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「地震のあとで」岡田将生、橋本愛、唐田えりかが会見に登場! 原作者・村上春樹への思いとは?2025/03/24

「地震のあとで」岡田将生、橋本愛、唐田えりかが会見に登場! 原作者・村上春樹への思いとは?

 NHK総合で4月1日から放送する土曜ドラマ「地震のあとで」の試写会見が行われ、第1話で主演を務める岡田将生、共演者の橋本愛、唐田えりからが登壇した。

 本作は、1995年に発生した阪神淡路大震災の後、村上春樹さんが著した四つの短編を、震災から30年を迎える2025年の節目に連続ドラマ化する。岡田、鳴海唯渡辺大知佐藤浩市を各4話の主人公に迎えるほか、豪華俳優陣が集結。映画「ドライブ・マイ・カー」(21年)の大江崇允さんが脚本、山本晃久さんがプロデュース、ドラマ「その街のこども」(10年)や連続テレビ小説「あまちゃん」(13年)で震災を描いてきた井上剛さんが演出する。描かれるのは、震災の影響を現地ではなく遠い場所で受けた人間たちの、喪失を伴う奇妙で美しき世界だ。

 第1話の舞台は、95年の東京。阪神淡路大震災のニュース映像を見続けていた未名(橋本)は、突然家を出ていく。夫の小村(岡田)は、妻の行方も分からないまま、後輩に依頼された「届け物」をするため北海道・釧路へ。その後、小村はそこで出会った女性たちに奇妙な旅へと導かれていく…。

――まず、この作品に参加された感想を教えてください。

岡田 「僕自身、台本を読んでも答えが見つからないまま時間が過ぎていく日々で、監督と共に試行錯誤しながら作りました。同じく、村上さんが原作の映画『ドライブ・マイ・カー』の時もやはり答えが出なかったのですが、自分自身も、役も、この行き着く先には何があるのか…前を見据えて立ち続けなければいけない作業でしたので、なかなか心身ともに来るものがありました。皆さんに支えてもらいながら撮影に臨んでいた日々が懐かしいです。1話では、小村の内部にある痛みがどこで出てくるのかが見どころの一つですが、視聴者がどう本作を見てくださるのか、感想を楽しみにしています」

「地震のあとで」岡田将生、橋本愛、唐田えりかが会見に登場! 原作者・村上春樹への思いとは?

橋本  「出来上がった作品を見て、原作で思い描いていた世界がそのまま映像になったような感動を覚えました。地震は私たちにとって現実味を帯びたことですが、幽玄な世界観との距離がすごく面白くて、2話以降も楽しみです。未名はセリフがほとんどないので、たたずまいの中にいろいろな言葉や思いが詰まるように頑張ってきたつもりです。村上さんの文章で、『足元に眠る暴力について、自分の中に潜む暴力が、どこかで目覚めてしまう、お互いがお互いのある種のメタファーである』という言葉をすごく覚えていて。そういうつもりで演じました」

唐田 「この作品のことを全部理解できたとはっきり言うことはできなくて。でも、岡田さんと対峙(たいじ)しながら芝居をしていく中で、自分が台本上では考えていなかった感覚になり、自分にとって大きな経験になりました。難しさ、分からない不安定なものの中で演じるからこその面白さを感じることができました」

――原作を読んだ時は、どんなことを感じましたか?

岡田 「僕もまだ全てを理解できてはいないという状況でして。去年の夏前に撮影をしていたのですが、いまだに自分の頭の中でぐるぐる回っている感じがします。自分の答えが出ないまま、皆さまにお見せするのがいいのかという迷いもありましたし、『ドライブ・マイ・カー』の時もだったのですが、村上さんの作品には答えがないんですよ。人生とは何か、人とは何かということをずっと自分に問いかけてくれる作品になっていますし、そういうふうに見ていただけたらうれしいです」

橋本  「被災した人々の話ではなくて、地震と距離のある人たちの物語を描いているところがすごく興味深いなと思いました。私も被災した経験はないので、登場人物たちと同じような距離感なんです。自分の人生と重ね合わせながら読みましたし、そういうはざまにいる人の方がこの国には多いのではないかなと。その距離感の中で自分の意識と体がどう揺れ動いていくのか…ということも感じながら演じました」

「地震のあとで」岡田将生、橋本愛、唐田えりかが会見に登場! 原作者・村上春樹への思いとは?

――岡田さん&橋本さん、岡田さん&唐田さん、それぞれに共演した印象を教えてください。

岡田 「橋本さんとは、映画『告白』(10年)の時に初めてお芝居をさせてもらったのですが、また大人になって共演できてうれしかったですし、僕自身の変化を見せたいなという思いもありました。特に今回、未名はセリフがないとても難しい役だったんですよ。でも、橋本さんの芝居を見ていると、彼女が見ているその先には何があるのかというのを感じることができて。演じながら、小村の内部に何が起きるかをすごく楽しみにしていたので、未名を見事に演じられている姿を見て、共演できてよかったなと。唐田さんは、何度かプライベートでお会いしていたので楽しかったですね。撮影を待っている間など、このシーンの意図はなんなんだっていうのをよく2人でお話していたのですが、言葉にするのはやっぱものすごく難しい本なんです。だからこそやりがいはあるのですが、その瞬間その時間でなければ成立していない瞬間があったので、それを2人で共有しながらお芝居できたのがうれしかったです」

「地震のあとで」岡田将生、橋本愛、唐田えりかが会見に登場! 原作者・村上春樹への思いとは?

橋本 「『告白』が商業映画のデビュー作だったので、私も大人になって再会できて、本当にうれしかったです。一つの答えを明示するような作品ではないので大変でしたが、この物語の言語化しない世界観が、岡田さんの声に載っていたような気がして、すてきだなと思っていました」

唐田 「こんなこと言うのはおこがましいのですが、悔しいと思って。芝居で私がぶつけたものに対して、岡田さんが超えてきて、私も超えたくて…。役として、いろいろな感情を味合わせてもらいましたし、役者としての思いも持ち上げてくださいました」

「地震のあとで」岡田将生、橋本愛、唐田えりかが会見に登場! 原作者・村上春樹への思いとは?

――俳優として、村上さん原作の作品に出演する意味をどう考えていますか?

岡田 「本を読んだ後の自分が、読む前と明らかに違うと言いますか。大体の本だと読んでいる時に道筋が見えるのですが、村上さんの本は全く見えないんですよね。他の作品より、台本と向き合う時間が特に長いということもありまして、特別なものですね」

橋本 「私、村上さんと誕生日が一緒なんです。なので、いつかやらせていただきたいなと思っていて。こういう幽玄な世界観を感じられるような作品は多くはないので、そういった意味でも、いつもとは違う挑戦になるので、自分の可能性も発見できますし、こういったテーマと意義のある作品に携わることができてすごくうれしいです」

唐田  「私は『ノルウェイの森』が小説の中でも一番好きなので、出演を聞いた時は本当にうれしくて。橋本さんもおっしゃっていたように、意義のある作品に関わることができた喜びでいっぱいでした」

【番組情報】
土曜ドラマ「地震のあとで」

NHK総合
4月1日スタート
土曜 午後10:00~10:45

取材・文/Kizuka(NHK担当)



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