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「御上先生」吉岡里帆、第7話の撮影秘話と見どころ語る「吉柳咲良さんのシーンは圧巻」2025/03/02

「御上先生」吉岡里帆、第7話の撮影秘話と見どころ語る「吉柳咲良さんのシーンは圧巻」

 松坂桃李が主演を務める、日曜劇場「御上先生」(日曜午後9:00)が現在放送中。本作は、“官僚教師”の御上孝(松坂)が、生徒たちと共に教育現場の現実に立ち向かい、大人社会の理不尽と対峙(たいじ)する姿を描いた大逆転の教育再生ストーリーだ。子どもが生きる「学校」、大人がもがく「省庁」という一見別次元にあるこの二つを中心に物語は展開。未来を夢見る子どもたちが汚い大人たちの権力によって犠牲になっている現実、そんな現実に一人の官僚教師と、令和の高校生たちが共に立ち向かう、教育のあるべき真の姿を描くこれまでとは一線を画した新たな学園ドラマだ。

 第6話(2月23日放送)では、御上の過去について知った生徒たちと御上が向き合う一方で、生徒の椎葉春乃(吉柳咲良)が抱える問題が明らかに。第7話(3月2日放送)ではその問題にさらに切り込んでいく。椎葉に対し、御上と副担任の是枝文香(吉岡里帆)はどう寄り添っていくのか。今回は、生徒たちと真摯(しんし)に向き合う是枝役の吉岡に、今後の見どころや作品に懸ける思いなどを聞いた。

「御上先生」吉岡里帆、第7話の撮影秘話と見どころ語る「吉柳咲良さんのシーンは圧巻」

生徒とともに成長する4カ月――撮影を通して感じたリアルな変化

――まずは、日曜劇場に出演にあたっての心境を教えてください。

「脚本の詩森ろばさんのことは映画『新聞記者』(2019年)で知り、映画館に2回見に行ったほど心が動かされました。今回、台本がかなり早い段階で全部そろっており、詩森さんの中で何がやりたいのかが明確で、その完成度の高さにまず感動しました。プロデューサーの飯田(和孝)さんも現場を見てくださる方なので、対話の多い現場です。学生役の子たちはオーディションで選ばれた熱い思いを持った俳優さん。大人チームはこの脚本に共感し、描かれている信念を届けたいと強く思っている方がそろっている印象です。なので、皆さんと意見交換もしますし、自分の役柄を通して緊張感と工夫を持って撮影に挑んでいます」

――前半を振り返っていかがでしょうか?

「撮影をしている4カ月という期間の間で生徒みんなが主体性を持って仕事に挑んでいる姿と、劇中の生徒たちの成長がリンクしていて、作り物ではなく生の感覚です。実際、自分事として社会問題に対して取り組んでいく姿勢が、撮影中に育まれているなと感じています」

――そこで生徒から刺激を受けた具体的な部分はありますか?

「たくさんあります。生徒たちのお芝居を間近で見て、『なんてみずみずしいんだろう』と。今の年齢、多感なこの時期にしかできないお芝居をされているので、きっとみんなが大人になった時に、『あの時間はすごく貴重だったな』と感じる特別な瞬間に立ち会えていると思います。現場でも悩み相談や、『こういう時どうしたらいいですか?』ということを聞いてくれるので、生徒と先生役とはいえ、うれしいですし、かわいいですね」

「御上先生」吉岡里帆、第7話の撮影秘話と見どころ語る「吉柳咲良さんのシーンは圧巻」

――是枝は生徒を優しく見守る聞き役ですが、演じる上で意識していることはありますか?

「是枝は自分の気持ちや弱さを見せず、卑下することも抑え込んでいる。自分にできることは何だろうと常に前向きな姿勢で、御上先生の話を聞くたびに反省をしながら少しずつ成長していくようなキャラクターです。役割としては、皆さんのお芝居をしっかりと受け止めて自分を出し過ぎず、生徒、御上先生がより際立つように居ることを意識しています」

――感情を抑えているということで、吉岡さんご自身がもどかしい感情になることはありますか?

「是枝は自分のできなさを痛感し、生徒のためになりたいのになりきれない思いに陥るキャラクターでもあるので、ずっと演じていると私自身も弱ってしまったり、影響を受けてしまうこともあります。でも、そういう感情になることは、きっとこの役と向き合えている証拠かなと思うので、この感情も大事にして撮影に挑んでいます」

――是枝と吉岡さんが今まで演じてきた役との違いはありますか?

「今まで反省するシーンや自分のふがいなさを感じる役はやってきましたが、是枝はすごく特別で役が24時間ずっと続いているような感覚なんです。後半では、生徒の成長を目の当たりにし、私も変わらなければいけないと思い始めます。子どもの時から植え込まれた教育や、自分が浴びてきた言葉で形成されてきた人間は簡単には変われないというリアルさを体現しながら、時間をかけてほんの少しずつ成長させていくように頑張っています」

「御上先生」吉岡里帆、第7話の撮影秘話と見どころ語る「吉柳咲良さんのシーンは圧巻」
「御上先生」吉岡里帆、第7話の撮影秘話と見どころ語る「吉柳咲良さんのシーンは圧巻」

松坂桃李&岡田将生との再共演で変わらぬ尊敬と驚き

――主演の松坂さんと岡田将生さんは「ゆとりですがなにか」(日本テレビ系/2016年)以来の共演となりますが、印象はいかがですか?

「松坂さんはあらためて心から尊敬できる先輩だなと、まず一番に感じました。前回、『ゆとり』の時は松坂さんが担任で、私は教育実習生。今回も担任と副担任の関係で、並走していくようなキャラクターを演じていて、間近で学ぶことが多いです。松坂さんはすごく懐が深いと言いますか、人の話をちゃんと聞いてくださる方なので、お芝居の悩みなど相談がしやすいです。前作で過ごした時間があるからこそ、本作の世界でも生きられている実感があります。松坂さんはセリフ量も多いですが、生徒の前で何回も何回も同じお芝居を新鮮な状態で完璧に演じられるので、毎回圧倒されています」

――岡田さんはいかがですか?

「岡田さんは以前お会いした時から変わらず若々しくてびっくりしました。あとは、今回官僚役でキリッとされていますが、現場では面白い一面を見せてくれるので、抜け感のある方でもあるなと。岡田さんの周りはいつも楽しい空気が流れていますね」

――大人キャストの方々と共演した感想もお聞かせください。

「生徒たちと共演するのとはまた全然違っていて、先輩の方々には守られているような感覚になります。一色先生(臼田あさ美)の包容力に助けられたり、迫田(孝也)さんは難しいシーンの時こそ、『楽しいね』と言ってくださるんですよ。皆さんから撮影をする楽しさを教えていただいていますし、まねしたいなと思うことばかりです」

「御上先生」吉岡里帆、第7話の撮影秘話と見どころ語る「吉柳咲良さんのシーンは圧巻」
「御上先生」吉岡里帆、第7話の撮影秘話と見どころ語る「吉柳咲良さんのシーンは圧巻」

――教室の雰囲気は実際の学校のようだとお聞きしました。

「教室のシーンは毎回センシティブな内容の問題提起があり、それを聞いている生徒、発言をする生徒がいて、それぞれが優秀な隣徳高校の学生として緊張感高く描かれています。一方で、撮影の合間に前室でリラックスしている両方の違う側面があって、生徒たちは休み時間中のように楽しそうでリアルな学生らしさを感じます」

――生徒と対峙していく中で特に印象的だった生徒はいらっしゃいますか?

「第1話から生徒たちが抱える問題が社会問題と通じていて、“The personal is political” (個人的なことは政治的なこと)をまさに生徒たちが体現しています。その中で第7話の椎葉のシーンは圧巻です。椎葉は、格差や貧困などの社会問題を背負い込んだようなキャラクター。私が一番近くで見ていたのですが、心の奥に刺さるお芝居をされていて、本当に椎葉がそこにいる感覚になりました。また、最初の顔合わせで、キャスト、スタッフが『自分はどういうテーマを持って、どんな目標を持ってこのドラマに挑むか。どんなことを届けたいか』を一人ずつ話す時間があり、その中で吉柳さんは椎葉自身としてあいさつをしていたのが印象的でした。そんな彼女は礼儀正しさと面白さを兼ね備えていて、周りを気遣って明るく面白い話で盛り上げてくれます。こんなすてきな子がいるんだと思うぐらい感心しました」

吉岡が語る「令和の新しい学園ドラマ」への挑戦

――冒頭で対話がすごく多い現場とおっしゃっていましたが、印象に残っている出来事はありますか?

「現場にある割り本にプロデューサーさんが毎日コラムを書いてくださっています。今の社会問題や現場について、この作品に対しての思いなどいろいろなことが長文で書かれています。最近は、生徒役の子たちも今思っていることや自分って実はこういう人間なんですということを書いてくれるようになって。本作は心をさらけ出す勇気のある場が多いだけあって、コミュニケーションが密に取れていますし、全員が発言しやすい環境が出来上がっています。私は普段、勇気がなくて『こういうふうにできたら良くなると思う』と提案できなかったりしますが、今回の現場は相手役との温度感やどれくらいの間で受けたらいいかなど、相談しながら演じています」

――本作は今までにない学園ドラマだと感じています。

「令和の新しい学園ドラマ、新しい社会派ドラマを作るある種、使命感のような気概が現場ではあふれています。今の日本教育に切り込みを入れていく、本当に難しい題材なだけあって、演じていても毎回考えさせられることばかり。練りに練ったお芝居をみんなで作り上げているので、チームとしての結束力が生まれています」

――第7話放送に向けて、視聴者の皆さんに見どころをお願いいたします。

「第7話になってくると、第1話の時からみんなすごく成長していて、人の気持ちを考えたり、みんなの前で発言する力など、主体性が育まれている生徒を見ることができます。そんな御上先生によって成長していったみんなが椎葉の抱える大きな社会問題とどう向き合っていくのか。そのさまが本当に素晴らしいので、ぜひ注目していただきたいです。それで、是枝はまたヘマをするんです。なかなか凝り固まった大人なので、成長が一番遅いのでは? と思うほど。是枝の失敗から学んでいくシーンを見ながら、生徒の向き合う問題について皆さんも一緒に考えていただけたらうれしいです」

「御上先生」吉岡里帆、第7話の撮影秘話と見どころ語る「吉柳咲良さんのシーンは圧巻」
「御上先生」吉岡里帆、第7話の撮影秘話と見どころ語る「吉柳咲良さんのシーンは圧巻」

【プロフィール】
吉岡里帆(よしおか りほ)
1993年1月15日生まれ。京都府出身。最近の出演作は、ドラマ「ガンニバル」シリーズ(ディズニープラス/2022年・25年)、「時をかけるな、恋人たち」(フジテレビ=関西テレビ制作/23年)、映画「正体」(24年)、「ファーストキス 1ST KISS」(25年)などがある。また、25年公開予定の「THE オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ MOVIE」、「九龍ジェネリックロマンス」、26年放送の大河ドラマ「豊臣兄弟!」(NHK総合ほか)に出演予定。

【番組情報】
日曜劇場「御上先生」
TBS系 
毎週日曜 午後9:00~9:54

取材・文/N・E(TBS担当)



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