「明日、輝く」井上祐貴が演じる新野への共感語る「人のせいにしたくなることも」2025/03/17 17:00

NHK総合で本日3月17日に放送する、第48回創作テレビドラマ大賞「明日、輝く」(午後10:45)。次世代の脚本家を発掘する「創作テレビドラマ大賞」1063作から選ばれた、竹上雄介さんの受賞作を映像化したものだ。若者が悩みを深めるとも言われる3月の夜。彼らの内面に優しく刺さり、エールとなるような、大人たちにとっては「若者とどう向き合えばいいのか」ヒントとなるような作品をおくる。
主人公は、3年前に駅伝レース中のけがで引退し、今はコンビニで働く新野亮介(井上祐貴)。ある日、万引した少女を捕まえるが、その少女・矢沢心海(具志川莉央)は「家に泊めてほしい」と言い出し、強引に転がり込む。無邪気で、ダンスを踊るのが大好きな心海だが、復讐(ふくしゅう)したいほどの恨みがあると言う。そして、新野にも「誰かを恨んだことはないのか」と問いかける。否定する新野だが、その脳裏にある男の顔が浮かび…。
今回はそんな本作で主演を務めた井上さんにインタビュー。作品の思いや、今回ドラマ初出演となった具志川さんとの共演エピソードなどを聞いた。
――まず、台本を読んだ時の印象を教えてください。
「読み終わった時に、ちょっと背中を押してもらえたんです。自分と重ね合わせる部分もあったし、お話にリアリティーがあって、共感できる部分がすごくちりばめられている気がして。打ち込んでいたもの、本気で取り組んでいたものに、誰かのせいで取り組めなくなってしまったという状況は想像しただけですごくつらいですし、そういうものを抱えて生きてきた新野の3年間はとんでもなく真っ暗だったんだろうなと。そういうところからも新野を想像しやすくて。今回は、体作りなどの表面的なこと以外は役作りが必要ないぐらい、脚本を初めて読ませていただいた時から世界観がくっきりと見えました」

――制作発表時に、「“もしかして自分にも誰かや何かのせいにして、本当の気持ちに正直になれていない瞬間があるんじゃないか”と何度も考えました」とコメントされていたのが印象的でした。井上さんでもそう思う瞬間があるんですね。
「全然あります。みんな大なり小なりあると思うんです。本当に小さなことでも、そういうふうに思ってしまうことは人間誰しもあると思っていて。でも、それをずっと誰かのせいにし続けたままだと、いい方向に進むことはないんだろうなと、脚本を読んだ時にあらためて感じたというか。僕も自分に言い聞かせないといけないことの一つだなと思いまた」
――具体的なエピソードを教えていただくことは可能でしょうか…?
「僕は新野のように、学生時代に何かに本気で打ち込んで、挫折を味わうような境地に立たされたことはないのですが…ささいなことで言うと、例えば受験勉強をしていた時に、毎日自習室に通っていたんですよ。でも、『今日は隣のやつがめちゃくちゃ鼻息がうるさいから集中できなかった』など、人のせいにしたくなることもありました」
――自習室でのエピソード、すごく分かります(笑)。
「そういうのもやっぱり自分の弱さだと思うし、そういうささいなことで言うと、たくさん人のせいにしてきました」
――井上さんは、プロフィールを拝見すると趣味や特技が多く、いろいろなことに挑戦されている方なんだなと感じました。陸上という一つのものに熱中していた新野をどんな人物だと思っていますか?
「一つのことに熱中できるようになるまではすごく時間がかかると思いますし、そういう物事に出合えることがすごくうらやましいです。僕は大学の途中まで新野ほど何かに熱中したことがありませんでした。そんな中、初めて熱中できたというか、“できないことが悔しい”と思ったのが今のお仕事なんです。大学4年生からお仕事を始めたのですが、それまでは芝居なんてしたことがなかったので、最初は全然できなくて、それがすごく悔しくて。『できるようになりたい』『どうしたらできるようになるんだろう』と、どんどん熱中していった感覚があるんですよ。新野ほどの挫折はないのかもしれないですが、日々いろんな悔しいことも、できなかったこともありますが、芝居に対する熱量はだんだん増えていっていると思っていて。これほど熱中できる“芝居”に出合えた自分はすごくラッキーだなと思っています。新野も、ランナーとして活躍していた時は熱中できるものに出合えて、すごくキラキラしていたと思うんですよね。なので、何かに熱中している人を見ると、いいなって思います」
――脚本の話に戻りますが、竹上さんとお会いして印象に残っていることはありますか?
「何回か撮影現場の様子を見に来てくださっていたのですが、全然近くに来てくれないんですよ。遠慮なさっていたらしく、『この間も遠くから見ていました』と言われたことが2~3回あって、その印象が強いです(笑)」
――役について話したり、井上さんのお芝居について、何かコメントをもらったなどあれば教えてください!
「本読みの時に初めて芝居を見ていただいて、喜んでくださって。僕も、竹上さんが作ってくださった新野に恥じないようにと、より気合が入りました。現場でも、作品が生まれた経緯や、タイトルに込めた思いなどを聞かせていただきました」

――ちなみに、井上さんは普段どんなふうにセリフを覚えているんですか?
「作品によりますね。今回は、スッと入ってくるセリフだったので、2~3回で流れをつかむことができて。さらに、心海のセリフを聞いてリアクションする受けの芝居が多かったので、現場で具志川さんのお芝居を感じて自然と返せすことができ、“セリフを覚える時間”をあまり作らずに挑めた作品でした。でも、連続テレビ小説『虎に翼』(NHK総合ほか/24年)の時は法律用語が多かったので本当に大変でした。覚える上でのアプローチの仕方が違い過ぎて…。ただ覚えるだけだとセリフが飛んでいってしまうので、『なぜこのセリフを言うのか』と背景などを全部調べていました。なので、その時によって覚え方は結構変わるかもしれないです。どうしても覚えられない時は散歩しながら覚えますね。ずっとブツブツ言いながら公園をぐるぐる回って、体を動かしながら覚えるタイプかもしれないです」
――(二宮金次郎みたいに)台本を持ちながら外を歩いているわけではないですよね!?
「本を持ちながらではないです。なんとなくセリフが入っている時は歩きながら復唱して、ちゃんと入っていない時はスマートフォンで撮った台本の写真を見ながら歩いています。最終手段なのですが、『虎に翼』の時は特にそうやって覚えていました」
――具志川さんはドラマ初出演でしたが、セリフを覚えるのは大変そうでしたか?
「これが全然大変そうじゃないんですよ。すごく準備してきたんだろうなというのは感じました。心海という役は、初めて芝居をする方からするとめちゃくちゃ大変だし、難しいセリフが多かったと思います。そして、新野が心海に振り回されるシーンが多いように、心海は“発信する側”の役なので、間髪入れずにセリフを言わないといけなかったり、リズム感を求められる役で。でも、本当に堂々としていました。どうしても自分のデビューの時と比べてしまうのですが、僕はデビューが22歳で、彼女はまだ15歳ですよね。そういうのも考えると、やっぱり肝が据わっているなって思います」

――休憩時間などはどんな話をしていたのですか?
「具志川さんは受験生なので、『帰ったら勉強しなきゃいけなんです…』と言っていた時に『頑張ってね』と声を掛けたり、はやっているものを教えてもらったり…今どきの中学生のことをいろいろ聞いていました。『給食とかあるの?』と聞いたら『ありますよ!!』とちょっと怒られましたが(笑)」
――具志川さんや、希咲うみさんなど、若い方々が多い現場だったと思います。座長として心がけていたことがあれば教えてください。
「『虎に翼』で伊藤沙莉さんのとんでもない座長を見てしまったので…。でも、僕がまねしようとしても絶対に無理なので、あまり考え過ぎずに、コミュニケーションを取って楽しく、やる時はやるということを大切にしていました。現場の雰囲気が作品に出ると僕は思っているので。皆さんそう思っていると思いますが、『作品に対する思いは自分が一番』という気持ちを忘れずに現場にいるということだけは意識していました」
――会見では、演出の板垣麻衣子さんが「井上さんのおかげで温かい現場だった」とおっしゃっていましたよね。
「その言葉が、めちゃくちゃうれしくて。誰もが『現場に行きたくないな』って思いたくないじゃないですか。でも、全然僕のおかげではなくて、皆さんの雰囲気が本当に良かったんです。やるときはやるし、くだける時はくだけるみんなの関係がすごく良くて、すてきな現場でした」
――最後に、ドラマの見どころを教えてください。
「竹上さんもおっしゃっていましたが、うまくいかないことは人生でたくさんあると思うんです。そういう時こそ、普段の会話や景色など、目や耳に入るちょっとしたことで向きが変わったりすると思うんです。そんな気付きのきっかけがちりばめられた作品だと思うので、それぞれの登場人物たちの繊細な心の動きに注目して見ていただいて、僕たちが作品に込めたメッセージが届いたらうれしいです」
――ありがとうございました!
【プロフィール】
井上祐貴(いのうえ ゆうき)
1996年6月6日生まれ。広島県出身。2019年、ドラマ「ウルトラマンタイガ」(テレ東系)で主演を務め、以降夜ドラ「卒業タイムリミット」(NHK総合/22年)、大河ドラマ「どうする家康」(NHK総合ほか/23年)、連続テレビ小説「虎に翼」(NHK総合ほか/24年)、ドラマ「マルス-ゼロの革命-」(テレビ朝日系/24年)、映画「明け方の若者たち」(21年)、「僕らは人生で一回だけ魔法が使える」(25年)などの作品に出演。現在、ドラマ「地獄の果てまで連れていく」(TBS系/24年)に出演中。5月8日より、舞台「彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd Vol.2『マクベス』」に出演予定。
【番組情報】
第48回創作テレビドラマ大賞「明日、輝く」
NHK総合
3月17日 午後10:45~11:30
【プレゼント】

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【締め切り】2025年4月14日(月)正午
【注意事項】
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