琉球が100回目の天皇杯で初優勝! 代々木第一体育館に琉球の風が吹く2025/03/19

3月15日、東京・国立代々木競技場第一体育館で「第100回天皇杯 全日本バスケットボール選手権大会」の決勝が開催された。記念すべき100回目は「アルバルク東京×琉球ゴールデンキングス」という顔合わせに。両者は、2016年のBリーグ開幕戦を同じ会場で戦っており、因縁のカードが実現した。会場はチームカラーであるA東京の「赤」と琉球の「白」で真っ二つ。1万9人のファンで埋め尽くされた会場は「レッツゴー!東京」と「ゴー! ゴー! キングス」の声が終始、響き渡っていた。


Bリーグのレギュラーシーズンでは、A東京が中地区2位、琉球が西地区首位を走っており、ともにリーグを代表する強豪同士の対戦は、序盤から激しいフィジカルバトルが繰り広げられた。特にインサイドでは、A東京のセバスチャン・サイズ選手、ライアン・ロシター選手と琉球のジャック・クーリー選手、アレックス・カーク選手が激突。ビッグマンたちがリバウンドやポジション争いで、頂上決戦にふさわしい激しいバトルを見せた。


勝敗を分けるビッグプレーが出たのは、第4クォーターの残り1分25秒。琉球のカーク選手がエンドラインから出そうになったルーズボールをダイブして拾い、コーナーにいた小野寺祥太選手にパス。小野寺選手が迷いなく放った3ポイントシュートは見事に成功。これで49-56。点差を7点に広げ、琉球が大きく勝利を手繰り寄せた。このシーンについて小野寺選手は「無我夢中でした。でも、僕の考えですが、バスケットの流れの中で、誰かがハッスルしたときは得点につながると思っていて。あの場面もアレックス(・カーク)選手がコートに(ボールを)残してくれたので、思い切って打ち切れた。それが、いい結果に表れたと思います」と、振り返った。
試合は、各クォーターの最大得点が16というロースコアの展開。最終スコアは49-60。死闘とも呼べる守り合いの展開を制したのは、琉球ゴールデンキングス。3年連続の決勝進出で、悲願の天皇杯初優勝を果たした。



敗れたA東京のデイニアス・アドマイティスヘッドコーチ(HC)は、「フィジカル面で琉球さんに対抗できなかった。ディフェンスや戦術面ではいいプレーができていたが、オフェンスリバウンドを22本取られたこと、そこからの失点が21点もあったのが大きかった」と敗因を語り、この日4本の3ポイントシュートを決めた安藤周人選手は「出だしの5分間ぐらい、(各選手が)自分の好きなタイミングでシュートを打っていた。せっかくいいディフェンスをしたのに、良いオフェンスで終われなかった」と、ゲーム序盤での戦い方を悔やんだ。




試合の前日会見で「琉球の風を吹かせたい」と語り、初優勝という歴史を刻んだ琉球の桶谷大ヘッドコーチは「去年の惨敗から一年、これであの悪夢から立ち直れるので、ホッとしている」「ゲームに入る前から琉球のファンのみなさんの声が、僕たちに力を与えてくれていました。ファンが作ってくれた風だと思います」と、安堵と共に喜びを表した。
天皇杯決勝の1週間前に琉球は、東アジアスーパーリーグ(EASL)で苦杯をなめ、直前のリーグ戦では島根スサノオマジックに延長戦の末、敗退。そんな苦しいチーム状況の中でも琉球の選手たちは奮闘した。「本当に満身創痍の中で戦っていて、チームが崩壊してもおかしくなかった。その中でも選手たちは我慢強く、我慢強く戦ってくれた。チーム一丸となって、チームとしてやるべきことを選手が遂行してくれた」「今日のような試合はベンチメンバーの活躍がキーになると思っていた。出場した選手が自分の仕事を全うしてくれたことで、今日の勝利につながった」と、指揮官は選手たちへねぎらいの言葉を送った。
天皇杯は2025年度から新たなレギュレーションで開催される。過密日程による選手の負担軽減などを目的に、ファイナルラウンドの集中開催や出場枠の再編、外国籍選手の登録人数などが変更される。大正10年から続く伝統の天皇杯は、これからも新たな歴史を紡いでいく。
●大会MVP
ジャック・クーリー(琉球)
●大会ベスト5
脇真大(琉球)
ジャック・クーリー(琉球)
アレックス・カーク(琉球)
テーブス海(A東京)
安藤周人(A東京)








試合後の選手コメント



岸本隆一選手
「自分はキングスで長くプレーしていて、(bjリーグ時代は)天皇杯に挑戦する権利すらないというところから始まって、今日こういう日を迎えられたというのは、本当にここまで関わってくれた方々の努力なしにはあり得ないことだと思います。もっとさかのぼっていくと、沖縄のチームが日本一を目指すとなった時に、それこそプロができる前から、天皇杯というのは一つ、沖縄の人にとっても思い入れのある大会だと思うので、昔から強い思いをもって積み重ねてきた人たちがいたからこそ、今日を迎えられたと思うので、いろんな人が報われた、そんな大会になったと思います」


小野寺祥太選手
「3年連続で出場させていただいて、今日ようやく勝てたというのは本当にうれしいです。HCも言っていましたが、ここ数試合勝てずにいたので、チームの雰囲気も良くなかった。その中で、今日このようなタフなゲームで勝てたというのは、すごくよかったと思います。僕らは優勝しましたけど、ここがゴールではないので、またレギュラーシーズン、チーム一丸となって戦っていきたいと思います」

脇真大選手
「桶谷HCからもずっと『アグレッシブにやれ』『いつもやっているプレーをしっかりやってくれれば大丈夫』だと言ってもらっていて。ディフェンスからトランジションのオフェンスだったり、しっかりこの天皇杯に向けて僕も気持ちをしっかり作ってきたので、それがこの勝利につながってよかったです。(大会ベスト5に選ばれて)『僕!?』って思いましたけど(笑)。でもこうやって賞をもらえたことはうれしく思っています」
「(今後のシーズンに向けて)まずは、レギュラーシーズンで地区優勝して、ホーム開催(の権利)を取る。チャンピオンシップで僕たちは優勝できるチームだと思っています。それまでにチームケミストリーや気持ちをしっかりと鍛えないといけないということが、この天皇杯で分かりました。EASLでの負けを引きずっていたらチームが悪くなるということも分かりました。でも、どれだけ負けても一つ勝てば、自分たちの流れになると思うので、そこはまたチーム全員で一つになってやりたいと思います」

平良彰吾選手
「(B3の横浜エクセレンスから期限付き移籍で琉球に加入して)ありがたいチャンスをもらって、優勝できてうれしいです。(地元の琉球でのプレーについて)親戚も家族もいる中でバスケができて、沖縄の温かいファンの前でプレーできて楽しいですし、ありがたいなと日々感じています」
「(今日の試合は)チームのためにいいプレーができるように、いい流れを持ってこられるように、自分がやらないといけないなと思っていました。自分は自分の与えられたチャンスの中でやろうといつも思っているので、そういう中で今日もチャンスをもらえて、いい結果を残せたことはよかったと思います。それが、バスケット関係なく、誰かの力になってくれたら、もっとうれしいなと思います。まだまだシーズンは続きますし、これからも成長していきたい」
「(岸本選手について)本当に素晴らしい選手で、同じポジションとして見習うところはたくさんあります。そういった中で、自分もいい流れを作って、隆一さんにつないだりとか、シーズンは長いので、負担を減らせるようにできればと思います」











【放送・配信情報】
「りそなグループB.LEAGUE 2024-25」
●放送
NHK BS(全国)
第25節 群馬vs千葉J
3月19日 後7:05(試合開始)
第27節 川崎vs琉球
3月26日 後7:05(試合開始)
BS10
第26節 SR渋谷vs島根
3月22日 後2:00~
第26節 宇都宮vs三遠
3月22日 後4:30~
第26節 京都vs長崎
3月23日 後3:00~
第27節 滋賀vs京都
3月27日 後7:00~
第28節 A東京vs FE名古屋
3月29日 後3:00~
第28節 千葉J vs川崎
3月30日 後3:00~
第28節 長崎vs宇都宮
3月30日 後5:30~
●配信
バスケットLIVEでB1、B2、B3の全試合をライブ配信。
https://basketball.mb.softbank.jp
J SPORTS オンデマンドでB1公式戦を配信。
https://www.jsports.co.jp/basketball/bleague
U-NEXTでB1の全試合をライブ配信。
https://www.video.unext.jp/po2/bleague
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