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大西将太郎が語るラグビー欧州6カ国対抗戦「アイルランドとフランスが引っ張る大会に」2025/02/14

大西将太郎が語るラグビー欧州6カ国対抗戦「アイルランドとフランスが引っ張る大会に」

 前身大会の幕開けから140年以上もの歴史を積み重ねてきたラグビー欧州6カ国対抗戦「シックス・ネーションズ」が、今年も2月1日より開幕。3月まで続く今大会も、WOWOWで全15試合が生中継・配信され、試合終了後も見逃し配信で熱戦の数々を楽しめる。

 今回は第1節の結果を受けて、解説でおなじみの元日本代表・大西将太郎氏に話を伺った。

──今回のシックス・ネーションズ、第1節はフランスが43-0でウェールズに、スコットランドが31-19でイタリアに、アイルランドが27-22でイングランドにそれぞれ勝利しました。

「アイルランドとスコットランドは開幕戦に強いというデータがあり、特にアイルランドは2000年(シックス・ネーションズ初年)からの開幕戦で26戦19勝、勝率73%をマークしています。結果的に3試合ともランキング上位のチームが勝ちましたが、内容としてもどのチームも昨年以上に一体感、成熟の度合いが増してレベルが高くなり、試合内容も非常に濃いと感じました」

──オープニングマッチのフランスvsウェールズは一方的な試合になりましたね。

「敗れたウェールズは何かを変えるというよりも全てを変えなければいけない、というくらいどん底の状態です。タレントや絶対的なリーダーがいないこと、ウェールズ協会の財政難といった事情も関係しています。昨季リーグワンでクボタスピアーズ船橋・東京ベイに所属していたベテランFB(フルバック)リアム・ウィリアムズ選手が再び代表で活躍中ですが、それは若手が台頭していないことの表れとも言えます。ウェールズは7月に来日して日本代表と2試合を行いますので、果たして今大会でどういうラグビーをするのか、日本のファンにもぜひ見ていただきたいです」

──フランスは対照的に圧勝で最高の白星発進となりました。

「中心選手、ベテラン、リーダーと、至るところにタレントがそろっているフランスは両WTB(ウイング。第1節はルイ・ビエール=ビアレ選手とテオ・アティソグベ選手)が、特にのびのびとプレーしていました。フィジカルの強さやバックスの展開力はフランスリーグ『TOP14』のレベルの高さの賜物(たまもの)で、見ていて非常に面白いラグビーをしていましたね。キャプテンのSH(スクラムハーフ)アントワーヌ・デュポン選手は、やはり世界最高の9番だと感じさせる活躍を見せています。一戦一戦しっかりと試合をしていき、その先にラグビーワールドカップ初優勝というターゲットを見据えているはずです。その思いが今後チームにどう伝わっていくか、注目しています」

大西将太郎が語るラグビー欧州6カ国対抗戦「アイルランドとフランスが引っ張る大会に」

──続いては大西さんが解説されたスコットランドvsイタリアについてですが、スコットランドがCTB(センター)ヒュー・ジョーンズ選手のハットトリックで好スタートを切りました。

「シックス・ネーションズで過去3回ハットトリックを達成した選手はいずれもスコットランドの選手で、今回のCTBヒュー・ジョーンズ、昨年イングランド戦のWTBドゥアン・ファン・デル・メルヴァ、一昨年イタリア戦のSO(スタンドオフ。現在はFB)ブレア・キングホーンの3選手です。ハットトリックそのもの以上に、ボールを展開して外の選手が点を取るスタイルに変わってきているところに、スコットランドのスタイルの変化が表れています。第1節ではWTBダーシー・グラハム選手もトライの一つ手前の場面でしっかりと仕事をしていました。今後もそういった外側の選手たちのトライが増えれば、どんな相手に対してもいいラグビーができるでしょう」

大西将太郎が語るラグビー欧州6カ国対抗戦「アイルランドとフランスが引っ張る大会に」

──近年昇り調子のイタリアは敗れましたが、途中までは同点と健闘しました。

「イタリアのフィジカルの強さはシックス・ネーションズのどの国にも引けを取りません。それがあらためて証明された試合でしたが、50分や60分ではなく、80分間最後までいかにして戦うか、というビジョンが少し足りなかったと思います。ただ、対戦する国にとっては本当に嫌な相手になることは間違いありません。試合前に注目選手に挙げたCTBトンマーゾ・メノンチェッロ選手は体のキレ、強さ、スピードを要所で見せていましたが、昨年の大会最優秀選手ということで“彼を止めなければ”と以前よりも警戒されていました。その分、横にいるCTBフアン・イグナシオ・ブレックス選手へのマークが甘くなることもありました。この両CTBをはじめとするイタリアのいい選手たちを日本のファンの皆さんにも知っていただけるとうれしいですね」

──第1節3戦目のアイルランドvsイングランドではアイルランドが逆転勝利を収め、シックス・ネーションズ初の3連覇に向けて好スタートを切りました。

「双方ともにチームとしてでき上がっていましたね。特にアイルランドは完成していて、チームのコンビネーションという点でも素晴らしかったです。前半はイングランドにリードされていましたが、セットピースなど自分たちの強みに常に立ち返ること、冷静にプレーし続けられることが今のアイルランドの強さの要因だと思います。スタッツの中で一番すごいなと感じたのは、23回のマイボールラインアウトを全て成功させたことです。これはなかなかできないことで、今のアイルランドの強さがにじみ出ています。SOはリザーブだったジャック・クロウリー選手の方がチーム内での評価は高いと思いますが、サム・プレンダーガスト選手が先発しました。引退した絶対的司令塔ジョナサン・セクストン選手がケガした時に代役を立てるのが難しかった過去を考えて、今回はまだ経験の浅いプレンダーガスト選手にゲームタイムを与えたのではないかと思います」

大西将太郎が語るラグビー欧州6カ国対抗戦「アイルランドとフランスが引っ張る大会に」

──敗れたイングランドも強いアイルランドを相手に一時はリードしていました。

「新キャプテンのLO(ロック)マロ・イトジェ選手も悪くはなかったですし、チームとしても“負けたからだめだった”という試合内容ではなく、むしろかなり強くなってきているなと感じました。成長過程にあると思える試合でしたし、彼らとしても自信が持てたのではないでしょうか。ディフェンスでも積極的に前に出てプレッシャーをかけていました。それを一貫して最後までできるかがキーポイントでしたが、勝負どころで負けてしまうというところも最近のイングランドに見られる傾向なので、今後の試合でこうした接戦をものにすることができれば本来の勝負強さを取り戻せるはずです。残りの試合で浮上するきっかけをつかめれば、まだまだチャンスはあると考えています」

 第2節を終えて、唯一2連勝を飾ったアイルランド。大会3連覇へ視界良好のアイルランドが快進撃を続けるのか。大西氏は「優勝の最大のキーポイントになるのは第4節のアイルランドvsフランスです。ダブリン(アイルランドのアヴィヴァ・スタジアム)で行われることもあってアイルランドがやや有利かと思いますが、いずれにしても今大会もアイルランドとフランスが引っ張っていくことになると予想しています」と語る。対抗馬のフランスがそれを阻止するのか。黒星スタートでもポジティブな面が目立ったイングランドなど他のチームが巻き返すのか。2月22日から行われる第3節以降も見逃せない好ゲームの連続となりそうだ。

大西将太郎が語るラグビー欧州6カ国対抗戦「アイルランドとフランスが引っ張る大会に」

【放送・配信情報】

「ラグビー欧州6カ国対抗戦 シックス・ネーションズ」

<第3節>
「ウェールズvsアイルランド」
2月22日 午後11:00~[WOWOWライブ][WOWOWオンデマンド]
「イングランドvsスコットランド」
2月23日 午前1:30~[WOWOWライブ][WOWOWオンデマンド]
「イタリアvsフランス」
2月23日 午後11:45~[WOWOWライブ][WOWOWオンデマンド]
<第4節>
「アイルランドvsフランス」
3月8日 午後11:00~[WOWOWライブ][WOWOWオンデマンド]
「スコットランドvsウェールズ」
3月9日 午前1:30~[WOWOWライブ][WOWOWオンデマンド]
「イングランドvsイタリア」
3月9日 午後11:45~[WOWOWライブ][WOWOWオンデマンド]
<最終節>
「イタリアvsアイルランド」
3月15日 午後11:00~[WOWOWライブ][WOWOWオンデマンド]
「ウェールズvsイングランド」
3月16日 午前1:30~[WOWOWプライム][WOWOWオンデマンド]
「フランスvsスコットランド」
3月16日 午前4:45~[WOWOWライブ][WOWOWオンデマンド]

※終了時間変更の場合あり
※全15試合を生中継&WOWOWオンデマンドでライブ配信(アーカイブ配信あり)

【関連番組】

「スーパーラグビー パシフィック」

<第1節>
「クルセイダーズvsハリケーンズ」
2月14日 午後3:00~[WOWOWオンデマンド]※無料配信
「ワラターズvsハイランダーズ」
2月14日 午後5:25~[WOWOWオンデマンド]
「フィジアン・ドゥルアvsブランビーズ」
2月15日 午後0:25~[WOWOWオンデマンド]
「ブルーズvsチーフス」
2月15日 午後3:00~[WOWOWオンデマンド]
「フォースvsモアナ・パシフィカ」
2月15日 午後5:25~[WOWOWオンデマンド]
※終了時間変更の場合あり

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