「花のれん」北川景子が激動の時代を駆け抜け、日本のエンタメ業界を築いた興行師を熱演!2025/03/08

3月8日に放送される、テレビ朝日ドラマプレミアム 山崎豊子生誕100年記念「花のれん」(午後9:00)。本作は、「白い巨塔」や「華麗なる一族」「大地の子」など、社会問題に鋭く切り込む数々のベストセラー小説を生み出した作家・山崎豊子さんの初期の代表作。明治から昭和の激動の日本を駆け抜け、日本のエンターテインメント界の礎を築いた女性興行師・河島多加の生涯を描いている。
放送に先駆け、主人公・多加を演じる北川景子さんに役どころの印象や山崎さんの作品の魅力、共演キャスト陣とのエピソードや本作の見どころなどを聞いた。

――今回、演じた多加からはどんな印象を受けましたか?
「あの時代に女性が1人で子育てと仕事を両立するというのはすごいと思いました。私自身と共通している部分もあって、多加を演じていると私もまだまだやれることはあるんじゃないかと感じましたね。また劇中で、商売がうまくいけばいくほど息子との時間が取れなくなってしまい、母親と仕事を両立できず、寂しい思いをさせているかなと悩むシーンが登場します。それは私自身も含め、働く母親皆さんが感じることだと思いますし、多加を演じていて共感できる部分も多かったです」
――多加の一生を演じる中で、変化していく部分と変わらない部分があったと思いますが、それはどんなところだと感じましたか?
「多加は本当に長い人生を歩んだ女性で、生涯の中で戦争が起きたり時代もどんどん変化していく中、エンターテインメントの世界も寄席から漫才へと変わっていきます。そんな時代の変化についていけない部分や最後の抵抗のような意志もあったと思うのですが、多加は柔軟に変化できた人だからこそ商売を成功させることができたんじゃないかなと。そして、夫の吉三郎(伊藤英明)はどうしようもない人かもしれませんが、そんな吉三郎の意思も大切にして、仕事をやり抜いたところも一生変わらなかった部分だと思います」
――山崎さんの作品の魅力はどんなところにあると思いますか?
「私が山崎さんの作品に出合ったのは小学校の高学年の時なのですが、両親も作品のファンでもともと実家の本棚に並んでいたんです。初めて読んだ時、『少し前にこんな時代があったんだ』と、脳内に当時の情景が浮かぶようで…。人の気持ちや心情、時代背景を手に取るように奇麗に表現される作家さんがいるんだと驚いてよく読むようになりました。人間の美しい部分だけでなく、複雑な部分や汚いところもリアルに表現しているところにひかれますね。作品を一つ挙げるなら、『大地の子』が大好きです」

――多加の生きるための原動力はどこにあったと感じましたか?
「多加はおそらくもともと力強い人ですが、嫁ぐ時にお父さん(吹越満)から言われた『船場の人間としてどうあるべきか』っていう言葉がずっと残っていたんじゃないかなとも思います。多加は吉本せいさんがモデルと言われていますが、なかなか、まねしようと思ってできるような人じゃないなと。人を巻き込んででも強引に望むの状況に持っていく力と、頭の良さは生まれ持ったものだと思います。それに加え、吉三郎のことを愛していて彼が喜んでくれることが寄席商いの原点で、多加はそんな吉三郎が亡くなってしまった後も、残された息子を食べさせていくため、自分が働いていかなきゃいけないというのもあって。元々の強さに加えて夫への愛、息子を守っていく責任感といういろいろな状況が多加を奮い立たせていたのかなと思っています」
――北川さんの仕事の原動力はなんでしょう?
「若い頃はファンの皆さんのためとしか考えていなかったのですが、今はいつか自分の子どもが大きくなった時に見てもらいたい、という気持ちが加わりました。今回の作品もそうですし、大河ドラマをやらせていただいた時にも強く思ったのですが、今と違う時代の作品を見ることで、昔の人の生活の上に現代の生活が成り立っているというのを知ってもらうにはいい機会になる思いますし、子どもが大きくなった時に何か受け取ってくれるんじゃないかという思いがあって。きっと多加にもそういう気持ちがあったんじゃないかと思います」

――夫の吉三郎を演じる伊藤さんの印象を教えてください。
「英明さんとは3度目の共演で、私が20代前半の時にご一緒してから定期的に共演させていただいています。スタッフや共演者の方など誰にでも分け隔てなく接していらっしゃって、皆さんから愛されるところは当時から変わっていません。また英明さんは華があり、現場が明るくなるムードメーカー的存在で、冗談もよく言う楽しい方。でも、お芝居になるとオンとオフをしっかり切り替えていて、豪快なところは豪快で、そういうところが魅力だと思います」
――伊藤友衛役の上川隆也さんの印象も教えてください。
「上川さんとは今回初めて共演させていただいたのですが、黒い羽織で現場に歩いてこられて、オーラがすごいと思いました。とてもかっこ良く穏やかな方で、撮影中も『ここやりにくくないですか?』と尋ねてくださったりと非常に紳士的で…。京都で一度出演者の皆さんでお食事に行く機会があったのですが、その時も上川さんが出演されていた『大地の子』(NHK総合/1995年)の撮影時のお話を聞かせてくださり、本当に楽しい時間を過ごすことができました」

「甲本さんとは私が学生の頃、映画『花のあと』(2010年)で夫婦役として初共演し、本当にいろいろなことを教えていただきました。そこから何度も共演させていただいていますが、対等に目を見てお話してくださる方で、大好きな俳優さんのお一人です。今回は夫役ではないですが、多加にとって生涯の相棒として人生を一緒に歩む人で何かの縁かなと思っていたら、甲本さんも同じように考えてくださっていてうれしかったです。息がすごく合う俳優さんですし、今回お芝居について一番お話したのも甲本さんで、その時間がすごく楽しかったですね」
――最後に、視聴者へひと言お願いいたします。
「原作を本当にリスペクトした脚本になっていて、山崎さんの作品の世界観がお好きという方にはより楽しんでいただける作品になっていると思います。時代劇が減っていく昨今ですが、若い方々にも『時代劇って面白い!』と思っていただけるようなシーンもたくさんあって、吉本せいさんがモデルということで、近しい時代のものだと親近感を感じられると思いますし、若い方にもぜひ見ていただきたいです。そして、映像の一つ一つが『昔の日本ってこうだったのかな』想像がふくらむ、視覚的にも美しい作品になっています。時代劇は難しそう…と感じる方もいらっしゃると思いますが、ぜひ気楽に構えずに見ていただけたらうれしいです」

――ありがとうございました。
【プロフィール】
北川景子(きたがわけいこ)
1986年8月22日生まれ。兵庫県出身。O型。「謎解きはディナーのあとで」(フジテレビ系/2011年)や「家売るオンナの逆襲」(日本テレビ系/19年)、大河ドラマ「どうする家康」(NHK総合ほか/23年)、「女神の教室~リーガル青春白書~」(フジテレビ系/23年)などに出演。4月スタートの「あなたを奪ったその日から」(フジテレビ系)への出演を控える。
【番組情報】
テレビ朝日ドラマプレミアム 山崎豊子生誕100年記念
「花のれん」
テレビ朝日系
3月8日 午後9:00~10:54
取材・文/S・A(テレビ朝日担当)
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