最終回直前！　TVアニメ『魔法使いの約束』田丸篤志＆仲村水希＆花守ゆみりSP座談【後編】2025/03/22

　昨年11月に5周年を迎えたアプリゲーム『魔法使いの約束』（通称『まほやく』）。21人の魔法使いと心をつなぐ育成ゲームで、現在までに700万以上ダウンロードされている。今年1月より放送中のTVアニメは、ゲームのメインストーリー第1部を軸に展開。魔法使いと人間が共存する世界を舞台に、異世界から召喚された真木晶が、21人の『賢者の魔法使い』とともに世界を救う姿が描かれる。アニメのクライマックスを前に、魔法使いのアーサー役・田丸篤志、同じく魔法使いのムル役・仲村水希、賢者・真木晶役の花守ゆみりによるスペシャル座談を前後編でお届け。後編では、アニメ化で気付いた魅力や、繰り返し見たいシーンなどを聞いた。

――アニメ化によって新たに気付いた魅力や、動いている姿が印象的だったキャラクターをお聞かせください。

仲村　「僕はムルがこんなに動くんだ！　ということに感動しました。イメージよりはるかにダイナミックで躍動的で、新しい発見でした」

花守　「本当の意味で地に足がついていなくて、ずっと浮いてます（笑）」

仲村　「不思議に思われるかもしれませんが、メインストーリーの第1部を演技し直してみて、ムルはミスラと似ていると思った瞬間がいっぱいあったんです。ミスラは自分と同じくらい力が拮抗（きっこう）したものと戦っている時、すごく楽しそうで少年のように笑っている。でもそれは言い換えると、力が強いがゆえに対等でいられる人が少ない＝彼は孤独だと思うんです。だから強い存在と対峙（たいじ）している時はイキイキと瞳が輝いていて。ムルにも同じことが言えて、彼もいろんなことを研究し尽くして、英知の塊のようになってしまった。自分の考えている領域には誰も到達できないから、つまらないと思うんですよ。そこへ晶が現れて、逐一新鮮なリアクションをくれるのが興味深いのだと思います。そういう再発見があって面白かったですね」

花守　「調べ尽くしてしまったからこそ、未知のものが限られている…怖いですね」

仲村　「そうそう、だから感動も薄い。今の魂が砕けたムルが大きく感動できるのは、その部分が欠落しているから。“知識がある”魂のかけらのムルは、全て分かった上で相手の反応を楽しんでいるから、起伏が少ない。それを演じ分けるアプローチとして、かけらのムルは通常よりも音の高低の幅を狭めています」

花守　「そうなんですね…！　私はアニメの晶を演じていて思ったのが、魔法使いの皆さんは背が高かったり、ほうきに乗っていたりするので、見上げることが多いなと。だからお話しする時は距離があるのかなと思って、上を向いて話している感じを意識しています。きちんと声を届けなければならないけれど、最初は彼らのことも、この世界のことも分からないので、声が届きにくい感じも意識していたかもしれません。第4話のアーサーが膝をついてお話ししてくれたシーンから、晶の声がちゃんと届くようになったのかなと感じています。あそこから晶自身も自分の意見を伝える試みをするようになった気がしています」

田丸　「アニメ化されたことで、グランヴェル城の造りや魔法使いたちの表情変化、魔法のエフェクトなど、視覚情報が増えたことは大きな出来事だと思います。そういった視覚情報は必ず記憶のどこかに残っていて、今後ゲームをプレーする時に反映されてくると思うんですね。僕は『魔法使いの約束』は物語を体験するゲームでありながら、芸術的な要素もあると思っています。アニメになってもそれはすごく感じて、イラストや音楽はもちろんですが、カインの目が見えない描写（※カインは大いなる厄災の傷の影響で、相手に触れるまで視認できない）やシャイロックの炎の演出など、新しい体験があって、改めて僕にとって芸術的な作品であることを再確認しました」

――4月にはBlu-rayも発売されます。皆さんが繰り返し見たいシーンを教えてください。

仲村　「本を読む感覚と同じだと思いますが、まず最初から最後まで見ていただき、バックボーンが分かった上でもう一度繰り返してほしいですね。すると違う側面が見えて、その魔法使いが抱える問題や葛藤、晶の心情や置かれた状況が楽しめる。2周3周と繰り返すことで、世界が深掘りできていくんじゃないかなと思います」

花守　「見る人が今向き合っている課題とか、疲れちゃった心に寄り添ってくれる言葉がちらばっている作品だと思っているので、ぜひ本作で心のデトックスをしてほしいですね」

仲村　「時間を置いて見直すと、また違う視点で自分の琴線に触れる部分が発見できますよね」

花守　「そうなんです。改めて見て今の自分に刺さるのが、第7話のヒースクリフとけんかしたから帰るというシノを晶が引き留めるバルコニーのシーン。相手と釣り合いたい、自分の大切な人と対等でありたい…そのために何が必要かということは、私たちの日常生活にもある気がしていて。対等であるために『大きい城が欲しい』というシノに対し、晶は『絶対建てましょう』と言ったあとで、シノにかけた『大きなお城を持っていなくたって、シノはヒースの自慢の友達だと思いますよ』という言葉が今の私に刺さりました」

仲村　「そうなんだよね。そんな無理しなくて、頑張んなくていいんだよってね」

花守　「はい。これは自分が今欲しい言葉だと思って、画面の前でウルっときていました」

田丸　「5年やってきて改めてですが、第5話の自己紹介のシーンが“そうだよね”って感じで面白い。各魔法使いのセリフはそこまで多くないのですが、めちゃくちゃキャラと国の方向性が出ているなあと」

花守　「『ネロです、以上です』（笑）。で、ファウストが『馬鹿なの？』って」

田丸　「（笑）。名前だけ名乗る人や、そこからいろいろしゃべる人…一人一人は短いのですが、そこを見てもらっただけでもキャラクターが分かる絶妙なシーンだと思って、面白いですよね」

仲村　「ああいう時って素が出るからね」

田丸　「細かいところだと、魔法使いや賢者様以外のキャラクターも面白いなと思っていて。ネズミのドラモンドとか」

花守　「かわいいですよね！」

田丸　「ドラモンドは途中から素直になったりして、意外とかわいい。そういう周りのキャラクターにも注目してもらえると、より楽しめるかなと思いますね」

――ありがとうございます。最後にクライマックスに向けての見どころをお願いします。

仲村　「アニメから入った賢者様は、興味が湧いたらアプリゲームもプレーしていただきたいです。より魔法使いたちが抱えているものや関係性が見えてきますし、晶が感じていたことも文章で表現されていて、新しい発見や感動が見つかると思います！」

花守　「アニメももうすぐ最終話ですが、『魔法使いの約束』は大人になってしまった私たちへ、絵本のように心の動かし方を教えてくれる物語であり、その時、生きる皆さんの心に寄り添ってくれる物語だと、改めて感じております。アニメは佳境に入ってなかなか大変な状況ですが、魔法使いと賢者のことを信じて、最後まで見守っていただけたらうれしいです」

田丸　「以前、各魔法使いの言葉が電車の広告に掲出されたことがありました。言葉だけで広告を作れるって、なかなかないなと。花守さんも絵本とおっしゃっていましたが、『魔法使いの約束』は言葉が大事に使われているなと思います。何よりすごいのが、それが難しい言葉ではなく、誰もが知っている言葉だということ。僕らの心に届くような言葉がたくさんちりばめられているので、それを受け取った皆さんの考え方が少しでも変わったり、ちょっと元気になったりしたら、うれしいですね。アニメは最終回に向けて、アーサー含め、みんな頑張っています。魔法使いと人間は第1話ではバラバラだったと思いますが、その変化も含めて、最後までお楽しみください」