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二宮和也が明かす子どもの頃の思い出――「おじいさんからすごくかわいがってもらっていました」2025/04/20 00:00

二宮和也が明かす子どもの頃の思い出――「おじいさんからすごくかわいがってもらっていました」

 5月16日より公開される映画「シナぷしゅ THE MOVIE ぷしゅほっぺダンシングPARTY」。テレ東系で放送されている乳幼児向け大人気番組「シナぷしゅ」(毎週月~金前7:30)の、待望の新作映画となる第2弾です。今回は、主人公のぷしゅぷしゅと相棒のにゅうが、新キャラクターであるぱるてぃと共に、ぷしゅぷしゅのほっぺを探すために南の島での冒険を繰り広げていくという物語。映画館デビューとなる赤ちゃんたちはもちろん、大人の方まで、見る人たちの肩の力が“ぷしゅ~”と抜け、温かい気持ちにさせてくれる作品となっています。

 今回は、新キャラクターの陽気なタクシードライバー・ぱるてぃの声優を務める嵐の二宮和也さんを直撃取材! 20年ぶりに声優として演じられたことへの思いやぱるてぃについて、また小さい頃はどんなお子さんだったかや、それに関連したおじいさまとの思い出など、たくさん明かしていただきました!

――本作のオファーがあった時、どのように感じられましたか?

「一番最初にこのお話を伺った時は驚きました。『なんだ、なんだ!?』って(笑)。でも、あまり言葉を話さずに物語が展開していく中で、見ていただく家族の皆さんに、どういった感動や喜び、わくわくを感じてもらえるのかというのが、自分にとって大きな挑戦のように思えまして、オファーを受けさせていただきました。また、見てくださる皆さんのためというと大げさですけど、映画というエンターテインメントの経験者として即戦力になれて、その一助になり得るのであればやってみたいとも感じました。あと、本作は特殊な作品だと思うので、そういう現場も見させてもらいたいという興味もすごく感じました」

二宮和也が明かす子どもの頃の思い出――「おじいさんからすごくかわいがってもらっていました」

――ぱるてぃを演じるにあたって、どんなことを意識されていたのでしょうか?

「子どもたちがメインで見てくれるので、スピード感についてはある程度気を付けていましたね。僕は早口になりがちなので、そこを少し抑えながらやらせていただきました。ぱるてぃが話す速度や声の高さ、話し方については、最初に制作スタッフの方々とお話しして多少調整させていただいてからは、流れのまま演じさせていただきました。やりながら、ぱるてぃの性格などからも見えてきた部分もあったりして。あとは、『こうやって言ったら分かるよね』という押し付けをしないようにというのもすごく気を付けて、キャラクターを作っていきました」

二宮和也が明かす子どもの頃の思い出――「おじいさんからすごくかわいがってもらっていました」

――二宮さんの劇場作品の声の出演は、「鉄コン筋クリート」以来約20年ぶりということですが、久々に演じられてみて、いかがでしたか?

「今回のようなお話って、僕にとってはあまりない機会だと思っていて。だから、『しっかりお応えできているのだろうか、どうなんだろう』と感じる部分が多かった中で、清水貴栄監督や制作スタッフの方に『大丈夫ですよ』と言っていただきながらやらせていただけたのが、すごくありがたかったですね。素直に演じさせていただいたアプローチが一番良かったと言っていただけたのが、僕自身もすごく気持ち良く、自信を持ちながら進めさせていただけました」

二宮和也が明かす子どもの頃の思い出――「おじいさんからすごくかわいがってもらっていました」

――ぱるてぃの声、とてもかわいくてすてきですよね! 普段はもう少し試行錯誤されたりされるのでしょうか?

「そうですね。僕は、台本に書かれていることに対しても一回疑って、『この演じ方で大丈夫ですか?』と現場で話させていただいたり、あまりないような表現を狙っていくタイプなんです。でも、本作ではそうやって多面的にするよりは、分かりやすいものをちゃんと分かってもらうために表現していくのが、子どもたちのピュアさに向き合うために1番いいんじゃないかなと思いまして。自分が実写でドラマや映画に出演させていただく時よりも素直な表現というか。物語の一つ一つの展開を、見ている人全員が共有できるような環境を作らせていただきました」

――二宮さんにとって、また新しい引き出しが一つ増えたような。

「そうですね。分かりやすい表現をこんなにも堂々とやらせていただくのは、僕の年代だと怖かったりもするんですけど、それをぱるてぃというキャラクターを通して表現できたのは、ありがたい機会でしたね」

――もし今後も声の出演に挑戦する機会があったとしたら、やってみたいものはありますか?

「いろんなものに興味が出ましたね。本作への出演は、自分のキャリアの中で未知の方だと感じたので、もしかしたら自分が見えていなかっただけで、もっといろんな作品に出演させていただけるんじゃないかと再認識したんです。今回の出演を通して、開いた扉がいくつかあるんじゃないかなと感じられたので、自分にとって未知なものも、興味を持てたら挑戦させてもらってもいいんじゃないかと思いましたね。日本語に限らず、他の言語で演じてみたり、ぱるてぃのように一つの言葉だけでいろんなものを表現していくことについても、僕自身考えさせられましたし、そういった場合の演出方法も学ばせていただきました。感情に対しての面白い見え方や表現の仕方もまだまだあるんじゃないかと感じたりもして。『ぱるぱる~』という言葉だけで演じて表現するということが、楽しかったですね」

――二宮さんご自身も楽しみながら演じられていたんですね。本作を見られての感想はいかがでしたか?

「僕が40分の作品を作るとしたら、スピード感を持って、いろんな情報や展開を詰め込もうと思うんですけど、本作はそれを見事に逆にいっていて。制作陣がさまざまな分析をした上で、『ほっぺ探そ~』とゆったりしたものをつくるという、その気概を感じました。0歳からの子どもたちに楽しんでもらうためには、これぐらいのスピード感なんだなと」

二宮和也が明かす子どもの頃の思い出――「おじいさんからすごくかわいがってもらっていました」

――この作品ならではですよね。

「親子で見ていただく作品となると、僕は今まで、10~30代の子どもと50~70代の親世代の方々が対象になってくるような作品に出演させていただくことが多かったんです。だから、僕よりも若いお父さんやお母さんと、0歳からの子供たちが対象の作品というと、年齢層は違うかもしれないけど、僕たち嵐がコンサートをする際の親子席のイメージで。嵐は、当時親子席を1番多く設けていたグループの一つだったと思うんですけど、その席では座って観賞できたり、子どもが泣いた時には一緒に席を外しても大丈夫だというルールを設けながらやらせていただいていたので、親子に対するアプローチの方法というのは分かっていたつもりではあったんです。だけど、それは自分たちの環境下のルールなだけであって、映画というエンターテインメントで考えた時に、他にはないような工夫をしている本作への出演を通して、“親子”というものに対する向き合い方や価値観を改めて考えさせられましたね」

二宮和也が明かす子どもの頃の思い出――「おじいさんからすごくかわいがってもらっていました」

――二宮さんご自身の考え方にも変化があったんですね。

「令和の赤ちゃんたちは本当にいい環境で育っていくんだろうなというふうに、昭和の赤ちゃんは思っています(笑)。僕の時は、もうちょっとほっぽり出されていたので(笑)。今の赤ちゃんたちは、昭和の赤ちゃんからすると、すごくうらやましい環境にいるんだろうなと感じました」

――作中で、二宮さんが特に好きなシーンについても教えていただけますか?

「僕はやはり、映画ならではのラストのお祭り感がすごく好きですね。各キャラクターのオールスターが一堂に会するというのが、映画らしさ満点の展開でわくわくするし、楽しいですよね。また、僕が演じさせていただいたぱるてぃのような新しいキャラクターもお邪魔させてもらいながら物語が展開していくのも、本作の見どころになるんじゃないかなと思います。40分の上映時間って、大人からすると短い時間かもしれないですけれど、それでもゆったりと進んでいけるような仕上がりになっていると思いますし、子どもたちにとっても、テレビのレギュラー放送よりも少し長い時間に挑戦できる機会になっているんじゃないかなと。作品全体を通して、本当に『優しい人たちが作っているんだろうな』と感じて、僕自身も優しい気持ちになれましたね」

――物語のラストは、主題歌であるMINMIさんの「VIBEしゅ」で盛り上がりますよね。

「家族って、それぞれ形は違うかもしれないけれど、皆さんが通ってきた道なわけで。そこに対する愛情って無償のものなんだろうなと思うんですけど。そんな中で、本作のメインキャラクターであるぷしゅぷしゅとにゅう、ぱるてぃの3人って、ヘンテコじゃないですか?(笑)。でも、この3人の無償の愛情で集まれる強さを、主題歌からすごく感じて…僕は感動しましたね。本作は、通常の映画では見られないような内容になっていて、それがまた一方で面白いなと思っていたんですけど、この曲にもそういった“らしさ”が出ているなと感じられたので、聴いていて感動しましたね」

二宮和也が明かす子どもの頃の思い出――「おじいさんからすごくかわいがってもらっていました」

――皆さんにもあわせて楽しんでいただきたいですね。ちなみに、二宮さんご自身が初めて映画を見られた時の思い出はありますか?

「僕が小さい頃の映画館は、今とまるっきり違っていて。映画は映画館でしか見ることができなかったので、席を取るのが大変なくらいの満席で、席の間の階段に座って見ている人もいる程のイメージでした。僕が初めて見たのは、夏のアニメ2本立ての映画だったと思います。子どもは好きで見ているけど、大人は涼しくて寝ているみたいな、そんな場所でしたね。それと比べて今の映画館は、すごく観客ファーストで、一番見やすい環境を作っていただいているような気がします」

――ありがとうございます。「シナぷしゅ」は肩の力が“ぷしゅ~”と抜ける番組ですが、二宮さんの肩の力が“ぷしゅ~”と抜ける瞬間を教えてください。

「作品が一段落すると、よかったなと思いますね。公開までどう動いていくのかというのはまたありますけども、撮影が終了する時は、無事に事故もなく終われたなという安心感は毎回ありますね。皆で作り終えた瞬間は、自分で自分を褒めてあげてもいいんじゃないかなと感じています」

――そんな時に、自分にあげたいご褒美はありますか?

「休みかなと思ったんですけど、割と休んでいるなって(笑)。でも、仕事がずっと続いていて、できていなかった自分のやりたいことがやれた時はご褒美ですね。『これやっていなかった!』というものをバージョンアップさせられた時は、自分の時間だなと感じられます。例えば、あまり聴けていなかった曲をいろいろ聴けたりすると、自分にとってはいい時間でありがたいなと思いますね」

――それでは最後に、本作は令和の赤ちゃんに届けたい映画ということですが、二宮さんご自身はどんなお子さんだったか教えてください!

「僕はおじいさんからすごくかわいがってもらっていましたね。というのも、僕以外の親戚がほとんど女の子だったんですけど、おじいさんが工場をやっていたので、ようやく代継ぎができたということで、すごく喜んで僕のことを本当にかわいがってくれたんです。不自由なことはないくらい何でも言うことを聞いてもらっていたので、当時はちょっと性格が悪かったと思います(笑)」

二宮和也が明かす子どもの頃の思い出――「おじいさんからすごくかわいがってもらっていました」

――具体的にどんなふうにおじいさまにかわいがってもらっていたんですか?

「野球をやりたいと言うと、そのための用具などを全部そろえてもらったりしましたね。その代わり、工場を継ぐための教育も厳しかったです。例えば、僕は左利きだったんですが、それを右利きに矯正されたりしました。それは、図面を書く時に右利きの方がやりやすいからなんですけど。後は、割と静かな子どもだったかもしれないですね。女の子たちに囲まれていたので、おままごとやあやとりなどでしか遊べなくて(笑)。でも、当時から子ども用のゲームもしていたかな。それは昔からずっとやっていることの一つだから、その時の子がこんなふうに大きくなっちゃったみたいな…そのまま体現している気がします(笑)。当時からあまり変わっていないかもしれません」

――工場を継いでほしかったおじいさまが、二宮さんがエンターテインメントの世界に進むと決められた時、どういう反応をされたのでしょうか?

「非常に寂しがって、残念がっていましたよ。最後まですごく反対していたのもおじいさんでしたしね。やっぱりずっと工場を継いでもらいたがっていたので。でも、僕は戦争ものの作品にもいろいろ出演させていただいているんですけど、『二十六夜参り』(TBS系)で特攻隊の役をやらせていただいた時にはすごく感銘を受けてくれていましたし、それでようやく認めてもらえるようになった気がしますね」

――おじいさまの、二宮さんへの思いが伝わってきますね。

「祖父はもう亡くなっているんですけど、僕のことを見てくれているように感じることがあって。僕は、『ラーゲリより愛を込めて』でシベリアの強制収容所に抑留された山本幡男さんの役を演じさせていただいたのですが、祖父も昔シベリアで抑留されていたそうで、その話を聴かせてもらっていたんですよね。だから、『ラーゲリ』で主演させていただく時に、『おじいさんからこういう話を聴いたことがあったな』と思い出していて、巡り巡ってきた感じがして、すごく縁を感じたんですよね。『まだ見てくれているのかな』って」

――二宮さんのことを応援されているように感じますね。

「結果的に、そんな感じがしますよね。言葉では反対ばかりしていたけど、実際におじいさん家に行くと、僕が出演させていただいた作品のポスターが貼ってあったりして。それこそ、僕がいただいた賞状などは、全部おじいさん家に送っていたので。そういうのをうれしそうに飾ってあるのを見ていると、言葉では反対していても、一方でうれしいのかなと感じたりしましたね。おじいさんに反対されたことは、今考えるとすごく僕のモチベーションの一つになっていたのかなって。だから、僕の中ではすごく良い経験でしたね。遺産はもらえなかったですけれど(笑)」

二宮和也が明かす子どもの頃の思い出――「おじいさんからすごくかわいがってもらっていました」

【プロフィール】

二宮和也が明かす子どもの頃の思い出――「おじいさんからすごくかわいがってもらっていました」

二宮和也(にのみや かずなり)
1983年6月17日生まれ。東京都出身。ふたご座。A型。嵐のメンバー。ドラマ「涙をふいて」、「熱烈的中華飯店」、「フリーター、家を買う。」(全てフジテレビ系)、「南くんの恋人」(テレ朝系)、「二十六夜参り」、「Stand Up!!」、「山田太郎ものがたり」、「流星の絆」、「ブラックペアン」シリーズ、「VIVANT」(全てTBS系)、映画「ピカ☆ンチ」シリーズ、「青の炎」、「鉄コン筋クリート」(声の出演)、「硫黄島からの手紙」、「黄色い涙」、「GANTZ」シリーズ、「プラチナデータ」、「暗殺教室」シリーズ、「ラストレシピ〜麒麟の舌の記憶〜」、「ラーゲリより愛を込めて」、舞台「STAND BY ME」、「シブヤから遠く離れて」、「理由なき反抗」、「見知らぬ乗客」、バラエティー番組「ニノさん」、「ニノなのに」、YouTubeチャンネル「よにのちゃんねる」などに出演し、多方面で活躍している。また、8月29日に主演映画「8番出口」が公開予定。

【作品情報】
映画「シナぷしゅ THE MOVIE ぷしゅほっぺダンシングPARTY」

5月16日より公開予定

取材・文/鬼木優華(テレビ東京担当) 撮影/コウ ユウシエン

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