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「バニラな毎日」蓮佛美沙子が込める思いとは「優しい世界をみんなで作っていけたら」2025/02/24

「バニラな毎日」蓮佛美沙子が込める思いとは「優しい世界をみんなで作っていけたら」

 NHK総合で放送中の夜ドラ「バニラな毎日」(午後10:45)。賀十ささんの「バニラな毎日」「バニラなバカンス」を原作に、倉光泰子さんが脚本を担当。パティシエとしての修業を積み、大阪で夢だったこだわりの洋菓子店を開いた白井葵(蓮佛美沙子)だが、経営がうまくいかず、店を閉じることに…。そこにクセの強い料理研究家、佐渡谷真奈美(永作博美)が現れ、閉店した白井の店の厨房(ちゅうぼう)で、“たった一人のためのお菓子教室”を開く。

 お菓子を作り、味わう時間が、孤独な心を優しく包み込んでいく物語。今回はドラマの後編に向けて、白井を演じる蓮佛さんのコメントを紹介する。

――物語が進むにつれて、白井と佐渡谷の関係はどのように変化してきていると思いますか?

「これまで作ってきたお菓子、そして白井さん自身のことを佐渡谷さんが愛をもって評価してくれるシーンがあって(3週12回)、白井さんはそこで初めて、心の奥底にしまって頑丈に鍵をかけていた箱を、ちょっとだけ開けられたんだと思いました。お芝居をしていても、佐渡谷さんの言葉や表情の力で、白井さんが本来持っているピュアな部分がぽんっと出てきちゃったみたいな感覚になって。私自身も想像していなかった表現になったので、すごく印象に残っています。また、『お母さんみたい』というセリフがあったように、佐渡谷さんが持つ温かさに触れて疑似親子のような関係にもなっていって。ひと言でカテゴライズできない、本当にかけがえのない存在へと変わってきたなと感じます」

――秋山静(木戸大聖)と佐渡谷の関係についてはどう感じていますか?

「静はずっと変わらずに白井さんを思ってくれて、粘り強いですよね(笑)。時間をかけて対話を積み重ねていく中で、白井さんも静の本質的な部分、ひたむきさや同士だからこそ分かる彼の痛みみたいなものに感化され、無意識に心を解きほぐされていって。ありのままでいられる、とても貴重な関係だと思います。白井さん自身はまだ無自覚なところが多いけど(笑)、静も佐渡谷さんと同じように、かけがえのない存在に変わっていっていると思います」

「バニラな毎日」蓮佛美沙子が込める思いとは「優しい世界をみんなで作っていけたら」

――お菓子教室にはいろんな人が来ますが、特に印象的だった方はいますか。

「順子さん(土居志央梨)も優美さん(伊藤修子)も結杏ちゃん(和合由依)も、皆さんそれぞれ本当にすてきでした。お芝居がすごくすてきな上に、ピタッとはまったキャスティングでの相乗効果というか。皆さんが持っているすてきな部分がすごく魅力的に映る役だと思います。5週に1話だけ登場した三沢くん(大八木凱斗)もとてもすてきで! 彼の表情やお芝居のトーン、涙の感じにグワ~ッと気持ちを持っていかれましたね」

「バニラな毎日」蓮佛美沙子が込める思いとは「優しい世界をみんなで作っていけたら」

――物語後半の見どころを教えてください。

「白井さんは紆余曲折(うよきょくせつ)しながら、ようやく“自分がパティシエとしてどう生きていきたいか”にあらためて気付き、もう一度お店をやる決意をします。この先、正直苦しい展開も含めていろいろなことが起こっていくのですが、『生きていると人や出来事に傷つけられたり絶望したりすることもあるけど、でもそこから救ってくれるのもまた人なんだよな』と、強く強く感じて。演じていてすごく救われました。他者と関わっていくことで育まれる愛情や優しさも、後半の大きな見どころです。このドラマは、頑張っている人、頑張れない人、頑張り方が分からない人、すべての人の人生を肯定してくれる、人間賛歌のようなドラマだと思っています。悲しいこともいっぱいあるけど、それでも人生をどう生きていくのか、ひたむきに自分と向き合っていく白井さんを、みんなを、ぜひ見守って見ていただきたいです」

「バニラな毎日」蓮佛美沙子が込める思いとは「優しい世界をみんなで作っていけたら」

――最後に、視聴者へのメッセージをお願いします。

「物語の後半は、みんなそれぞれ自分の人生を見つめ直していくのですが、『今まで、こんなに胸がいっぱいになることってあったかな』というぐらい、本当に白井さんとして生きることが幸せでした。きっと、愛を心いっぱいに受け止める白井さんが画面に映っていると信じています。言葉にできない温かさや愛情が後半にいくにつれてあふれ出ていると思うし、その愛情の輪、塊みたいなものを、一生懸命日々を営んでいる視聴者の皆さんと共有できたらうれしいです。奇麗ごとだと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、このドラマを作った私たちは奇麗ごとではなく、優しい世界をみんなで作っていけたらと本気で願って作品を作ったと思っています。そんな現場の空気が伝わったらいいですね。本読みの段階から監督とも、『震災や病気などいろんなつらい思いをされている方、いろんな境遇の方に届くように、と一緒にこのドラマのような優しい世界を信じられるように、そういう世界であってほしいと願いながら作っていこう』と話していたので、この作品が誰かにとっての唯一無二の作品になったらいいなと、心から願っています」

【番組情報】
夜ドラ「バニラな毎日」

NHK総合
毎週月曜~木曜 午後10:45~11:00

文/Kizuka(NHK担当)


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