金髪のバンドボーカルを演じる木戸大聖が参考にした人物とは？「バニラな毎日」2025/01/27 13:45

　1月20日からNHK総合で放送がスタートした夜ドラ「バニラな毎日」（午後10：45）。賀十つばささんの「バニラな毎日」「バニラなバカンス」を原作に、倉光泰子さんが脚本を担当。パティシエとしての修業を積み、大阪で夢だったこだわりの洋菓子店を開いた白井葵（蓮佛美沙子）だが、経営がうまくいかず、店を閉じることに…。そこにクセの強い料理研究家、佐渡谷真奈美（永作博美）が現れ、閉店した白井の店の厨房（ちゅうぼう）で、“たった一人のためのお菓子教室”を開く。

　お菓子を作り、味わう時間が、孤独な心を優しく包み込んでいく物語。今回は、美しいチョコレートケーキ「オペラ」を作りたいとお菓子教室に通うロックミュージシャン・秋山静を演じる木戸大聖さんのコメントを紹介する。

――今回の出演を決められた時の気持ちを教えてください。

「バンドのボーカル役に不安もありましたが、視聴者の方々や応援してくださっている方々に作品の数だけ自分の新しいイメージを届けたいと思っているので、今まで挑戦したことがない役どころに魅力を感じました。また、主人公である白井さんや、お菓子教室にやって来る人がほっとして救われていくというストーリーをどう描くのかにも興味があり、静という役を通してぜひ自分も関わりたいと思いました」

――静はどんな人物ですか？

「一見あっけらかんとしていて明るいのですが、すごく自分を客観視していて『アーティストである自分を見せなくては』と、あえてよろいを着ているような人物です。ドラマに登場するタイミングではバンド活動休止中で、本当に孤独な戦いをしています。それが、白井さんや佐渡谷さんとの関わりによって少しずつ変化し、よろいを脱いでもいいんだと気付いていく。そのままの自分でいいんだと認めた時に出る静の素のキュートな部分が、とても魅力的だなと台本を読んでいて感じました」

――アーティストを演じる上でどのようなことを心がけていましたか？

「アーティスト業と僕自身の役者業は、表現者という部分で似ているところがありますが、自身で曲を作るアーティストの方はその評価を自分一人で受け止めなくてはいけないという点が、チームで作品づくりをしている役者とは違うところです。アーティストとしての気持ちは、今回主題歌をご担当されているSUPER BEAVERの渋谷龍太さんがバンドのデビューから挫折と復活までの軌跡を書いた本を読んで役の参考にさせていただいています」

――白井さんと佐渡谷さんは静にとってどんな存在でしょうか？

「まずはお菓子を作るということに全力を注いでいる白井さんの姿にひかれたんじゃないでしょうか。お菓子に人生を賭けてトライしている白井さんが静からは同志のように見え、自分もその思いで歌に向き合っているいうところでひかれたのだと思います。佐渡谷さんはド直球の言葉を投げかけてくる人なので、静も本音で返せるんでしょうね。これまでの音楽活動で大人からのプレッシャーに押しつぶされ、大人の言葉を素直に信じられないところが彼にはあったのですが、佐渡谷さんは本当に自分の核となる部分を言ってくれるんです。僕自身、白井さん役の蓮佛さんと佐渡谷さん役の永作さんには、お芝居で助けられていた部分がすごくあり、実際、現場に入ってみてからの方が静に近寄れた感覚があります。お二人のおかげで静のキャラクターがつかみやすかったです」

――大阪ことばでのお芝居はいかがでしたか。

「難しかったです！　芝居する脳と方言を考える脳の二つを使っている感覚があり、本番中はなるべく芝居に集中していたのですが、やっぱり方言も間違えられないのですごく苦労しました。でも、いつかは方言に挑戦してみたいと思っていたので、いい経験ができたと思います。大阪ことば指導の先生がセリフを録音してくださるので、方言とセリフを同時に覚えられるのが面白かったですね。僕は普段、セリフを文字で覚えたり自分で録音して聞いたりして覚えるのですが、先生がすでに録音してくださっているので助かりました」

――最後に、視聴者の皆さまへのメッセージと前半の見どころをお願いします！

「アーティストだからといって、静の抱えている悩みは特別なものかというと、そうではありません。『人にこう見られたい』『こう見られてるから、こうしていなきゃ』と取り繕って自分の首を絞めてしまうことや、生きづらさを感じて苦しくなってしまうことは誰しもあると僕は思っていて、視聴者の皆さんにも静に共感していただけるのではないでしょうか。このドラマに出てくるお菓子やケーキ、そして歌は、生きていく中でちょっとしたことかもしれませんが、気持ちを救ってくれたり、悩みを忘れさせてくれたりすると思います。そんな目線で皆さんにも自分を思い返しながら見ていただけたら、そしてご覧になったあとには食べたいケーキを食べたり、好きな曲を聞いたりして楽しんでいただけたらうれしいです。また、3月放送の第7週で、静の新曲としてSUPER BEAVERさんに書き下ろしてもらったバラードを歌うシーンがありますので、楽しみにしていてください」

――ありがとうございました。