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上野樹里×風間俊介が語る、2年ぶりの「監察医 朝顔」で描く家族の形と東北の今2024/12/28

上野樹里×風間俊介が語る、2年ぶりの「監察医 朝顔」で描く家族の形と東北の今

 フジテレビ系で、1月3日に「監察医 朝顔2025新春スペシャル」が放送されます。本作は、上野樹里さん演じる法医学者・万木(桑原)朝顔が、遺体を解剖することでその人の“生きた証”を見つけ出し、残された生きる人々の心まで救っていくさまを描く物語です。

 東日本大震災で被災した母・万木里子(石田ひかり)を失った悲しみを抱えながらも、父・万木平(時任三郎)、夫・桑原真也(風間俊介)と2人の娘と共に笑顔と涙を繰り返し懸命に生きてきた朝顔。2年ぶりの放送となる本作では、そんな朝顔と平についに別れの時が訪れます。

 ここでは、2年ぶりに夫婦役を務める上野さんと風間さんにインタビュー。“理想の夫婦”と称されるほどに絆を深めてきたお二人に、本作の見どころなどをお伺いしました。

──2年ぶりの「監察医 朝顔」の撮影はいかがでしたか?

上野 「これまでの家族のシーンでは、朝顔と桑原くんとつぐみ(永瀬ゆずな)の3人で会話をすることが多かったのですが、久しぶりに会うと里美(中村千歳)が結構話せるようになっていて。ちゃんとしっかりと4人で芝居ができたことに成長を感じました」

風間 「子どもたちの成長を目の当たりにすると、変わるものと変わらないものが存在していて、本当に人生そのものだなと感じました。この家族と作品の中に生きる人たちの時間がゆっくりと流れていて、穏やかに変化していることを視聴者の方にも感じていただけると思います」

上野樹里×風間俊介が語る、2年ぶりの「監察医 朝顔」で描く家族の形と東北の今

──お二人の中での印象の変化や、お互いの役柄に対する思いについてお聞かせください。

上野 「桑原くんが出世しています!」

風間 「そうなんです。捜査本部で指示を出す側にいるので、結構偉いんです(笑)」

上野 「朝顔が捜査本部に顔を出す場面があるのですが、仕事をしている桑原くんを見て、『いつも家で一緒にいる人がこんなすごいところで働いているのか…!』と少しアワアワとしてしまいました(笑)」

風間 「桑原も、今回は久しぶりに法医学教室で解剖に立ち会うシーンがあって。ご遺体と向き合って仕事をする朝顔を見て、“家で見る朝顔との違い”をリアルに感じたんです。そこで、上野樹里という俳優のすごさを感じると同時に、桑原の体感がしっかりと自分の中にあるということを実感して、ほっとしました」

上野樹里×風間俊介が語る、2年ぶりの「監察医 朝顔」で描く家族の形と東北の今
上野樹里×風間俊介が語る、2年ぶりの「監察医 朝顔」で描く家族の形と東北の今

──本作の撮影で、印象的なエピソードがあれば教えてください

上野 「東北での撮影の日、ずっと雨の予報でどうなることかと心配していたんですけど、最終的には見事に晴れてくれました。しかも、東北での撮影日はたった1日だけの予定だったので、本当に奇跡的で。大きなエネルギーを感じながら、不思議な感覚でお芝居ができました。そもそも、物語のラストの方で放送される少し不思議なシーンなのですが、この出来事を経験して『やっぱり朝顔は持っているな』と感じましたね」

風間 「今の話を聞くと、この作品は日常の中の小さな幸せや変化を大切に描いているので、きっと、そんなささいな出来事が自然と物語に組み込まれていくような映像になるんだろうなと。僕たちがコントロールできないような要素も物語の中に取り込まれていくと思うと、僕も見るのがとても楽しみです。あとは、山倉(伸彦)役の戸次(重幸)さんは、ドラマのスタート当初はビシッと決めてカッコいい感じだったのに、今では本当にコメディーレリーフとして活躍されていて。今回も楽しませてくれました」 

──第1シーズンからこれまで東北各地で撮影をされてきたと思いますが、今回改めて訪れてどのように感じましたか?

上野 「『東日本大震災津波伝承館』周辺の木が以前よりも成長していて、自然の力を感じました。金城綾香プロデューサーは、今回の『監察医 朝顔』で自然の力を表現したいと考えていらっしゃって、物語の中でも“ある植物”が事件の重要なポイントになっています。東北を訪れた際、植物たちが太陽に向かって成長していくように、人々も少しずつ前向きに生きている姿を見ることができて感動しました。東北の現在の様子を『監察医 朝顔』を通じて伝えられることがうれしいです」

上野樹里×風間俊介が語る、2年ぶりの「監察医 朝顔」で描く家族の形と東北の今

風間 「今回は、桑原は事情があって東北には行かず朝顔一人で訪れています。これまでの物語の中でも、桑原は“行かない”という選択をすることがあるのですが、妻にとって特別な場所に行ったり行かなかったりする旦那の立ち位置が、超リアルだなと思っていて。特別な場所だからこそ、行かないという優しさが出る時もあれば、朝顔一人で行くべきだと感じる瞬間があったり。今回僕は東北へ行けていないけど、桑原の気持ちに思いをはせているので、きっとどこかで桑原の心理と重なる部分があるのではないかと思っています」

上野 「新しいお店も増えましたし、花火大会などがあるとスーパーのお刺身が売り切れることもあって、街が活気づいているのが分かります。お祭りを再開できるようになったことで、1年かけてみこしを準備されたりと、地域の人たちのエネルギーが戻ってきていますし、訪れる人々によってさらに彩られていくんですよね。人の力によって街が再生されていくことを実感しています」

──最後に、視聴者の方へメッセージをお願いします。

上野 「放送時には震災から13年がたつので、日々の忙しさの中で当時の記憶が薄れていく中、『監察医 朝顔』を見るたびに思い出すこともあると思います。生きる喜びや命の大切さなど、登場人物みんなの強い思いを視聴者の皆さんにも感じていただけたらうれしいです」

風間 「お正月に放送ということもあり、実家に帰省されたり、家族のことを思い浮かべる機会が多いかと思います。このドラマは、大切な人を思う気持ちが詰まった物語なので、見ていただく方にも大切な人を思い浮かべながらご覧いただきたいです。特に、今回は時任さん演じる平さんの存在が大きくて。『監察医 朝顔』は万木家という家族の物語であり、親子愛が根底を流れる作品です。ご覧になって、改めて家族の絆の大切さを感じていただけたらうれしいです」

上野樹里×風間俊介が語る、2年ぶりの「監察医 朝顔」で描く家族の形と東北の今

【プロフィール】

上野樹里(うえの じゅり)
1986年5月25日生まれ。 兵庫県出身。A型。 映画「ジョゼと虎と魚たち」(2003年)で映画デビュー。初主演映画「スウィングガールズ」で第28回日本アカデミー賞新人俳優賞、第26回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞。主な出演作は、ドラマ「のだめカンタービレ」(フジテレビ系)、大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」(NHK総合ほか)、「持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~」(TBS系)、映画「隣人X 疑惑の彼女」(23年)など。


風間俊介(かざま しゅんすけ)
1983年6月17日生まれ。東京都出身。 A型。99年、ドラマ「3年B組金八先生」(TBS系)に出演し、第3回日刊スポーツ・ドラマグランプリで新人賞を獲得。主な出演作は、連続テレビ小説「純と愛」、大河ドラマ「麒麟がくる」(ともにNHK総合ほか)、「silent」(フジテレビ系)など。また、1月5日から放送予定の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(NHK総合ほか)にも出演。

【番組情報】

「監察医 朝顔2025新春スペシャル」
フジテレビ系
1月3日 午後9:00~11:30

取材・文/Miya



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