音楽朗読劇「スプーンの盾」今年も開幕! 緒方恵美&朴璐美にしかできない、予想外なキャスティング2024/12/27 18:00
東宝のプレミア音楽朗読劇VOICARIONシリーズ第19弾「スプーンの盾」(原作・脚本・演出 藤沢文翁)が、12月に大阪、1月に東京にて上演される。声優・ミュージカル・舞台…さまざまなフィールドで活躍する豪華キャストが、日替わりで出演する本作。総勢51名のキャストによる1カ月超のロングラン公演は、朗読劇というジャンルでは異例中の異例だ。
物語の舞台は、フランス革命後にナポレオンが活躍する時代。彼のもとで、手腕をふるった料理の帝王・カレームと天才外交官・タレーランを中心に、王侯貴族をもてなす「料理外交」が繰り広げられる。そこに、カレームの盲目の右腕・マリーが加わり、武器に頼らず、食卓を囲んだ“世界一美味しい戦争”が描かれる。
TVガイドWebでは、今回の「スプーンの盾」に出演する豪華キャスト全4組の対談をお届け。VOICARIONシリーズファンの中には、一人の役者が日によって異なる役を演じることを楽しみにしている人も多いはず。今回話を聞いた緒方恵美と朴璐美は、特に数多くの役に挑戦している役者だ。本作でしか見ることのできない2人の芝居を、心ゆくまで堪能してほしい。
――「スプーンの盾」の季節が、今年もやって来ました! 今のお気持ちをお聞かせください。
朴 「2022年の初演を皮切りに、ほぼ毎年上演されていることが感慨深いですね。昨年の『スプーンの盾』公演も、あれだけのキャストが日替わりで、しかも約1カ月のロングラン公演というのは朗読劇としては前代未聞だったのではないでしょうか。白石(朋子)Pが『またやると思います、これ』と少しやつれながらも、ビカビカの笑顔で千穐楽に話されていましたが、まさかこんな近々に、1年後にやるとは…驚きです。それだけ、人の心をわしづかみにする作品なのでしょうね。それは、舞台を見てくださった方だけではなくて、演者もスタッフの心も」
緒方 「その通りだと思います。本作は、“世界一美味しい戦争の物語”。戦うのではなく、料理の力で国を守る人々の物語です。初演時、再演時よりもさらに戦争が増えている今だからこそ、どこの国でもこんなふうに料理外交をやってほしいなと、思わずにはいられません。ステージに立って演じていると、台本を読んでいる時以上に、『なるほど、こうやって人の心を動かしていくのか』と気付くことが多い。世界中から戦争がなくなればいいのにと心から思います」
朴 「初めて『スプーンの盾』というタイトルを見た時は、正直ピンとこなかったんですよね。料理外交と言われても、すぐにはピンとこなくて。でも、アニキ(緒方)がおっしゃる通り、そして実際に演じてみて、他の役者とぶつかってみるとこの『スプーンの盾』というタイトルに込められた思いがとても伝わってきて、毎公演魂を込めずにはいられなくなるんです。朗読劇というものの固定概念を、いい意味で壊してくるのです。朗読劇というものは元来、セットも照明もシンプルで演者が前に出るものではないとされてきましたが、VOICARIONはこの真逆をいくんですよ。役者が前に出て、“生きて”なんぼとばかりに。しかも、藤沢朗読劇の脚本にト書きはありません。たった4人の登場人物たちの会話劇だけで、壮大な物語が展開します。つまり、台本を“読む”のではなく、“演じる”んです。そういう意味では、演劇の究極の形なんじゃないかなと思います」
――演じる上で、どんなことを大切にされていますか?
朴 「朗読劇って今いろんなやり方が試されているんですが、あくまで本の中を生きたいなって。荒立ち(※台本を持ったまま行う稽古のこと)みたいにはしたくないなと思っています」
緒方 「そうですね。きちんとお客さまにお届けできる芝居がしたいなと。言い方が難しいのですが、朗読劇ほどエンターテインメントとしてのクオリティーの幅が広い分野は、なかなかないと思います。一見、誰でも簡単に参入できそうに見えるので、やってみようと思ったら学生さんにだってできそうな分野かもしれません。ですが、実際はそうではないんですよね」
――具体的に、どんな違い、力量が求められるのでしょうか。
緒方 「役者としての気配りがきちんとできる人が、役と役の距離感であったり、情景であったりを細やかに想像した上で演じる必要がある。ただ本を読むのではなく。そうすると、お客さま自身が頭の中で情報を補完して、ものすごく立体感や広がりのあるものになるんです。まるで壮大な映画でも見ているみたいに。でも役者側のレベルが足りていないと、途端にその情景は消えてしまって、ただ“聞かされている”だけの状態になってしまう。幸いなことに、このVOICARIONシリーズには一定以上に経験を積んだ役者しか出演していません。さらに舞台装置や衣装、生演奏もお客さまの補完を手伝ってくれます。そういう意味では、とてもぜいたくな朗読劇になっていると思います」
朴 「VOICARIONの良さをもう一つ挙げるとしたら、稽古が少ないこと。驚かれるかもしれませんが、少ない方が圧倒的にいいんです。何度も稽古を重ねてキッカケ重視で作り込んでいくのではなく、台本という世界が手元にあるからこそ、自由に羽ばたけるんです。“この物語を生きる”というシンプルな衝動のまま舞台に立てるんですよね。だから確実にライブになる。今日の公演がどうなるのか、本番が始まってみないことにはわれわれ演者もスタッフもお客さまも分からないからこそ、そこに一体感が生まれるんだと思います」
――「スプーンの盾」に出演されるキャストさんの中でも、特に多くの役を演じられているのが緒方さんと朴さんです。料理に情熱を注ぐカレーム、その優秀な右腕のマリー、言わずと知れた皇帝ナポレオンと、彼を支える天才外交官のタレーラン。役が変わると、作品自体の見え方はどう変わってきますか?
朴 「私は昨年の公演で、全4役を演じさせていただいたのですが、やはり見える景色は全然違いましたね。マリーを演じていた時から、いろいろな人が演じるカレームやナポレオン、タレーランを見てきて、おのおのの役を分かっているつもりでいましたが、実際に演じてみるとこんなにも見える風景も感じ方も変わってくるなんて…。特に、ナポレオンの時に見える風景はなんともわびしいものでしたね。毎公演、役者の組み合わせが変われば出来上がる舞台も変わるので、今回はどんな景色が待っているのか楽しみです」
緒方 「4役はさすがに大変だね」
朴 「そういうアニキも、今回はマリー以外の3役を演じるんですよね」
緒方 「自分でも驚きました。そもそも、こんなに出演することになるとは(※全10回出演)。他の役者陣とのスケジュールの調整もあるだろうから、念のためかなり余裕を持ってスケジュールをお渡ししていたんです。最終的に、その中から何回かは出られればいいなと思って。ところが届いたスケジュール表を見たら、ほぼ休みがないほど埋まっていて…(笑)」
朴 「(笑)」
緒方 「配役も、『マリー以外ならどの役でもOKです』と元々お伝えしていたものの…3役の中でまだ演じたことのなかったナポレオンを演じる回数が、今回は一番多いんです(※ナポレオン役は6回)」
朴 「ナポレオンは大変ですよ~」
緒方 「(笑)。私、デビューしてからというもの、アニメ作品では参謀的なポジションの役を演じることが多かったんですよ。2番手で頭が良くて、センターで突っ走る役を影で支えるような役と言いますか。『スプーンの盾』で言うと、タレーランですね。今までのVOICARIONシリーズでも、そういう役をいただくことが多かったんです。だから、今回ナポレオン役にキャスティングされたことが本当に予想外でした。『どうしようかな…』と、今困っているところです。ナポレオン役を経験したことのある朴さんに、心構えを教えてもらわないと」
朴 「とんでもないです!(笑)」
緒方 「同じ回の中に朴さんがいるのに、なんで私がナポレオンで、朴さんがタレーランなんだろう…。以前、朴さんが猪突(ちょとつ)猛進な主人公を演じて、私が頭脳派のキャラクターを演じるアニメ(※「平穏世代の韋駄天達」)もやっていて。それなのにどうしてこうなったのか…(笑)」
朴 「いやいや、アニキのカリスマ性でぶっちぎってください!」
――これだけたくさんの作品に出演されてきたお二人でも、なかなか演じる機会のない役に挑戦されている姿が生で見られるのは、ファンにはたまりませんね。
緒方 「新年早々、大変です」
朴 「でも分かります。どの役ももちろん難しいのですが、ナポレオンは演じていてつらくなるんですよね。一人昇華することなく、終わった後はなんとも言えない気持ちになるので…。でもだからこそ、アニキが演じたらものすごいナポレオン像が出来上がるんだろうなと思います。ちなみに、アニキはどの回を見てみたいですか?」
緒方 「オール女性キャスト回(1月28日昼夜公演)を、外側から見てみたいかな。あいにく私も朴さんも出演する側なんだけども」
朴 「確かに、この回は外側から見たいですね」
緒方 「佐倉綾音さんのカレームと、潘めぐみさんのマリーの組み合わせがまた気になる」
朴 「その逆パターンも見てみたいですよね。潘さんのカレームと、佐倉さんのマリー!」
緒方 「あぁ~分かる! 見たいね」
――最後に、公演を楽しみにされている方にメッセージをお願いします。
緒方 「というわけで、私が不安に思っている理由もご理解いただけたかと思います(笑)。本番まで、あれこれ悩みながらも作り上げた芝居を、ぜひ見に来ていただけるとうれしいです。それに、同じナポレオンを演じていても、タレーランを演じる人が変われば、また印象も変わってくるはず。そんなところもVOICARIONの醍醐味(だいごみ)だと思いますので、どうぞよろしくお願いします」
朴 「VOICARIONシリーズは、衣装も舞台美術も演出も、スタッフさんの愛情が深いんです。だからこそ、私も命懸けで臨まなければと思いますし、どうやったって脚本の持つ力が私を熱くさせるんです。お客さまの涙腺を崩壊させるんです。その熱を、劇場で感じていただければと思います」
【プロフィール】
緒方恵美(おがた めぐみ)
6月6日生まれ。東京都出身。AB型。主な代表作に、TVアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」「ダンガンロンパ」「暗殺教室」「カードキャプターさくら」「地縛少年花子くん」「アクダマドライブ」「平穏世代の韋駄天達」「呪術廻戦」「青のミブロ」などがある。現在、映画「聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメン VS 悪魔軍団~」が公開中。逆理のヒロト役で出演する「異修羅」SEASON2が25年1月8 日スタート。また、ライブ「OGATA-1.0 ~禊2024~」を12月29日に開催。
朴 璐美(ぱく ろみ)
1972年1月22日生まれ。東京都出身。AB型。主な代表作に、「鋼の錬金術師」「NANA」「進撃の巨人」「SHAMAN KING」「平穏世代の韋駄天達」「BLEACH 千年血戦篇」「異修羅」、舞台「千と千尋の神隠し」「キングダム」、ドラマ「燕は戻ってこない」などがある。現在、TVアニメ「メカウデ」(TOKYO MXほか)などに出演中。また、「劇場版『進撃の巨人』完結編THE LAST ATTACK」が公開中。「ニンジャバットマン対ヤクザリーグ」が25年3月21日配信予定。
【インフォメーション】
「VOICARION XIX~スプーンの盾~」
https://www.tohostage.com/voicarion/2025spoon/castsch.html
大阪公演 2024年12月28日(土)・29日(日) サンケイホールブリーゼ
東京公演 2025年1月4日(土)~30日(木) シアタークリエ
※緒方恵美 出演回
1月8日(水)19:00回/1月9日(木)18:30回/1月11日(土)13:00回/1月15日(水)13:00回/1月16日(木)18:30回/1月23日(木)18:30回/1月28日(火)13:00回&18:30回/1月29日(水)18:30回/1月30日(木)13:00回
※朴 璐美 出演回
1月6日(月)19:00回/1月9日(木)18:30回/1月10日(金)18:30回/1月13日(月)18:30回/1月17日(金)12:00回/1月23日(木)18:30回/1月24日(金)18:30回/1月28日(火)13:00回&18:30回/1月29日(水)18:30回
取材・文/実川瑞穂 撮影/蓮尾美智子 ヘアメーク/(緒方)杉浦なおこ、(朴)タナベコウタ(atelier decopa LLC.) スタイリング/(緒方)原田幸枝、(朴)山下麻希 衣装協力/(朴)パンツ¥17,600(税込)(ANOGH/ANOGH:東京都渋谷区千駄ヶ谷3-23-8 B1F 03-5785-1118)、ピアス¥5,400(税込)、リング¥12,100(税込)(ABISTE(アビステ)/株式会社アビステ:03-3401-7124)
【プレゼント】
緒方さん&朴さんのサイン入り生写真を2名にプレゼント!
(※編集部にて、当選者さまのお名前を賞品本体に追記させていただきます。ご了承ください)
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【締切】2025年1月31日(金)正午
【注意事項】
※ご当選者さまの住所、転居先不明・長期不在などにより賞品をお届けできない場合には、当選を無効とさせていただきます。
※当選で獲得された権利・賞品を第三者へ譲渡、または換金することはできません。
※賞品をオークションに出品する等の転売行為は禁止致します。また転売を目的としたご応募もご遠慮ください。これらの行為(転売を試みる行為を含みます)が発覚した場合、当選を取り消させていただくことがございます。賞品の転売により何らかのトラブルが発生した場合、当社は一切その責任を負いませんので、予めご了承ください。
※抽選、抽選結果に関するお問い合わせにはお答えできませんので予めご了承ください。
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