テレビ・日本テレビ系
水曜 深夜0:24~0:54
【第2話あらすじ】
三好藍美(茅島みずき)と染谷波(莉子)は“陰キャ”で女子たちから避けられており、女子の髪の毛を煮詰めてスープにしているという怪しいうわさまで流れるクラスメート・満田充(若林時英)に興味を持つ。藍美は波と共に、満田が“城”にする化学室へ突撃! 推しの霧尾賢(井上瑞稀)に近づくため「体臭再現マシーンって作れますかー?」とリクエストする。2人の“暴走”に巻き込まれあきれる満田は「霧尾くんと両思いになれるおまじない」を教えることになるが、教えるのは1人という条件を付けてきて…。さらに2人は、霧尾くんへのラブソングを作ろうと思いつく。いちずな愛が詰まったハチャメチャな歌詞から、思わぬ名曲が!? その頃、霧尾くんはある女性から声をかけられ…。
取材・文/片岡聡恵
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